ヒロの本棚

本、映画、音楽、写真などについて書きます!!

【本】村上レシピで『ノルウェイの森』の緑がワタナベに振舞った料理を作ってみた!!ヒロズキッチンスペシャル♪

村上春樹の小説を読んでいて思うのですが、美味しそうな料理を食べたり、お酒を飲んだりする場面が多いですよね!?

しかも、サンドイッチや、パスタなどちょっとこだわりをかんじさせるような細かい描写が多いですよね。

サンドイッチの具材ひとつとっても細かい描写があったり・・・。

 

そんな、村上春樹の小説で出てくる美味しそうな食べ物のレシピを集めた本がこの『村上レシピ』です!!

前から気になっていなのですが、図書館で見かけたので借りてきました~。

 

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んで、今回は『ノルウェイの森』で緑がワタナベを自宅に招いて料理を振舞う場面があるのですが、その料理を再現してみました。

題して「小林緑のおばんざい」です。

ブラジャーを買うお金をケチって生乾きのブラジャーを付けながらも卵焼き専用のフライパンを買った緑の食への執念!!

 

一緒に美味しいものを食べると親密になりますよね。

古今東西、恋愛において相手の胃袋を掴むのは大事なことだと思います。

 男女問わず。

ご飯が上手に作れない男子は、美味しいものを食べられるお店に女の子を連れて行きましょう☆

って、何の話やねん。

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まずはだし巻き玉子。

フツーの卵焼きですが、僕は卵焼き作るのはわりとニガテですね。。

うまくクルクルできないのですよぉ。

ついでに言うなら、オムレツ、オムライスもニガテで~。

 

「不器用な男ですから」BY健さん

 

 味付けは関西風で、だしを使った薄味です。

卵焼きの味付けって家によって全然違って面白いですよね。

やたら甘かったりとか。

 

キノコの炊き込みご飯も載っていたので作りました。

炊き込みご飯たまに作りますが、ひじきとか、キノコを入れまくるのが好きです!!

おこげも旨いですよね~♪

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こちらは、なすの煮浸し。

ちょっとアレンジして、ごま油で皮の面を焼いてから煮ました。

なすと油の相性の良さは異常です。

んで、最後はかつお節をのっけるとより美味しくなりますね!!

アラフォーになるとこんな素朴なメニューが好きになりますね。

 

あと、サワラの西京焼き。

春の魚と書いて、鰆(サワラ)。

淡白な白身魚ですが、西京漬けにしてクッキングペーパーの上で焼くとあら不思議!!

とつもなくお上品なお味になります。

ちょっと、焦げ目がつくぐらいに焼くと香ばしくてさらに美味しくなります。

 

僕は、前の日の晩に鰆を買っておいて味噌、みりん、醤油、酒を合わせてビニール袋の中に入れて漬け込みます。

料理において、この仕込みの作業が好きですね。

食べるのは一瞬ですが、手間と時間をかけてより美味しくする為に手を加える。

ジャムおじさんばりに「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ」と念じます。

 

冷蔵庫の中で美味しくなっていく鰆を思いながら過ごす時間もまた甘露です。

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そ・し・て。

出来上がったのが、こちら~。

小林緑のおばんざい☆ヒロズキッチンREMIX!!

 

汁物は、すまし汁にしました。

なかなか美味しくできましたよ!!

やるな緑!!

 

今度は、パスタも作ってみよかな~。

打倒もこみちでヒロズキッチン頑張ります☆

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余談ですが・・・。

風の歌を聴け』で、鼠が食べていたアノ禁断の食べ物・・・。

 

「ホットケーキのコーラがけ」

 

のレシピもあります。

いや、ぶっかけるだけですが(笑)

「この食い物の優れた点は、」と鼠は僕に言った。「食事と飲み物が一体化していることだ。」

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あー、楽しかった。

ノルウェイの森』は僕が19歳の時に読んだ初めての村上春樹の作品で、とても思い入れがあります。

近々、書評を書いてみたいと思っています。

 

 

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【本】今村夏子『あひる』

1、作品の概要

 

表題の『あひる』『おばあちゃんの家』『森の兄妹』の3編からなる短編集。

『あひる』は2016年に文学ムック『あべるのがおそい』に収録。第155回芥川賞の候補に上がる。

書き下ろしの『おばあちゃんの家』『森の兄妹』を加えて2016年11月に単行本が刊行されて第5回河合隼雄物語賞を受賞。

 

平凡な日常に潜む不穏さを描いた作品(たぶんw)

 

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2、あらすじ

 

『あひる』

主人公の『私』は父母と3人暮らしで静かな日常を送っていたが、諸事情で譲り受けたあひるの『のりたま』が来てから生活が一変する。

地元の子供たちが『私』の家に遊びに来るようになり、両親も喜んで歓待するすようになる。

しかし、『のりたま』は次第に元気がなくなり、父に病院に連れて行かれる。

しばらくして戻ってきた『のりたま』は元気になったが、以前と様子が違っていて・・・。

 

『おばあちゃんの家』

みのりの家のとなりの『インキョ』に住んでいるおばあちゃん。

ひいおばあちゃんの奥さんで誰とも血が繋がっていない。

みのりはおばあちゃん の家で過ごすのが好きだった。

おばあちゃんは、独り言を言ったり、少しずつ以前と様子が変わってきていた。

 

森の兄妹

母子家庭のモリオは、妹のモリコと貧しいながらも我慢したり、工夫したりしながら暮らしていた。

ある日、琵琶がなっている家を見つけ盗んで食べているところをおばあちゃんに見つかってしまう。

おばあちゃんは優しく、飴玉をたくさんくれる。

モリオは喜び、その後もおばあちゃんの家に遊びに行くが・・・。

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ

 

『あひる』は、僕が読んだ今村夏子の2冊目の本です。

『星の子』も話題になっているので読んでみたいのですが、図書館にこの本がたまたまあったので借りてみました。

 

芥川賞を受賞した『むらさきのスカートの女』でも感じましたが、平凡な日常を描いていたはずの作品がいつのまにか不穏さを湛えていく。

滲み出てくるような狂気と不穏。

そんな片鱗のようなものを3つの短編から感じました。

 

読後は、???ってなりましたが(笑)

今村夏子の作品は、綺麗でシンプルな和音がなっている和音の曲に少しずつ不協和音がなっていくようなイメージがあります。

和音が綺麗であればあるほど、日常が平穏であればあるほど、不協和音や不穏さが引き立つのかもしれません。 

あひる (角川文庫)

あひる (角川文庫)

  • 作者:今村 夏子
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫
 

 

 

4、感想・書評

 

『あひる』

『むらさきのスカートの女』でも感じましたが、主人公の『私』のバックボーンや感情があまり語られずに淡々と語られているところに独特の違和感を感じます。

もちろん良い意味ですが、語り手の私がちょっと得体が知れない存在というところに不穏さを感じます。

 

無職の実家暮らしで、医療系の資格の勉強をしていて30歳前後で未婚でしょうか?

あひるが来て、子供たちが押し寄せてと様々な変化にもどこか第3者のように淡々と語っている感じがちょっとズレた感じがします。

これは僕だけかもしれませんが(^-^;

正体不明な感じがすごくします。

 

両親は、そんな娘との3人の暮らしに物足りなさを感じていたのでしょうか?

結婚して弟も子供ができずにあまり寄り付かない。

あひるを飼うようになり、子供達が集まってくるようになると両親は生き生きとするようになり、おそらく病死した『のりたま』の代わりに別のあひるをこっそり連れて来て、そのあひるが死ぬとまた別のあひるを連れてきます。

 

そこまでして子供達の関心を引きたかった両親の心の空白と、執着に少しゾッとしました。

そして、あひるがいなくても子供が集まってくるとわかると過剰に子供たちを歓待するようになります。

名前も覚えていない子供達のために誕生会を開いたり、段々と常軌を逸していくようになっていきます。

 

ラスト付近のこの場面にゾクリとしました。

大人の事情に子供の真っ直ぐな視線が突き刺さります。

「この中にのりたまがいるの?」

と言って、女の子は石の置いている場所を指差した。

「そうよこの中で眠っているよ」

「三びきとも?」

と女の子が聞いた。

母は返事に詰まった。

「1ぴきめも、2ひきめもこの中にいるの」

「なぁに?」

「しんだの3びき目でしょ」

「お祈りしなくちゃね」

 

ねえねえ、のんちゃんね、1ぴき目が一番好きだったよ。ここにいないの?

