ヒロの本棚

本、映画、音楽、写真などについて書きます!!

【サッカー】久保建英初ゴール!!

 


まさに「クボ劇場」!久保建英がPK奪取に初ゴールと大活躍!タッチ集 2019 HD 1080p

やりました!!

 

ついに久保建英リーガ初ゴール!!

 

しかも豪快なミドルシュート!!

まさにゴラッソでした♪

 

 

 

数日前に、何かのインタビュー記事で早くゴールしたいとか言ってましたが、まさに有言実行ですね。

ゴールシーンだけではなく、PKを誘ったドリブルや、PKにつながるダイレクトでワンツーしたシーンなどクオリティの高さを見せつけました。

 

今節は前節よりは左にポジションチェンジせず右サイドを主戦場としながらここぞのタイミングで中央に顔を出したりして効果的にポジショニングしていました。

まだまだチームメイトと噛み合わないシーンもありますが、右サイドバックのサストレと連動して仕掛けるシーンもありましたし今後が楽しみです。

ディフェンスもしっかりやって、上下に運動量も豊富に動けていました。

 

ただ、試合全体パフォーマンスをみるとまだパスミスもあったりして危なっかしい場面もりました。自陣の低い位置でも長いボールは使わずにつなごうとして引っ掛けられてしまったり、ディフェンス時に寄せが甘かったりするシーンもありました。

もちろん高校3年生で18歳という年齢を考えるとリーガでこれだけやれていることが驚異です。なんせ、中村俊輔はじめ過去の日本代表選手ですらレギュラーに定着できなかったリーグなんですから。

彼のクオリティの高さ、底知れぬポテンシャルについつい高望みをしてしまいます。

 

ただ、いい流れを断ち切るように代表ウィークに突入。。

前回も6節のアトレティコ戦、7節のアラベス戦で先発フル出場して、8節のエスパニュール戦の後に代表招集されてコンディションを落として帰ってきました。

森保監督は代表選手だから強行日程に耐えうるタフさを身につけろとか言ってるますが、海外移籍したての18歳にむちゃぶりです。。

 

しかも、多くの選手は8月からリーガを戦ってますが、久保は3月にJリーグが開幕してほぼフル出場を続けて、コパアメリカで代表に選ばれて、アウェーの南米で本気の南米勢とガチンコバトル。

それからレアルの一員としてアメリカでキャンプして、マジョルカに移籍が決まって、インターナショナルウィークには日本や、アジア諸国で代表戦。

いや、出場してない試合もありますけど、地球何周してんのっ?てぐらいの移動距離ですよ。しかも、代表やレアルマドリーの選手としての注目度の高さからプレッシャーがハンパないし、よく体も心も壊れないなと思います。

 

代表戦の後はしっかりリカバリーして怪我のないように頑張って欲しいですね。

ちなみに12月8日はカーサでのバルサ戦!!ガチンコでジョルディアルバとやり合う久保建英の姿を想像するだけでドキドキしますな!!

カンテラ時代の同僚、アンスーとの再会も胸熱です。

 

常識を覆すスピードで成長を続ける久保建英ですが、彼の最大の魅力はテクニックではなくて、インテリジェンスやメンタリティーにあると思います。

この久保の長所は、リビングにテレビを置かずにたくさん本を読ませたり、外遊びのサークルに入れたりしたご両親の教育の賜物みたいです。もちろん、本人の資質もあるのでしょうが。

そんな、久保のお父さんが書いた本がコチラ。

久保の幼少期から、バルサカンテラに入団するまでの経緯が書かれています。

と、最後は読書ブログらしく本の話題で締めくくります(笑)

 

 

おれ、バルサに入る!

おれ、バルサに入る!

 

 

村上 春樹について語ります~其の壱~

 

 

ってなわけで、村上 春樹です。

これほど世界的に高い評価を受けながら、これほど好き嫌いがはっきり分かれる作家がいるのでしょうか?

 

いや、いない(反語)

 

アンチの人は、表現が回りくどくてキザったらしいとか。

主人公に主体性がなくてイライラするとか。

主人公がバーで飲んでるだけで女の子と簡単にエッチできてイラつくとか。

なんか羊男とか、騎士団長とか訳の分からないのが出てくるとか。

 

みなさんは、村上 春樹が好きですか?

