ヒロの本棚

本、映画、音楽、写真などについて書きます!!

川上未映子

【本】川上未映子『あこがれ』~誰しもが通り過ぎて失ってしまうかけがえのない記憶の残照~

1、作品の概要 『あこがれ』は川上未映子の長編小説。 『ミス・アイスサンドイッチ』『苺ジャムから苺をひけば』の2編が収録されている。 第一回渡辺淳一文学賞受賞。 麦彦とヘガティー、それぞれの視点で思春期直前の揺れ動く気持ちを描いた。 2、あらすじ …

【本】川上未映子『ウィステリアと三人の女たち』~変質する闇と訪れた光~

1、作品の概要 『ウィステリアと三人の女たち』は川上未映子の短編小説集。 『彼女と彼女の記憶について』『シャンデリア』『マリーの愛の証明』『ウィステリアと三人の女たち』4編からなる。 単行本で177ページ。 2018年3月30日に刊行された。 2、あらすじ …

【本】川上未映子『黄色い家』~人はなぜ金に狂い、罪を犯すのか?~

1、作品の概要 『黄色い家』は、2023年2月20日に刊行された川上未映子の長編小説。 ページ数は、608ページ。 読売新聞で2022年7月24日~2023年10月20日に連載された。 「読書メーター」読みたい本ランキング(2022年11月21日~12月21日)第1位を獲得。 ミス…

【本】川上未映子『春のこわいもの』~まぼろしのように宵闇に霞む月。新しい生命の蠢きと濃い死の影と~

1、作品の概要 2022年2月に刊行された6篇からなる川上未映子の短編集。 全篇書き下ろし作品。 パンデミック前夜の東京で紡がれる春のまぼろしのような物語たち。 2、あらすじ ①青かける青 21歳のわたしは、入院している病院から手紙を書く。 ーきみに会えた…

【本】川上未映子『夏物語』~生まれてくることのとりかえしのつかなさについて~

1、作品の概要 2019年に刊行された長編小説。 自身の中編『乳と卵』のリメイクと、その後を描いた。 第73回毎日出版文化賞 文学・芸術部門受賞作。 2020年本屋大賞ノミネート。 2、あらすじ 第一部 東京で暮らす夏子のもとに、姉の巻子とその娘の緑子がやっ…

【本】川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』~どうして真夜中には光しかないのですか~

1、作品の概要 川上未映子の4作目の長編。 2011年刊行。 2、あらすじ 入江冬子は、フリーで校閲をして生計を立てている30代の独身女性。 これといった趣味もなく、人と繋がることも苦手でひっそりと日々を暮らしていた。 唯一、友人と呼べそうな人間は、仕事…

【本】川上 未映子『ヘヴン』~自我の形成と生き方の選択。受け入れるか?それとも我を通すか?~

1、作品の概要 川上未映子3作目の小説で、初の長編小説。 芸術選奨新人賞、紫式部文学賞を受賞。 中学2年生の思春期の時期のいじめを通して、生き方、倫理観の問題を説いた。 2、あらすじ 斜視をからかわれて、二ノ宮たちクラスメイトにいじめを受ける「僕」…