ねえどこにいるの。ねえねえねえ。

 

 

なんか、テレビ番組なんかで持ち上げられている動物なんかもこんな仕打ちを受けているのかなぁと感じました。

可愛がられて持ち上げられているうちは大事にされる。

でも、死んでも「スペア」がいて・・・。

存在が必要なくなれば、他の存在に取って代わられればあっと間に忘れ去られていく。

『のりたま』は最後には小屋まで壊されました。

両親に取って可愛い「孫」に取って代わられたのでしょう。

 

ある種の執着と冷酷さと、それらを生み出すゾッとするような両親の寂しさを感じました。

そして、そんな2人の精神的逸脱を淡々と受け入れていく娘である『私』。

歪んだ環境に依存し続ける家族の不穏さに背筋が冷たくなった作品でした。

 

こういう感じ方をしてしまう僕がどこかおかしいのかなとも思いましたが(^-^;

 

『おばあちゃんの家』

隣のインキョに住んでいるおばあちゃん。

ん、血が繋がっていない?

ん、ひいおじいさんの妻って、お歳はいくつなのかな?

と、謎めいた関係性のおばあちゃんですが、みのりはおばあちゃんの家で多くの時間を過ごします。

 

平凡な日常とおばあちゃんとの心温まるエピソードですが、次第に認知症(?)が進行しているのではないかと疑われ、独り言や、徘徊などの行動が増えていきます。

みのりが竹林で迷子になった時になぜかみのりの家におばあちゃんがいて、電話を取ります。

最後の場面で、勝手におばあちゃんがみのりの家に出入りするようになり、隠し扉(?)からも出入りするようになります。

んー、正直よくわからない不思議な作品だなと思いました。

 

森の兄妹

 モリオとモリコの兄妹と、『おばあちゃんの家』のおばあちゃんとの交流を描いた短編。

おばあちゃんが、独り言を言っていたのはモリオと喋っていたからなのかな?

にしても、知らないおばあちゃんが「ぼくちゃんにみぃんなあげる」と言ってたらちょっとしたホラーですね(笑)

 

『おばあちゃんの家』のみのりが見たくじゃくと、モリオが見たくじゃくは同じ鳥で実はキジだということがわかります。

子供の頃のちょっと不思議で印象的なエピソード。

貧しさから、満たされない想いを抱いていたモリオでしたが、母親が漫画を与えたことによって気持ちが満たされたのでしょう。

 

 

 

5、終わりに

 

『あひる』を読んで、5~6歳の頃にアヒルを飼っていたことを思い出しました。

親戚の家からもらってきて可愛がっていたのですが、大きくなりすぎて結局近所の川に逃がすことになってしまい大泣きしたことを覚えています。

ってか、飼えないなら最初から飼うなよ親!!って感じですが。。

 

多分、何十年後かに『アヒルを棄てる』とかいうエッセイを書いちゃうのかもしれませんね(笑)

あのアヒルは2度と戻ってこなかったけれど。

 

田舎だったので、他にも川に何匹かアヒルがいて、ちょくちょく見かけましたが自分が飼っていたアヒルがどのアヒルだったのかわからなくなってしまいました。

両親とも動物嫌いでしたが、何故かインコとか、ちゃぼも飼ったり鳥には縁がありましたね。

 

 そんな平凡な日常の中にどこか不可解な不穏な出来事がそっと挿入されている。

今村夏子はそのような作家のように思えます。

書評を書いていて、言葉にするのに悩む微妙なズレ、不協和音。

また、別の作品も読んでみたいです。

 

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【音楽】東京ゲゲゲイ『キテレツメンタルワールド』~全曲レビューBLACK編~

ツィッターでフォローさせて頂いてる方からの影響で、最近東京ゲゲゲイにハマってます!!

独特のファッションで最初はキワモノの方々かと思いましたが、『HEART』のMV観てみて一発でハマりました!!

歌も、曲も、ダンスもめっちゃカッコイイし、MVの作り方もバリエーションがあってマイケルジャクソンとか、レディー・ガガを彷彿とさせます。

 

R&B、ダンスミュージックのエッセンスも感じられて、MIKEYは色んな音楽に触れてセンスあるアーティストだなと思います。

 

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☆来歴&メンバー

 

2013年にMIKEYが自分のダンススタジオのメンバーからBOW、MARIE、YUYU、MIKUとともに結成。

テレ東の『DANDE@TV』で歴代最高点を獲得して優勝。

様々なアーティストとダンスやパフォーマンスでコラボして高評価を得ています。

 

これまでに『キテレツメンタルミュージック』『再生パッション』『黒猫ホテル』の3枚のアルバムをリリース。

 

ざっくり言うとこんな感じです。

いや、ちょっと活動の幅が広すぎて追いきれないですね(^-^;

色々調べてて、ワンオク『The Way Back』のMVにMIKUとMARIEが出演して、YUYUが振り付けをたんとうしていたり、椎名林檎『公然の秘密』にMIKEYが出演していたりとそうだったんだ!!って初めて知ることも多く、東京ゲゲゲイの幅広い活動に驚きました~。

 


椎名林檎 - 公然の秘密

 

 

深イイ話でも、徳井がファンだということで紹介されたみたいですね。

ダンスのキレがハンパないです!!


【最新】深イイ話 2018年2月5日 1分間の深イイ話 東京ゲゲゲイ ダンス

 

 

 

☆最新アルバム紹介!!『キテレツメンタルワールド』BLACK編☆

 

注目度も高まっている東京ゲゲゲイですが、今年2枚組のベスト的なアルバムをリリースしました!!

『BLACK』『WHITE』の2枚組でアップテンポ、ちょっとダークな曲調が『BLACK』に収録されて、バラードっぽい曲、泣ける曲は『WHITE』に収録されています。

色んなタイプの曲があるので、本当に飽きないですね。

既存の曲だけではなくて新曲や、remixや、配信オンリーだった曲も収録されています。

キテレツメンタルワールド(通常盤)

キテレツメンタルワールド(通常盤)

 

 

MVや、ダンス動画なんかもめっちゃかっこよくてで楽しめます。

手の複雑な動きとか、首がどるるんってなるとことか独特でかっけーっすね!!

 

1.HEART

作詞をMIKEYと中村うさぎが担当し、REOLをフューチャーした4ツ打ちノリノリのアップテンポなチューン。

MVも衣装やCGなどとても完成度が高いですね!!

田中圭が出演しているボートレースのCM曲に使われています。

1.2で肩あげて
ギリギリ2.9 返せ
意地でも
絶対に言わない
ギブアップ
びしょ濡れのハート
ダダ漏れのリグレット

Hearts Hearts
Hearts Hearts

泥臭くファイトする勇気が湧いてくる曲ですね!!

 


東京ゲゲゲイ「HEART」| Tokyo Gegegay Music Video


2.TG(2020Ver.)

ミドルテンポのR&B、ヒップホップチューン。

ラップで、東京ゲゲゲイと、メンバーの紹介をしています。

メンバーのことを軽くdisったりしてて笑えます(笑)

 


東京ゲゲゲイ TG 練習風景


3.さよならダーリン

ゲイであることをカミングアウトしているMIKEYさん自身の恋愛の話なのかなとも思える歌詞ですが、ちょっと怖いとこや、淋しい感じがある歌詞ですね。

物悲しいメロディーもグッときますが、どことなく不穏さも感じさせるような音作りになっています。

 

MVは女子高生?風な衣装で学生同士の恋愛の雰囲気です。

チャリに乗りながらダンスしてますが、良い子は絶対にマネしないでください!!

ラストのYUYUのソロダンスがかっこええです♪

 


東京ゲゲゲイ「さよならダーリン」| Tokyo Gegegay Music Video

 

ワークショップのダンス動画を観ると、ダンスの凄さがよりわかります。

どうやったら、あんな風に首がドルルンするんだろう・・・。。

僕がやったらムチウチになりそうです。


東京ゲゲゲイ WS さよならダーリン


4.Yes or No

超ノリノリなアップテンポなパーティーチューン!!

カラオケのJOYSOUNDの店内でMVが撮影されてタイアップした曲。

東京ゲゲゲイメンバー以外にもダンスがキレキレの人が多数出てきます。

 

4つ打ちでシンセ音がうねりつつちょいハウスっぽいトラックですね。

マドンナとか、レディーガガぽくて良いですね!!