あっ、僕ですか?

僕はもちろん・・・。

 

好きじゃァァァァーーーーーーー!!!!!

 

あっ、すみません。。

好きすぎてテンションがアガってます(笑) 

 

僕が春樹の小説を初めて読んだのは、19歳の時でした。

当時、志望校に軒並み落ちて高知県のT塾予備校の寮で浪人生活していました。

 肩身の狭い浪人生活の上、地元じゃないから友達も少なくて娯楽もなかったので図書館で本を借りたり音楽を聴くのが唯一の娯楽でした。(いや、勉強しろよw)

 

予備校でできた友人のAくんが本、音楽、ファッションに詳しくて教えてもらったおすすめの小説の一つが春樹のノルウェイの森でした。

(余談ですが、Aくんは超絶イケメンで、服装もアニエスとかのシャツがめっちゃ似合ってて、音楽はOASISBLURSUEDE、RADIO HEAD聴いてて、小説は太宰治とか、三島由紀夫川端康成とか教えてもらいました)

主人公のワタナベと同い年で、同じ寮生活ということもあって、謎のシンパシーを感じ影のある恋愛物語に深く引き込まれていきました。

 

 

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

 
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

 

 

 

村上 春樹は1979年に風の歌を聴け群像新人文学賞を受賞し、デビューしました。どことなく乾いてクールな雰囲気で、独特の台詞回し、日本とは思えない感じの世界観が異彩を放っていたようです。これも春樹がアメリカのペーパーバックを読みあさってあまり日本の文学に触れていなかったことにも関わりがあるかもしれません。以降も、文壇とは距離を保ちつつ独特の地位を築いていきます。

 

 

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

 

 

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それから、1973年のピンボール羊をめぐる冒険(上下巻)を発表し作家としての地位を確立させます。

この初期3作は3部作とも呼ばれて「僕」と、「鼠」をめぐる物語が描かれています。

それは、幸福と自己実現に満ちた物語ではなくて、諦観と、喪失に彩られた物語であったように思います。

 

1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

 

 

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羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

 
羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

 

 

 

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これらの作品が発表された1970年代後半~1980年代前半は日本も高度経済成長期でバブル前夜のイケイケの時期でした。

そんなマッチョな時代に冷めていて、喪失感に満ちた物語を書く春樹。

 

いや、ゼッタイひねくれ者でしょ!!

 

春樹は、いつも時代に対してのカウンターのような物語を作っているように思います。

現に、阪神淡路大震災地下鉄サリン事件、9.11、東日本大震災と災害・テロが続き、日本経済が落ち込み悲観に満ちた時代になった近年は希望に満ちた物語を作っているように思います。

1Q84では、「私には愛がある」と青豆が愛を語り結ばれ、騎士団長殺しでは、春樹の作品史上初めて(たぶん)夫婦に子どもが誕生します。(受胎方法はオカルティックですが)

そして、後味の悪さを残しつつも一応のハッピーエンドで愛する人と一緒になれる結末を描いています。

 

 1985年。4作目の長編小説世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドが発表されます。個人的には村上春樹の小説の中で1番好きな作品で、僕が好きな小説のベスト10に入る作品です。

 

ちょっとずれた現実世界の「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と、異世界としか思えないファンタジーな世界の「世界の終り」の章が交互に進行する作りの物語なのですが、この2つの物語の繋がり方がとてつもなく衝撃的で、物語の世界に入り込みすぎて脳がショートして失神するかと思いました(笑)

 

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

 
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)

 

 

村上春樹の話は尽きませんがとりあえず今日はここまでで、其の弐に続きます。

 

多分。

 

 

とっても不条理!?中村 文則『銃』

こんばんは☆

今日は、中村 文則のデビュー作『銃』についての書評を書こうと思います。

 

銃 (河出文庫)

銃 (河出文庫)

 

 

 

『銃』は2002年に発表された中村 文則のデビュー作で、彼はこの作品で新潮新人賞を受賞し、華々しくデビューしました。

一人暮らしの大学生西川が、たまたま河原で銃を拾って持ち帰ってしまい、徐々に銃の美しさに魅せられていき狂気に飲み込まれていくというストーリーで、主人公・西川の心理、内面の変化を描く作風は、どことなく古風な感じの文体と相まって純文学的な印象があります。

