☆小川洋子の略歴☆
1962年生まれで現在60歳の小川洋子。
1988年に『揚羽蝶が壊れる時』で海燕新人文学賞を受賞し、1989年に『完璧な病室』で初の単行本を刊行してデビュー。
以来、芥川賞、本屋大賞、谷崎潤一賞など著名な賞を多数受賞しています。
短編、中編、長編などの小説を35冊刊行していて、日本を代表する作家の一人と言えるでしょう。
共著、随筆、対談集を含めると刊行数はもっと多くなりますね。
2020年に『密やかな結晶』で海外で評価されてブッカー賞の最終候補に選ばれるなど、海外でも高い評価を受けている作家でもあります。
☆小川洋子作品の魅力☆
まだ小川洋子作品の3分の1ぐらいしか読めてないのだけれど、独特のフェティシズムや、世界観、喪失感、死の香りと予兆を孕んだ作品だと思います。
僕の知る限りで、このような作風を持った作家はいなくて、毎回「物語の檻の中」に閉じ込められるような不思議な感覚を抱きながらページをめくっています。
いまや、定期的に小川洋子作品を「摂取」しないと生きられない中毒者になってしまいました。
『薬指の標本』『ホテル・アイリス』『密やかな結晶』などにみられるような執拗なフェティシズム。
エロスを描いているのですが、何というか陰湿ないやらしさがないというか、どこか乾いて醒めている感じがします。
どこか異世界の出来事であることを思わせるような独特の世界観。
『最果てアーケード』『猫を抱いて象と泳ぐ』『小箱』『密やかな結晶』とか。
現実の世界とのズレ方が絶妙で、そこがたまらなく「心地よい不快感」を呼び起こします。
全く違う世界ではないけど、どこか現実の世界ではなくて、読みすすめているとぞわぞわしてくる・・・。
不協和音とか、調律の狂ったピアノでの優れた演奏とか、なにかそんなイメージの世界で起こる物語。
死の香りと喪失感に満ちた物語でもあり、物語の世界に住む人々はとてもひそやかに、死や喪失を受け入れています。
まるで空気中に滞留した微細なチリを吸い込むように。
淡々と受け入れて、淡い悲しみに沈んでいく。
感情はうつろって、ぼやけて、にじんでいく。
小川洋子は、そんな独特の手触りの物語を描いてる作家だと思います。
☆小川洋子書評☆
小川洋子作品の感想まとめのリンクを貼ります。
○清潔なエロスと、危ういフェティシズム編
○現実との不協和音、異世界編
○喪失と死の香編
○ほっこり編
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