途中でソロで入ってくる女性ボーカル(MARIE?)が艶があって好きです。


東京ゲゲゲイ 「Yes or No」


5.罪と罰

レトロな感じの4つ打ちのトラックにMIKEYの切ないボーカルに響くナンバー。

シンプルな電子音がとシンセのトラック。

禁断の香りがする苦しい恋の歌です。

 

6.泥棒

全編女性ヴォーカル(MARIE?)と、男性ラッパーSEIYAのダウナーなミディアムテンポなチューン。

結婚している男性との不倫ソング。

彼女のもと帰るなら

返して私の心

悲痛な叫びが響きます。


7.Hikari(Interlude)

セミインストの幕間の曲。 

 

8.日本アゲゲイ

R&Bっぽい、パーッカシヴでノリの良いミドルテンポなチューン♪

もっと楽しく弾けていこう!!みたいなストレートでポップな歌詞です。

MVはOLの格好と何かカラフルでへんちくりんな格好でダンス!!

楽しくて元気がでる曲ですね♪


東京ゲゲゲイ「日本アゲゲイ」 | Tokyo Gegegay Music Video


9.東京ゲゲゲイ女学院の呪文

なんと表現したら良いのかわからないので、とりあえず歌詞を載せておきます(笑)

デジタルお囃子みたいな?

 

Tokyoゲゲゲゲイ Tokyoゲゲゲゲイ
Tokyoゲゲゲゲイ Tokyoゲゲゲゲイ
Tokyoゲゲゲゲイゲッゲイ女学院の呪文
さあ皆んな一緒に歌えるかな?

GVGVGVGAVチチンププイ またDejav
東京在住外来種
来週になったら大ライス
執念十年たまには休憩
ある子(娘)とない子(娘)と女子トイレ
焼死体になるshowしたい!
ある人ない人男子トイレ
もしかしたらもしもし
What’s up?


10.黒目

エフェクトがかかったMIKEYのボーカル曲。

メロディーや曲調はレトロな歌謡曲なのに、それをモダンにリミックスしたみたいな印象の曲です。

悲しい片思いの歌ですね。

 


11.HBD

幕間の曲。

またまた転調(笑)


12.ズットスキナヒト

WHITEにバラードverがありがますが、こちらはアップテンポのダンスナンバー。

でも歌詞自体は過去の恋愛を想い出すプラトニックな純愛の話です。

 

MVは学園モノで、ヘンテコな水玉制服でハイテンションに踊りまくるコミカルな内容です。

途中で、転調しまくり(笑)

東京ゲゲゲイ女学院の呪文が挿入されています。

 


東京ゲゲゲイ「ズットスキナヒト」| Tokyo Gegegay Music Video


13.ゲゲゲイの鬼太郎

 過去記事にも書きましたが、まんまゲゲゲの鬼太郎の主題歌なんですが、ラップとかつけてどちゃくそカッコイイ曲に仕上がっています!!

MIKEYの鬼太郎がイケメンすぎる・・・。

hiro0706chang.hatenablog.com

 

ダンスもセンスありまくりです。

かっけー!!

音楽的センスと実力があるアーティストが本気でふざけると、どんぐらいキャッチーかってのは電気グルーヴなんかに通ずるところがありますね。


東京ゲゲゲイ 「ゲゲゲイの鬼太郎」


14.Sense of immorality

このトラック、めっちゃ好きです。

INCOGNITOみたいなアシッドジャズをHOUSEっぽくmixしたシャレオツでポップなナンバー。

透き通ったMIKEYさんの綺麗な声のヴォーカルも素敵ですね♪

 

歌詞も、嫌なこともあるけど今夜もパーっと仲間たちとパーティーみたいな感じで僕の20代の頃を思い出しました(笑)

パリピのサントラみたいな曲ですね。


東京ゲゲゲイ「Sense of immorality」| Tokyo Gegegay Music Video

 

振り付け動画も好きです♪

表現力が素晴らしいですね。


東京ゲゲゲイ「Sense of immorality」振付動画|Tokyo Gegegay Choreography


15.Egoist(MIKEY Remix)

男性には耳が痛い曲かもしれませんね(笑)

女性に対してこうして欲しいという男性のエゴについて歌った曲です。

攻撃的な女性のラップ(BOW?)からMIKEYのヴォーカルの曲。

 

なんか、正規のMVが出てこなかったっす?


東京ゲゲゲイ Tokyo Gegegay " Egoist " Mr. Gorgeous Edits


16.地平線

MIKEY単独のボーカルでとても美しくスケールが大きい曲です。

歌詞も、多様性を認め合うこと。

お互いを尊重しながら今を生きていくことを歌われています。

遥か彼方につづいてる

地平線の向こう側には

違う空と 違う風と

違う海が流れているの?


17.ダンスが僕の恋人(Long Ver.)

 今流行りのシティポップっぽい曲ですね。

メランコリックな歌詞にオシャレなナンバー。

繊細なメロディラインが好きすぎる♥

サカナクションとかも『834.194』で『忘れられないの』等シティポップっぽい曲をやってましたが、MIKEYさんもその辺のシーンのトレンドをうまく感じ取って曲を作っているように思います。

 

って、MVめっちゃ好きなのに何故かはてなからは貼り付けられなかった(>_<)

代わりにゲゲゲイダンスナイトの動画を貼ります。


ゲゲゲイダンスナイト「ダンスが僕の恋人」| TAKERU・MIKU(東京ゲゲゲイ)

 

 

いかがでしたでしょうか?

これで今日からあなたもゲゲラー!!

また後編のWHITE編に続きます。

どーんめせっ!!

 

 

 

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【本】川端康成『眠れる美女』~眠れる美女達の身体を通して浮かび立つ夢幻と破滅。魔界への誘い~

1、作品の概要

 

1961年に刊行された後期の中編作品。

第16回毎日出版文化賞を受賞。

日本で2度、海外で3度映画化された。

「男でなくなった」老人限定で、薬で深く眠らされた娘と添い寝できる秘密の家の物語。

川端康成フェティシズムや、耽美、夢想などが感じられる。

 

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2、あらすじ

 

木賀老人から、「男でなくなった老人」に限定薬で深く眠らされた全裸の若い女性と1夜添い寝をできる秘密の家を紹介される江口。

他の老人たちと違って男としての機能を失っていない江口だったが、「眠れる美女」と過ごす一夜に魅了されて足繁く通いつめるようになる。

5夜で6人の美女の匂いや、肌触り、体の美しさを愛でるうちにかなしさや、老いへの恐怖を感じ、かつての肉欲の交わりなど様々な記憶の幻影に翻弄されていく。

女体を通して、江口の精神は「魔界」に誘われていく。

 

眠れる美女

眠れる美女

 

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ

 

大学生の頃に実家に帰省した時に親父の本棚にあった川端康成の本を何冊かくすねたのですが、その中の1冊がこの作品でした。

『雪国』『古都』のように美しい自然を背景に、情緒的な人間模様を描いた初期作品が印象的ですが、後期の『みづうみ』『片腕』などの怪しげな幻想、魔界を表現した耽美的な作品郡も妖しく蠱惑的で『眠れる美女』もこれらの作品の流れを汲んでいるように思います。

20年ほど前に読んで、谷崎潤一郎とか三島由紀夫にも通じる耽美的な世界観を感じましたが、再読してみてさらなる魅力を感じました。

 

 

4、感想・書評

 

①江口が少女達を通じて想起させられる感情

6人の少女達と同衾し、その匂いを嗅ぎ、肌に触れて、美しく瑞々しい少女の身体に触れることで、江口は様々な感情にとらわれ過去の情事を思い出します。

 

男でなくなった老人達が少女、命そのものに触れることでよろこびとかなしみを思い、やがて自分もそうなっていくことへの恐れや諦めを感じます。

67歳というとまだまだな気がしますが、60年前の67歳は今より老いていただろうし、老人と初老の狭間のような年齢で瑞々しく美しい少女達の「若さ」前に自分の老いと、この少女達に対して他の老人達が感じたであろうかなしみを江口は感じていたのだと思います。

この作品を執筆していた頃の川端康成も60歳前半で、それはそのまま老いて美しくなくなっていく自分の不安と悲哀も込められていたのではないでしょうか?