 

”昨日、私は拳銃を拾った。あるいは盗んだのかもしれないが、私にはよくわからない。これ程美しく、手に持ちやすいものを、私は他に知らない”

 

とても印象的な序文です。

銃を手にした時から、その魔力に西川が魅了され始めていたのがわかります。

 

銃の存在は、表向きはどこにでもいる軽い大学生だった彼を変えていきます。

抱えていた暗い内面が銃の持つ美と狂気に呼応するように増幅し、彼を飲み込んでいく様が克明に描写されています。

不幸な生い立ちもあり、元々どこか投げやりで感情に乏しい西川でしたが徐々に周りと壁を作って、自分と銃だけの世界に閉じこもるようになります。

 

初めは、自室で銃を磨いて眺めるだけでしたが、身につけて外出するようになり次第に銃を撃つことを考えるようになります。

山の中の誰もいないところで銃を撃つつもりでしたが、夜の公園で死にかけた猫を見かけて衝動的に発泡してしまいます。

ラストシーンにもつながる場面だと思うのですが、人が大きな過ちや、罪を犯す時は普段どれだけ冷静で賢くても何かに魅入られたかのように衝動的に破滅へむかってしまうのではないでしょうか?

無意識的に破滅へ向かってしまう、自己破壊本能とでも言うべき不条理な精神。

 

大学で犯罪心理学を学んで、犯罪者の心理に強い興味を持った中村 文則ならではの心理描写だと思います。

結果的に街中で生き物に対して発泡するという愚行から刑事に銃を所有している疑いをかけられるようになってしまいます。

刑事から不吉な予言のように「次は・・・人間を撃ちたいと思っているんでしょう?」と言われてしまいます。

↑このセリフは文庫本の帯に書かれています♪

 

刑事の来訪以降、西川は精神的に恐慌をきたし周囲との関係を断ち切っていきます。

ヨシカワユウコとの喫茶店での会話の後に携帯電話を投げ捨てるシーンは象徴的で、外部との関係を完全に絶って、銃と自分だけの世界に埋没していきます。

ヨシカワユウコは西川にとってのソーニャにはなれませんでした。

 

人間を撃つか、もしくは銃を手放して抜け殻のような人生を送るか?

なぜ、人間を撃って殺してはいけないのか?

西川は葛藤の末、自分の子どもを虐待しているマンションの隣人の女を撃つことに決めました。

 銃の存在は、西川にとって空っぽだった器を満たす温かいスープのようなもので、銃を撃ち、銃の存在を近しい場所にいることは彼にとって魂の燃焼、自己実現にまで昇華されていました。

 

周到に計画を立てて、あとは引き金を引けば確実に隣人の女を撃ち殺せる状況にまで持ち込みましたが、西川は銃を無意識的に放り投げてしまい隣人の女を撃てませんでした。

彼を止めたのは、論理を超えた人間の持つ根源的な倫理観や道徳観だったのかもしれません。

人を殺してはいけないということは理屈を超えたものがあるのかもしれません。

西川は泣きじゃくり、銃を手放さなければいけないことを強く感じます。

 

そして、西川にポジティブな変化が訪れ、しっかりと地に足をつけて自分の存在を噛み締めながら以前より真剣に生きるようになります。

銃を拾ったことで狂気に飲み込まれて自分の存在を損ないそうになりながらも既のところで思いとどまり前向きに生きるようになった、などとありきたりなハッピーエンドが浮かんできます。

 

しかし西川は銃を捨てることを決めて、そのために乗っていた電車の中で衝動的に男を撃ち殺してしまいます。

些細な言い争いからの衝動的な発泡。

隣の女を撃つときは。あれほどの葛藤をしていたのに。

人を殺す時、罪を犯す時というのは、覚悟もなしに一線を超えてしまうものなのかもしれません。

 

”私は、「これは違う」と呟いていた。そして「これは、なしだ」と繰り返した。私にわかったのは、『私は撃たなくてもよかったのだ』ということだけだった”

 

特に殺したいほど憎い相手でもないし、どちらでもよかった。

しかも、銃を捨てに行く途上で起こった出来事で、今までの葛藤や変化はなんだったのかということになる。

作者はカミュにも影響を受けたとのことだが、正に不条理だと思う。

 