この家をもとめて来るあわれな老人どものみにくいおとろえが、やがてもう江口にも幾年先かに迫っている。計り知れない性の広さ、底知れぬ性の深みに、江口は67年の過去にはたしてどれほど触れたというのだろう。しかも老人どものまわりには女の新しいはだ、若いはだ、美しい娘たちが限りなく生まれてくる。あわれな老人どもの見はてぬ夢のあこがれ、つかねないで失った日日の悔いが、この秘密の家の罪にこもっているのではないか。

 

1番目の少女から一瞬匂いたったように感じた乳の匂いから、過去の芸者からの激しい嫉妬や、愛人との情事で激しい睦ごとから相手の乳首のまわりが薄い血に濡れていたことが思い起こされます。

老年に差し掛かり情事にいそしむこともなくなった江口が忘れていた過去の激しい情愛が少女の匂いによって呼び起こされる・・・。

 

海の音が聴こえる淋しい一軒家で、自分の娘より若い美女の裸体を愛でながら過去に想いを馳せる。

少女との時間がまるで触媒のようにして遠い記憶を夢幻のように次々に老人脳裏に浮かんでいく・・・。

しかし、少女は決して目覚めないように強い薬を飲まされており、全ては江口の1人芝居で物言わぬ少女の前で様々な想いを巡らしていくその姿は何とも孤独で、侘しいものでありました。

 

実際に江口は何度か少女を揺り起こそうとしたり、悪を為そうともしますが思いとどまります。

2人目の妖婦のような少女を犯そうと試みますが、その少女がきむすめであることに気づき思いとどまります。

そうして、少女を優しく抱きしめながら優しく恍惚とした気分になっていきます。

寄せては返す波のように様々な想いが胸を去来し、過去の思い出が蘇ってくる。

この世ならざる非日常の空間(海の近くにある一軒家で決して目覚めぬ美女と一夜を過ごす)にあり、また少女たちが眠っていることもあり江口は徐々に自我を解放して自らの行き場のないやりきれない想いや、不安やおそれ、忘れかけていた過去の想い出たちを少女の肉体を通して思い起こしていきます。

 

まぁ、眠っている全裸の少女に触れたりしながら己の感情を高ぶらせたりしているのですからどう考えても変態的なのですが、少女の肉体の描写や、思い出の情景の描写がとてつもなく美しいので僕としては性的な生々しさはあまり感じませんでした。

事実だけ羅列すると生々しい出来事を美しい文章と卓越したイマジネーションで綴るとこんなにも純文学的に、芸術的な物語になるのだなと感じました。

三島由紀夫の『仮面の告白』を読んだ時もそう感じましたが、この2人の美的感覚はどこか相通ずるものを感じます。

 

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②めくるめく幻想と美

『みづうみ』『片腕』もそうですが、今作も幻想的で徐々に夢と現の境目が消失してめくるめく幻想的な世界が現出し、読者を妖しい魔界へと誘っていきます。

 この秘密の家の存在が既にこの世の果に存在しているような魔を湛えた存在であり、赤いびろうどのカーテンを見やりながら全裸の少女の身体を愛でる。

現世の理とは遠く離れた桃源郷のような場所にあり、現実と自我と記憶は融解し、5感は歪んだ夢想に捉えわれていきます。

 

また少女達の身体を仔細に描写しているように手の形や、乳房、肩のラインなどを執拗に観察する描写が続きます。

うん、変態(笑)

でも、まるで美術作品を愛でるかのように少女達の身体を愛でて、味わう江口の感覚は生々しく性的なものではなくどこか耽美的です。

 

川端康成は美術品を愛し、机にロダンの「女の手」を置いて四六時中凝視していたように女性の身体の美しさ、特に手などのパーツに対して強い愛着があったように思います。

四六時中、あの鋭い目つきで飽きもせず眺めていたようです。

それは、母親を物心が付く前に失ったことによりやがて喪われてしまうかもしれない存在を、肉体を永遠につなぎ止めて自分の手の内に収めておきたいというような強烈な願望があったのかもしれません。

 

一歩間違えればサイコパスですが、愛してやまない美しい存在を一つの作品にして閉じ込めてしまえばもう一生離れることはありません。

永遠に眺めていられます。

体の一部分を執拗に愛してしまうパーツフェチの人って、そういった心の空白が現出したものなのかもしれませんね。

川端康成の美にはそいうった妄執を感じます。

そういった妄執、満たされない想いがあれだけの美しさを湛えた文芸作品を生み出す原動力になったのかもしれません。

 

現実と過去の記憶が綯交ぜになり、美しい幻想を生み出す。

深く静かなかなしみにおそわれながら、どこか懐かしく安らいだ気持ちで物言わぬ少女と絡まり合って見る夢はどんなものでしょうか。

老人にとって若い命、その健やかな美しさとは滋養のようであり、抗えない魅力を湛えた光だったのかもしれません。

 

僕は介護の仕事をしていますが、そう言えば「あなたの若さを吸い取っている」とご利用者さんに冗談めかして言われたことがあります。

まぁ、僕はそう若くはないのですが(笑)

若さや命のきらめきは眩いものなのかもしれません。

眠れる美女」の家で、江口は両の目ぶたに娘の腕をのせながら、浮かんでくる幻は咲き満ちた散り椿などなのか。もちろん、江口の末娘にも、ここを眠る娘にも、あの椿のようなゆたかさはない。しかし人間の娘のからだのゆたかさは見ただけでは、おとなくしくそいねしただけでは、わかるものでなかった。椿の花などとくらべられるものではなかった。娘の腕から江口の目ぶたの奥に伝わってくるのは、生の交流、生の旋律、生の誘惑、そして老人には生の回復である。

 

③魔界と滅びの美学

 少女達の瑞々しい生命に触れて、心が温まり、まるで生命力の一端の光を分け与えら得ているようにも思えている江口でしたが、一方で昏く妖しい欲情や暴力性も頭をもたげます。

美しい文章と夢幻の世界。

生命の交流などの美しさの合間に暴力的で破滅的な衝動に江口は身を任せようとします。

物言わぬ、眠れる少女たちはなにも知りませんが、その衝動はギリギリのところまで江口を駆り立ててカタストロフィの影がちらつます。

 

絶望し悪を為すのにもエネルギー=若さが必要で江口の身内にその力は残されていませんでした。

少女達の美しい肉体は江口を幻惑し続け時に狂おしく、優しい気持ちにさせて彼の魂を激しく揺さぶります。

そして女性の身体の美しさや芳しい匂いやなめらかな肌は男を「魔界」とも言うべき狂気の極地に誘い続ける。

江口4人目の少女を犯し、人知れず自分の子種を残すことを思いつきます。

醜悪でおぞましい妄想です。

江口老人がこの娘にたいしてこの家の禁制をおかしてしまえば、いまわしくなまぐさいにおいがする。しかしそんなに思うのは江口も老いたしるしであろうか。この娘のようなこいにおい、またなまぐさいにおいこそ、人間誕生のもとではないのか。みごもりやすそうな娘である。深く眠らされているにしても、生理はとまっていなくて、明日中にめざめることにはなっているのだろう。もしたといみごもったとしても、娘はまったくなんにもわからぬうちである。江口老人も六十七歳で、そういう子どもをこの世に一人残しておくのはどうであろうか。男を「魔界」にいざないゆくのは女体のようである。

 

後半は様々な幻想が交わり暗闇に浮かび消えるイメージや血なまぐさい悪への欲求が不吉に鎌首をもたげます。

このあたり、少し文体や表現が変わってきているので、三島が代筆したのではないかとの噂もあるようですね。

実際に原稿の字が川端が書いた時より整っているらしく(笑)

まぁ、さすがにそれはないようにも思いますが、この時期の川端康成は睡眠剤の多用で弱冠精神的なバランスを崩していたらしくその影響もあったのかもしれません。

*この作品は新潮1960年1~6月号に掲載され、半年の休載を経て1961年1月号~11月号の全17回に連載されました。

 

悪虐の思いがわいてくる。こんな家を破壊し、自分の人生を破壊させてしまえ。しかしそれは、今夜の眠らせられた娘がいわゆる整った美女ではなくて、可愛い美人で白く広い胸を出している親しみのせいのようである。むしろ、ざんげの心の逆のあらわれのようである。怯懦に終わってゆくらしい生涯にもざんげはある。椿寺の散り椿をともに見た末娘ほどの勇気もなかったかもしれない。江口老人は目をつぶった。

 

希死念慮、破滅願望。

そして、この秘密の家で絶命した老人。

暗い死の影が色濃くこの家を彩り、まるで悪夢の終わりのようにこの物語はプツリと途切れてしまいます。

ひとつの悲劇とともに。

 

 

 

5、終わりに

 

今回、この作品の書評を書くにあたって川端康成の来歴を調べ直したりしましたが、様々な発見があり、作家の来歴と人生、作品を時系列的に時代背景とともに考えることはとても大事で、深くその作家の作品を理解することに繋がると思いました。

 

いや、別にフツーに直感的に読む読み方も好きですよ!!

元々、僕もそっちですし。

でも、ブログを初めてアウトプットを意識するようになって、また違った側面で読書を楽しめるようになり非常に充実しています。

 

これから川端康成の作品を改めて読み直したいと思いましたし、その交友関係特に三島由紀夫との交流は興味深いし、お互いの作品に与えた影響は大きかったのではないかと思います。

 

また、川端康成の芸術への関心、美術品の蒐集は彼の作品にとっての大きなこだわりで、その審美眼と「美」への執着が作品に大いに投影されたのだと思います。

昨年、愛媛県立美術館で川端康成の美術作品コレクション展があり、東山魁夷との交流も含めて彼の美的センスを垣間見る良い機会になりました。

 

これから、彼の作品は読み直してみたいですし、未読の作品も読んでみたいです。叙情的で美しい文体を持ち、卓越した審美眼を持つ世界的に有名でノーベル賞受賞作家・川端康成が生まれた日本に生まれることができて、僕はとても幸せを感じています。

 

 

 

 

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【本】恩田陸『蜜蜂と遠雷』~世界が鳴っている。興奮に満ちた音楽という歓声で~

1、作品の概要

 

 2016年に刊行された恩田陸の長編小説

幻冬舎のPR誌『星星峡』で2009年4月号~2013年12月号に連載。その後『PONTOON』で2014年1月号~2016年5月号まで連載された。

国際コンクールを舞台に、3人の天才ピアニストを中心に複数人の視点から描かれた。

第156回直木賞受賞、第14回本屋大賞受賞。

2019年10月にはスピンオフ『祝祭と予感』も刊行された。

 

松岡茉優主演で映画化され、2019年10月に公開された。

 

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2、あらすじ

 

3年に芳ヶ江国際ピアノコンクールで邂逅する3人の天才ピアニスト達の物語

パリでのオーディションで、急逝した偉大なピアニスト・ホフマンの風変わりな弟子・風間塵が審査員に衝撃を与えてコンクールに出場することになった。

ー彼は、ギフトか、災厄か?ー

 

かつて天才少女として名を馳せながら、母の死を契機に表舞台を去るが、恩師の勧めでためらいながらもコンクール出場を決めた栄伝亜夜。

楽器店に勤務しながら家庭を持ち、最後のコンクールに挑む高島明石

ホフマンの弟子でありコンクールの審査員であるナサニエルの弟子で若き天才ピアニストと名高いマサル・カルロス・レヴィ・アナトール。

 

90名の参加者が1次、2次、3次予選でふるいにかけられて本選に残れるのはたったの6名のみ。

塵のピアノに触発し完全復活し、劇的な成長を遂げた亜夜。

圧倒的な実力をスター性を持ち、夢と野望を持つマサル

特異な耳と、類まれな音、表現力を兼ね備えた塵

コンクールは、共鳴する3人の天才を中心に劇的に展開していく。

 

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: 文庫
 
蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ

 

以前からツイッター、ブログなどで絶賛の嵐だった作品でいつか読んでみたいと思っていました。

年明けのブックオフセールで買ってからずっと積ん読していましたが、なんとなく読むタイミングが来たような気がしたので読み始めてみました。

 

本を読む時ってなんとなく今がタイミング!!って時があるように思います。

 特に好きな本を再読する時なんかは、「熟成してそろそろ読み頃だな」みたいなタイミングがあります。

季節とか、その時の気分とか、そもそも本を読みたい時期なのかそうでない時期なのか色々あります。

 

恩田陸は『ライオンハート』『夜のピクニック』が好きですが、本当に作品のバリエーションが豊かで、ドラマチックな人間模様を描くのがとても上手な作家さんですね。

ちょっと他の作品も読んでみたくなってきました。

ツィッター、ブログで読書好きの人と交流すると読みたい本が無限に増えてきて、嬉しいやら困るやら(笑)

 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

  • 発売日: 2020/03/08
  • メディア: Prime Video
 


映画『蜜蜂と遠雷』予告【10月4日(金)公開】

 

 

 

4、感想・書評

 

①未来への道筋。音楽の背景とイメージ。

この作品はピアノコンクールの話と聴いていたので、単純にお互いをライバル視して競い合うような話になるのかと思いましたが、むしろ4人のピアニストがお互いの存在を刺激にして、前を向いて自分の今後の道を探っていくというような話であったかと思います。

コンクールの結果が出て終わりではなく、舞台に立って演奏をしたことで今後の自分たちの音楽家としての立ち位置を考えるきっかけとなった未来への道筋を感じされるような希望に満ちた物語でした。

 

素人が聴いても同じようにしか聴こえないクラシック音楽も、想像を絶するような膨大な練習時間の堆積と、それぞれの思想や人生観が違いを生み出し技術だけではなくて表現力としても差に現れてくる。

作中何度もピアノの演奏が視覚的な表現をされていて、奏者と聴衆を結びつけます。

まるで文章から音が聴こえて、イメージが沸き立ってくるような不思議な浮遊感がある体験でした。

文章で音が鳴らせるなんて素晴らしい表現力です。

音楽の表現と世界観に独特の浮遊感があって、何度もどこか遠くの世界に吹っ飛ばされました。

 

人間の精神、そして芸術、表現はどこまでも自由です。

空も飛べるし、月までも行ける。

イマジネーションは無限に広がっていく。

 

コンクールを描いた作品にしては、余りに自由闊達で空間が広がっていくイメージ。

音楽を芸術を究めんとする人間はそのような奔放なイマジネーションを持っているのかもしれませんね。

 

コンクールを描きながら個々の人間性、音楽性の深くまで降りていって、さらに各々の音楽が眩く輝かしい未来を提示したところが、今作の最も素晴らしい点だと思います。

 

気詰まりな批評と形式に囚われないで。

音楽を外に連れ出す。

音楽は外に連れ出せたのでしょうか?

 

 

②塵の天衣無縫な才能。~音楽を外に連れ出す~

クラシック界の常識からかけ離れた天才・風間塵。

偉大な音楽家のホフマンが彼をどう見つけたかはわかりませんが、音を捉える以上とも言える鋭い嗅覚、音楽のイメージをヴィジョンとして捉えられる豊かな感性、強い音を出せる特別な音楽的才能。

作中の天才達の中で、一番天才っぽいですね(笑)

 

ホフマンをしてギフトと言わしめる「才能」

天が塵にギフトを与えるのではなく、塵の存在そのものが天からのギフトだからだと言うのですからその存在の大きさは推して知るべしです。

 彼は、ピアノを持っていなくて、専門的な訓練を受けていなくても自然とピアノを使って良い音楽を奏でることができ、普通の人間が持ち得ない卓越した聴力で音の僅かな差を聴き取ることができます。

 

亜夜、マサル

今作品には、タイプの違う天才がでてきますが、塵はナチュラルに天才で既存の価値観を壊して、新たな何かを提示できるような大きな存在です。

 

そして、彼にはホフマンと約束した「音楽を外に連れ出す」ことを試みています。

でも、どうやっていいかわからないし、一人ではできないかもしれない。

ホフマンにも一緒に連れ出してくれる人を見つけるように言われていました。

 

亜夜が塵にとって一緒に音楽を連れ出してくれる人で、同じように音楽の神に愛されいる存在です。

『僕とおねえさんは同じだもの。おねえさんは、僕の中に自分を見てただけだよ』

『同じ?』

『うん。音楽が本能だもの。おねえさんもそう。僕らは音楽が本能なんだ。だから歌わずにいられない。おねえさんだって、世界にたった一人きりでもピアノの前に座ると思う』

音楽が本能で、世界に一羽の鳥が歌うように、たった1人でも音楽を奏でる「音楽が本能」な存在。

ダブルソウル、ツインソウルみたいな存在でしょうか。

スピリチュアルな話になりますが、産まれてくる時に分裂した自分の魂の片割れ。

 