ただ、人生において決定的な出来事や決断、罪を犯す瞬間は何かに導かれるように刹那的に行われるものなのかもしれないと思います。

人の理性や、叡智、倫理を超えた行動。

それは、運命というべき不条理なのかもしれない。

 

最後にチェーホフのこの言葉がこの作品の全てだと思います。

西川が最初に銃を手にした時から、この悲劇の結末は決まっていたのだと思います。

 

「もし、第1幕から壁に拳銃をかけておくのなら、第2幕にはそれが発砲されるべきである。そうでないなら、そこに置いてはいけない。」

 

 

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降り注ぐ月の光のような音楽 CALM/MOONAGE ELECTRIC ENSNEMBLE

こんばんは!!

皆さんは、本を読みながら音楽を聴いたりされますか?

「いや、気が散るから本を読む時は音楽はかけない」

という方が多いと思います。

これから紹介する音楽は読書の邪魔をしないインストアルバムで、読書のおともにも最適ですよ♪

秋の夜長にピッタリです☆

 

今回、僕が紹介するのは、CALMの『MOONAGE ELECTRIC ENSNEMBLE』です!!

題名にMOONが入っていることからも月夜の晩に落ち着いて聴くようなチルアウトなインストアルバムです。

20年以上前にリリースされたアルバムですが全く色褪せないし、すごく気持ちが落ち着くし、インスピレーションが掻き立てられる特別な音楽だと思います。

 

 

 当時、クラブシーンでクロスオーバー(異なる要素同士がジャンルを越えて交じり合う事) というワードが流行っていて、CALMがやっていた音楽もクロスオーバージャズとして紹介されていました。

 

僕は元々ロックが好きだったんですが、20代前半頃からクラブ・ダンスミュージックに興味が出てきていて、聴いたことがない良質な音楽を求めていました。

そんな時に、横浜のHMVの試聴機コーナーでMOONAGE ELECTRIC ENSNEMBLEのジャケを見てピンとくるものを感じて視聴してみました。

 

ジャズとエレクトロニカの融合。

今まで聴いたことがない、どこにもない音がそこにはありました。

イマジネーションの奔流というべき音楽。

試聴機のヘッドフォンをつけながら胸が高鳴るのを感じたことを覚えています。

 

 

 

 

CALM/MOONAGE ELECTRIC ENSNEMBLE

    1. Unseen Small Steps

  2. Light Years
  3. Noon At The Moon
  4. Other Side Of The Moon,The
  5. Tsukiyo
  6. Between Worlds
  7. Authentic Love Song
  8. Oasis
 

 

Moonage Electric Ensemble

Moonage Electric Ensemble

 
 
 
 
このアルバムではLight Yearsと、Between Worldsがオススメです。
特にLight YearsはCALMの初期の代表曲とも言える名作で、この曲が4バージョン収録されたミニアルバムが出たり、ボーカル付きでリメイクされたりもしています。
 
 
 

 

CALMは、他にも良い作品がたくさんありますし、DJとしても活躍中で、別名義でも作品をたくさんリリースしてます♪

 

www.music-conception.com

ミステリー×純文学=中村 文則

 

こんにちは☆

初投稿ですが、まず僕が大好きな小説家・中村文則さんの紹介をしたいと思います!!

 

中村文則さんは、2002年に『銃』でデビューした小説家で、この作品で新潮新人賞を受賞し、2作目の『遮光』野間文芸新人賞、3作目の『土の中の子供』芥川賞を受賞した今をときめく超売れっ子作家さんです!!

 

『掏摸』大江健三郎賞『私の消滅』ドゥマゴ文学賞を受賞し、海外でも「掏摸」の英訳 「The Thief」は、ウォールストリートジャーナル紙で、2012年のベスト10小説に選ばれ、2013年のロサンゼルス・タイムズ・ブック・プライズにもノミネートされたました。「悪と仮面のルール」の英訳(EVIL AND THE MASK)はウォール・ストリート・ジャーナル紙の2013年のベストミステリーの10作品に選ばれています。

 