亜夜はマサルとも音楽観や、感性的な部分でとても近くにいますが、塵とはもっと深い根源的な音楽との関わり部分で繋がっているように思います。

 

子供っぽさを漂わせながらも、音楽と向き合っているときは一種の狂気や、厳しさを感じさせたり、精神的にはどこか成熟している部分も持っています。

ただ、技巧的に優れているだけではなく、優れた表現力を持っている理由がこの精神性にあるのでしょう。

 

③明石の生活者の音楽。たどり着いた答え。

作中、一番普通で親しみを感じる存在が明石だと思います。

天才だらけのクラシックの世界、コンクールの世界で唯一明石は普通の生活をしながらコンクールで演奏しています。

 

仕事が終わってから練習を始める圧倒的に不利な状況。

練習時間を捻出するために睡眠時間を削り、挫折したり時には後悔しながらコンクールへの準備をしていく・・・。

 

ブッ飛んだ天才が多いクラシック音楽の世界で普通の人ながら、そんな普通の人たちも楽しんでくれる音楽を表現したいと願う明石。

 

楽家として区切りをつけるつもりだったコンクールで、明石は逆に今後も音楽家として生きていきたいと強く願うようになります。

彼のアイドルである亜夜の演奏、そして邂逅、思わぬ受賞に大きく心を動かされます。

クラシック音楽は、一部の天才のものでしょうか?富裕層のものでしょうか?

 

春と修羅」の表現、カデンツァは地に足をつけ人生経験がゆたかな明石だからこそでけた演奏でした。

天才でなくても、富裕層じゃなくても、経験を糧に優れた演奏をすることができる。

そして、音楽家として生きていくことができる。

明石はこのコンクールを通じてそのことを「発見」し、彼の今後の生き方も決定したのではないかと思います。

 

マサルのスター性と圧倒的な才能。

 亜夜との出会いから音楽を始めたマサルは、圧倒的な才能を持つピアノの天才であっという間に上達し、世界的な音楽家ナサニエルに師事するまでになります。

19歳ながら落ち着きがある人格者で、技術と表現力と感性を併せ持つホープで、独特のオーラを持つスターでもあります。

完璧超人ですね、なんかムカつく(笑)

 

コンクールの参加者の中でぶっちぎりの優勝候補で、しかも師匠のナサニエルは審査員も務めているという圧倒的有利な立場ですが、彼もまたコンクール中に進化を遂げていきます。

 

昔、自分に音楽を教えてくれた「アーちゃん」に再び会うために彼女からもらったトートバッグをお守り代わりに持ち歩いている・・・。

んー、ロマンチストですね!!

 

亜夜とは完成的にも深く繋がっていて、お互いが表現していることを瞬時にイメージとして感じ取れていて、感性的にとても似通った部分があるように思います。

 

そんなマサルの野望はコンポーザーピアニストになって歴史に残る名曲を生み出して、ムーヴメントを作り出すこと。

確かに過去の作曲家へのリスペクトが強すぎて、近代においてはクラシックの分野で歴史に残るような作品が出ていません。

彼は、そういった業界の常識を打ち破って、新たなムーヴメントを作りだとそうと画策しています。

何という野心的な試みでしょう!!

 

⑤亜夜が手に入れたもの。塵との共鳴

今作で一番爆発的な変化、成長を遂げた登場人物は亜夜でした。

彼女は、ただの復活というだけではなく、コンクールを通して異次元の成長を遂げます。

 

かつて天才少女として脚光を浴びていた亜夜でしたが、母親の死が原因で表舞台から遠ざかってしまいます。

音楽をやめたわけではなかったけれど、真摯に向き合うことをやめてしまっていた。

そんな彼女が無垢な天才・塵との邂逅でかつてのフィーリングを取り戻して、さらに成長していく。

「僕とおねえさんは同じだもの。おねえさんは、僕の中に自分を見てただけだよ」

「同じ?」

「うん。音楽が本能だもの。おねえさんもそう。僕らは音楽が本能なんだ。だから歌わずにはいられない。おねえさんだって、世界にたった一人きりでもピアノの前に座ると思う」

塵と亜夜はまるでツインソウル。

音楽の関わり方、魂の在り処がとても似通っているように思います。

塵は亜夜の忘れていた何かを呼び起こしにやってきた「ギフト」だったのでしょう。

 

塵にとっても亜夜は音楽を一緒に外に連れ出してくれるかけがえのないパートナー。

マサルと亜夜のような恋愛感情に発展しかねない関係ではなくもっと無垢で根源的な関係です。

一緒に音楽を外に連れ出す。

これもあまりに大きなテーマですが、覚醒した2人の天才が手を取り合った時に、狭いホールを飛び出して音楽は高らかに鳴り響きたくさんの人の心を打つのかもしれません。

 

⑥3人の天才が起こした化学反応。

マサル、塵、亜夜の3人の音楽の天才が起こした化学反応。

それがこの物語の中心であり、最も美しい部分であったと思います。

3人はお互いに影響を与え合い、変異、成長していきます。

 

3人ともとてつもなく音楽を愛していて、音楽を通じて何かを達成したいと思っています。

3人が浜辺で同じ時を過ごす場面で亜夜も奏も感じたように、今後3人は音楽の世界においてとてつもなく大きな存在になっていき、特別な存在になっていくのでしょう。

 

そんな、伝説の序章と邂逅を描いた物語が「蜜蜂と遠雷」だったかと思います。

この物語を読み始めた時から、僕の頭の中で音楽が鳴り響いて、色彩とイメージが満ち満ちてなんだかとてつもなく切なくなりました。

素晴らしい作品に触れると、いつも身体が言葉や音楽やイメージに満ち溢れていきます。

 

この物語を読んで、とてつもなく素晴らしいたくさんの色彩に彩られていきました。

僕が観ているこの世界が。

鮮やかな筆致で世界が色付いて拍動している。

蜜蜂と遠雷」の カバーみたいに。

 

 

 

5、終わりに

 

文庫本上下巻で945ページの長編でしたが、あっという間に読んでしまいました。

この作品の素晴らしさはなかなか語りつくせてないと思いますが、音楽をイメージ化してそれぞれの登場人物に重ね合わせて語ったことにあるかと思います。

 

才能溢れる作家が、さらっと書いた作品かと思いきや、足掛け7年の大作。

しかも、何度も頓挫しかかったようで、恩田陸さんに対して親しみが湧きました。

 

素晴らしい表現力と物語の構築力。

作中、何度も感情の琴線を激しく掻き鳴らさられる想いでした。

たくさんの人が評価するのも納得しました。

「祝祭と予感」も読んでみたいです!!

 

 

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【雑記】エロ本を初めて買いに行く話。よく晴れたある日の初夏、少年は風になった・・・。気付いたらブログ半年です。グーグル砲被弾あざます。

☆序章・誰がために鐘は鳴る?☆

 

今日は、クラシックの気分でモーツァルトの『レクイエム』を聴いています。

初夏の空気が僕の記憶を刺激します。

そう、あの日、あの時、あの場所で初めてエロい本を買った記憶を・・・。

 

最近、ツィッターで女性フォロワーが増えて、ワクワクしてたのにこのようなネタのブログを書いて・・・。

フォロワーが減っていく音が聴こえていく気がしますが・・・。

だがしかし、僕は書きます。

それが、僕のイデオロギー

毅然として。

前を向いて進みます。

 

恥の多い生涯を送ってきました。

これかも、泥田に絡まって汚穢に塗れるような人生を送るのでしょう。

いいえ、慰めは不要。

僕はわかっているのです。

 

しかし。

歩みを止めることはしません。

僕は語ります。

善悪も、羞恥も。倫理も全て超えて。

 

 

 

☆少年は旅立つ・・・。エロ本を求めて☆

 

まずは、僕のリビドーの話をせねばならないと思います。

幼少の頃から、とても真面目で、優等生タイプだったと思います。

品行方正で、嘘なんかついたことないみたいな。

毎年学級委員を務めるのが当たり前みたいな。

そんな人間でした。

ええ、本当ですよ。

 

そんな、人間だったので近所のガキ大将とかが、のっぱらでエロ本を見つけても僕は「そういうのは好きじゃない」とかすかして見ない子供だった。

学級委員で神童なヒロやん。

でもさ。

でもさ。

本当は、とても見たかった・・・

何がって?

 

エロ本だよ!!

オッパイが見たかったんだよ!!

 

でも、何となくのパブリックイメージというか、羞恥心が強いというか・・・。

そうやって、自らのリビドーを自意識の檻の深く奥底に閉じ込めていた。

 

しかし、ヒロ少年は成長し、彼の健全なリビドーは理性の殻を打ち破るほどに成長し、彼の世界は砕けようとしていた。

これは、ある少年のリビドーと葛藤の物語。

この記事は、ある意味ヒロ的仮面の告白である。

hiro0706chang.hatenablog.com

 

 

 

 

 

☆AGE1994EHIME☆

 

平易な言葉で難解な物語を、と村上春樹は語ったのだけれど僕は難解な言葉で平易な物語を語ろうと思う。

それは、1人の少年の解放の物語であるしある夏の夜の凡庸な与太話かもしれない。

しかし、一筋の真実が闇を切り裂くときに物語は始まり語り継がれていく。

あるいは、伝説の始まりとはそういうものかもしれない。

僕はこれから伝説の始まりとなる一つの可能性となる物語を語ろうとしているのかもしれない。

 

それは、時に醜悪で生々しく、ある意味においては取るに足らない話なのかもしれない。

でも、どうか。

目を背けないでいてほしい。

この物語がいかに醜悪でも。

彼は、世界に背を向けて悪を為し、自らを解放しようと闘った。

彼の放熱の跡を。

僕は、丹念に追いたいと思っている。

 

それは、自らのコンプレックスとの戦いであり、イデオロギーとの格闘であり、観念的格闘の所産ですらあったかもしれない。

彼の精神が描き出した放熱の跡は、中空に鮮やかな弧を描き未だに僕の眼を焼き続けている。

 

僕は、語りたい。

あの夏の話を、世界が輝いて最も美しく甘美だったあの時を。

それきり、世界は歩みを止めて彼の世界に絶望の雨を絶え間なく降らしている。

しかし、僕たちは再び歩むだろう。

あの瞬間を決して忘れない。

君(EROHON)を手に入れた瞬間を。

 

 

 

☆旅、あるいは夜の書店への散歩☆

 

僕はとうとう決意した。

初夏のある夜のこと。

記憶が定かではないが、おそらく7月ではなかったかと思う。

僕の誕生月だ。

 僕は決心した。

 

僕は、エロ本を、買う。

 

ずっと、その可能性について目を背けていた。

理性と本能が血なまぐさい戦いを繰り広げて、僕の精神は焼け野原のようになった。

どれだけの血が流れて、どれだけの葛藤が繰り広げられたのだろうか?

僕は、そのひとつの犯罪行為に等しい可能性に身を委ねる他に選択肢はなかった。

他に何ができたのだろうか?

 

ある初夏の夜に僕は夕食と入浴を終えて、散歩に出かけると両親に言った。

実際は、遠くへ旅するのだ。

距離的にも、観念的にも。

 

近くの本屋だと、○○さんちのヒロくんがエロ本を買ったってな噂が広がることを恐れた僕はやや遠目の本屋をターゲットにしていた。

しかも、営業時間を調べて閉店スレスレに行ってエロ本をGETするという完璧な作戦。

 

ああ、僕は恐ろしい。

エロ本をGETするために絞り出した悪知恵が・・・。

まるでアダムに知恵の実を食べさせた蛇の如く奸智。

鳩のように素直に、蛇の如く聡くとか太宰は言ったけど・・・。

 

んなわけでチャリをこぎまくってたどり着いた書店。

閉店30分前。

滑り込むように入店し、『紺碧の艦隊』を立ち読みながらニイタカヤマノボレ

客の数はまばらだったが、僕は決して油断しなかった。

 

誰にも見られてはいけない。

同時に僕はさりげなくエロ本コーナーの前を通り過ぎながら手にすべきその聖書(あるいは性書でもあったのでだろうか)を物色していた。

まるで、弱った獲物を狙うコンドルのように何度も旋回して目を血走らせていた僕の姿はまさに人外であったのだと思います。

 

そして、閉店時間が近づき、決断の時が近づきました。

僕はそれまでの人生を想いました。

リビトーと羞恥が交錯し、僕の精神に稲妻のような葛藤が生じました。

 

理性と本能。

欲望と羞恥。

愛と憎しみ。

 

様々な相反するイデオロギーが僕の身体を真っ二つに引き裂きました。

僕は、躊躇しました。

エロ本を買うという行為に。

その背徳に。

罪悪に。

醜悪さに。

 

しかし、僕は決断します。

悪を為す。

これまでの人生を、価値観を、哲学を、倫理観を。

この場で全て超えていく。

僕は超えていき、無上の快楽と愉悦を手にするのだ。

例え、この世界から背を向けても。

神々が眉を顰めようともかまわない。

 

僕は。

僕を超えていくのだ。

 

僕は、本棚からエロ本を手に取った。

視界からたくさんのものが消え去っていた。

色も、時間も。

ゾーンに入っていた。

 万能感に満ち溢れ時間も空間も僕の支配下にあった。

 

そうして、僕は・・・。

エロ本を2冊手に取った。

内容は覚えてない。

しかし、なるべく分厚そうなものを手に取ったのを覚えている。

より多くのオッパイを求めて・・・。

 

エロ本を胸に抱えてレジに向かう。

もう店内には店員を僕の2人しかいなかった。

戦地から帰ってきた兵隊のように胸を張ってレジにエロ本を2冊差し出した。

その時の僕はとても毅然としていた。

おそらく人生で最も胸を張って堂々としていた瞬間であったかもしれない。

でも、そうすること以外僕に何ができただろうか?

 

本屋の店員は60歳ぐらいのおばさんだった。

おばさんは何もかも悟りきったような慈愛の表情で僕のことを見ていた。

そして、何もかも包み込むような優しい微笑を浮かべてエロ本の会計をしてくれた。

 

僕は本屋の紙袋を自転車のカゴに大事に入れて、家路を辿った。

初夏の生ぬるい空気は僕の皮膚を包み。

ほどけて。

流れていった。

 

自転車のペダルを何度も思い切り踏み込む。

立ちこぎして、その頼りない車体を軋ませるようにジグザグに加速していく。

虫の音がリンリンと響いて美しかった。

 

僕の体は自転車とまるで一体化したように熱を孕み、グングンと加速していく。

夜の街は静まって音も色も失ってしまっているようだ。

そんな闇を切り裂いてく。

僕と、自転車と、エロ本が。

まるで一筋の希望。

光のように。

無明を裂いていく。

 

見上げれば月が、星が。

僕を見守っていた。

空を見上げながら自転車を飛ばすと、まるで宇宙と一体になったかのように感じられた。

このまま、月まで走っていけそうに感じられた。

エロ本を抱えて。

 

橋を渡って海を眼下に進む。

行き交う車も少なく、僕はどこまでも行けそうな気がしていた。

潮の香りが鼻腔を刺激し、さらに気分を高揚させる。

 

赦されている。

 

僕は唐突にそう思った。

 

僕は、世界に赦されている。

悪を為し、自らを超えて、倫理を踏みつけても神は僕のことを見捨てはしない。

世界は僕のことを照らし続ける。

光は絶えない。

ああ、歌が聞こえる。

賛歌が。

 

月も星も海も。

彼を祝福していた。

彼は矢のように走り抜けた。

無上の幸福感と共に。

 

そして。

エロ本を。

貪り読んだ。

 

 

 

(完)

 

 

 

☆あとがきとか、半年記念、グーグル砲☆

 

いや、さーせん。

ホント、さーせん。

でも、定期的にこういうの書きたくなるんすよ。

 

んで、ブログ半年経ちました!!

最近は、ユルユル更新ですが、今後も続けていきたいですね!!

まだまだ書いてみたいテーマは無限大ですよー。

 

んで、なんだかグーグル砲?ヤフーも?なんですが中村文則『逃亡者』の記事が注目されてちょいアクセス伸びました!!

一日で265アクセスとか初めてで嬉しかったです♪

あの記事は、自分的にも集大成だと思って書いたので嬉しいですね~。

 

hiro0706chang.hatenablog.com

 

 

 ってか、エロ本って最近の子はあまり読まなそうですよね。

時代は変わりましたねー。

ネットでチョイチョイだしー。

昔は、エロいコンテンツを手に入れることが観念的にも、現実的にも、どれほどの苦難を呼び起こすものだったのか・・・。

そういった歴史的事実を感じさせる文章になれば良いと思います。

 

オッパイの道は一日にしてならず。

苦難の末に手に入れらるものがある。

僕は、この記事を通してその尊さを伝えたいと思います。

 

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【本】村上春樹『螢・納屋を焼く・その他の短編』~ノルウェイの森の基になった短編『螢』が収録~

 

1、作品の概要

 

1984年に刊行された短編集。

ノルウェイの森の基になった短編『螢』、韓国で2018年に映画化された『バーニング』の原作『納屋を焼く』などの5編が収録されている。

 

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2、あらすじ

 

①螢

18歳の大学生「僕」は、学生寮でユーモアな同居人共にどちらかというと厭世的な学生生活を送っていた。

地元で自殺してしまった友人の彼女と偶然再会し、デートするようになる。

少しずつ距離が縮まっていくが、「彼女」の求めていたのは「誰か」であることを「僕」は知っていた。

 

②納屋を焼く

2年前に31歳だった「僕」は、結婚パーティーで20歳のパントマイムを習っていた「彼女」と仲良くなり、時々会うようになる。

アルジェリアに3ヶ月旅に出た「彼女」は、お金持ちで感じの良い日本人のボーイフレンドを連れて帰ってきた。

2人が「僕」の家に遊びに来て、「僕」と「彼」が2人になった時に、「彼」から納屋を焼く話を聞かされる・・・。

 

③踊る小人

象工場で働く「僕」は、ある日「踊る小人」の夢をみる。

その小人は、昔王宮にも招かれたほど踊りの上手な小人だった。

第八工程で働くとびきり綺麗な女の子を口説く為に「僕」は「踊る小人」と取引をするが・・・。

 

④めくらやなぎと眠る女

仕事を辞めて実家に戻った「僕」は、右耳が悪い「いとこ」の通院に付き添っていた。

「いとこ」の診察の間に、病院の食堂で友人の彼女のお見舞いに行った話を思い出していた。

友人の彼女は学校の宿題で作った「めくらやなぎと眠る女」という不思議な話を聞かせてくれた。

 

⑤三つのドイツ幻想

セックスと冬の博物館。

ヘルマンゲーリングと親切なドイツ人。

ヘルWの空中庭園について。

夢か現か。

不思議なドイツにについての3篇。

 

hiro0706chang.hatenablog.com

 

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3、この作品に対する思い入れ

正直、『螢』『納屋を焼く』以外の3編は印象も薄く、何故か読んだ記憶もありませんでした。

本自体見当たらず、買い直したのですが再読して他の3篇も現実と幻想の狭間を揺蕩うような作品で引き込まれました。

村上春樹といえば、上下巻にも及び長い長編が真骨頂だと思いますが、幻想的でリリカルな短編もまた魅力的であると思います。

 

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

 
めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女

  • 作者:村上春樹
  • 発売日: 2009/11/27
  • メディア: ペーパーバック
 

 

 

 

4、感想・書評(徹底的に、とても執拗且つ圧倒的にネタバレしています)

 

①螢

まー、『ノルウェイの森』の一部分の作品です。

以上(笑)

 

ねじまき鳥クロニクル』『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』もそうですが、短編で長い長編のプロトタイプの作品を発表したりもしていますよね。

『世界の終わり~』にも『街とその不確か壁』 というプロトタイプの短編が存在するらしいのですが、あまり出来が良くなかったとのことで現在のところ未発表みたいですね。

読んでみたい!!

 

えっと、『螢』でした。

ワタナベとナオコではなくて、「僕」と「彼女」の物語。

とても寂しくて喪失感に満ちているラストですね・・・。

 

思えば、固有の名前が出てきたのがもしかしたら『ノルウェイの森』が初めてだったんですかね?

リアリズムにこだわった小説だったから、やっぱり名前が必要だったのかな。

 

『螢』もこの部分だけでも十分切なくて喪失感に満ちた物語でした。

 

②納屋を焼く

もう、ツッコミどころ満載な作品です(笑)

とても、好きですが。

既婚なのに普通にガールフレンドがいて、ガールフレンドに彼氏がいて、その二人を家に呼んで・・・。

いや、倫理ってなんですかね?倫理って!!by北の国から

 

しかも、「彼」と「僕」自宅deマリファナ決めちゃってますne☆

かなり、アウトデラックスですやん!!

んー、やっぱり昔はユルかったのかな?

 

結婚しても家に女の子を読んでもOKだったり・・・。

マリファナ決めてもOKだったり・・・。

ビール20本ぐらい飲んでも車を運転したり・・・。

そのへんの納屋を勝手に焼いたり・・・。

昭和だったらやってもOK!!

 

って、んなわけねーーーーーーーーーーーー!!!!!!

はい、「彼」はかなりのサイコパスですね。

短編止まりにしておくには惜しいぶっ飛びの美味しいキャラです。

すごくスマートでお金持ちなんですが、その奥に限りない闇が広がっています。

しかも、その闇を自分で自覚してまるで何かの欲求のようにあくまで自然にコントロールしています。

断言します。

一番。

ヤバイタイプです。

 

どこで納屋が焼け落ちたのかもわからず。

「彼女」とも音信不通になり・・・。

とても、ミステリアスで印象に残る短編ですね。

 

③踊る小人

象工場(笑)

何それ?って感じで春樹ファンタジーワールドが全開で始まる今作品。

大体、短編集の中にひとつはブッ飛んだファンタジーものを書きますが、「踊る小人」はこの短編集にとってはそのぶっ飛びものにあたります。

 

ダンスがテーマっていうのもいいですね。

後の『ダンスダンスダンス』へ繋がるとか言うと言い過ぎですが、僕も踊ることはとても好きなので、ダンスがテーマっていいと思います。

しかもダンスで誰も口説けなかった絶世の美女を口説き落とすって良いですね~。

僕も、ダンスを磨いて絶世の美女を口説きたいですね(笑)

 

④めくらやなぎと眠る女

耳の悪い「いとこ」と、失業中の「僕 」の話ですが、冒頭のどこかミステリー色が強いバスの車中の様子と、過去を回想する友人と、友人の彼女をお見舞いに行く話とが不思議な感じで交錯して甘辛いような絶妙な感じに仕上がっています。

んー、ロイズのチョコポテチみたいな感じ?

 

短い文章の中にとてもたくさんの想いが詰まっています。

仕事を辞めて故郷に帰ってきて郷里の懐かしさ。

変わっていく世の中への想い。(バスが新しくなっていた)

いとことの不思議な関係。ゆるやかな継承。

置き忘れていた想い。

 

この短編が優れているところは。

その全ての要素があくまで淡く胸に浮かんで泡のように消えていくところ。

たくさんのテーマが浮かんでくるんだけど、どれも深く掘り起こされないことが素敵だと思います。

そのまま、通り過ぎていく。

デタッチメント時代の傑作ですね。

 

⑤三つのドイツ幻想

 

春樹は、この時代にドイツに行ったことが?

何かとても不思議な肌触りがする3篇でしたね。

今の若い人には理解されないかもしれませんが、ドイツは昔東と西に分かれていて今の北朝鮮と韓国みたいで、ベルリンの壁という壁が国を分断してたんです。

 

そんな、東西のドイツが分断されていた時代の短編。

どれも、現実と夢想の間を行ったり来たりするような不思議な作品でしたね。

まるで夢をスケッチしているみたいな。

不思議な絵を詳細に描いていくみたいな手触りがする作品でした。

 

 

5、終わりに

 

村上春樹という作家は本当に懐が深い作家だなと改めて思いました。

特に短編集を読むとそのバリエーションの多さに驚きます。

 

現実とファンタジーの混ざり具合。

果汁○○%とか表記しているジュースみたいに様々に混ざり合っています。

この異なる2つの世界の混ぜ具合が村上春樹の小説の真骨頂なのではないかと思います。

 

いつも、パレットに現実とファンタジーの絵の具を混ぜ合わせて一枚の絵画(物語)を書き上げているのでしょう。

 

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