僕と同い年で個人的にもシンパシーを感じる中村さん。初期から徐々に作風も変化していろんなチャレンジをされていますが、登場人物が皆何か問題を抱えて生きていて作風も暗いトーンで描かれているのがたまらなく好きです♪根暗な僕にはピッタリです(笑)

 

人間の持つ根源的な闇や、歪み、狂気を描いていて歪な人間関係の中に芽生える愛についても描かれているように思います。基本的にバッドエンドというか、救いのない話が多いように思えますが、最後に少しだけ希望を提示する描き方がとても好きです。

 

彼が必ずあとがきの最後に添える一言。

「共に生きましょう」

の言葉に、中村さんの願いが込められているように思います。

 

世界は残酷で、運命は無慈悲で、神は不在を続けるこの世界。

そんな嵐の夜の濁流に飲まれて打つのめされて何もかも失っても、それでもこの世界に共に生きていく。

そんな、メッセージが込められているように思います。

 

暗いテイストの小説が多い中村文則さんですが、性格もさぞかし暗いのだろうと思いきや、お笑いが好きで、社交的だったりして意外と(失礼w)明るい性格の方みたいです。

ブレイク前のピースの又吉さんとも親交があったり、西加奈子さんとも仲が良いみたいですね。TV番組の「僕らの時代」でも3人で出演してました。

エッセイや、短編でも下ネタを飛ばしたり、自分をディスったりと案外ユニークな人物のようです。

なんか、この辺のキャラクターが太宰とかぶる感じがするのは僕だけでしょうか?

 

 

僕と中村文則さんの作品との出会いは、芥川賞を受賞した『土の中の子供』でした。

芥川賞を受賞した作品で、なんか暗いトーンで純文学っぽいから読んでみるかと読んでみたものの、その時は正直あんまりピンとくるものはありませんでした。

 

それからしばらくして、デビュー作の『銃』を読んで完全にノックアウトされました。

文庫本の帯の「次は・・・人間を撃ちたいと思っているんでしょう?」の文言にも惹かれまくり♪

当時の僕は「純文学的な作品」を求めてて、物語性を排除して人間の内面をえぐり出すような小説を読みたいと思ってました。

いや、純文学ってナニって言われるとよー答えんのですがねw

 

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とにかく大学生が銃を拾って、魅せられていきやがてはカタストロフィーが訪れるこの作品にどっぷりハマり、他の作品を片っ端から読みあさりました。

余談ですが、『銃』は昨年村上虹郎主演で映画化しました。

ええ、もちろん映画館で観てきましたよ!!村上虹郎の西川も雰囲気あってイイ感じでしたし、白黒の画面も作品のテイストに合っていたように思います。

個人的にはいい映画だと思いました!!

リリーフランキーの刑事役もいい味出してました。

 


『遮光』『悪意の手記』『土の中の子供』
『最後の命』『何もかも憂鬱な夜に』『世界の果て』あたりまでは、不幸な生い立ちで精神的にトラブルを抱えた主人公が運命に翻弄されながら生きていく/破滅していくみたいな作品が多かったように思います。

それが8作目の『掏摸』からがらりと作風が変わっていきます。

 

 

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今まで、主人公の内面が主なテーマだった作品に対立する「悪」が描かれミステリー要素も出てきました。

登場人物、場面も増えて物語としても「おもしろく」描かれるようになりました。

ミステリー要素が出てきても、純文学的な主人公の内面的な暗さや、歪み、狂気などは丹念に描写されて、主人公以外にも歪みを持って生きている登場人物が描かれるようになりました。

『掏摸』『悪と仮面のルール』『王国』あたりはその手法で描かれていて、「悪」とは何かについて描かれながら、運命に翻弄されながらもがく主人公の姿が描かれています。ちなみに『掏摸』と『王国』は姉妹編です。

 

『迷宮』『去年の冬、きみと別れ』『あなたが消えた夜に』『私の消滅』『その先の道に消える』はそこからさらにトリックを用いてよりミステリー要素を濃くした作品でよりそれぞれの登場人物の内面を深く掘り下げた作品になってます。

去年の冬、きみと別れ』『あなたが消えた夜に』のトリックは、読みながら「ええっどいうこと?」って声が出そうになりました。

 

『R帝国』では、暗い近未来=ディストピアが描かれた作品でスマホがさらに進化して、人々になくてならなくなったヒューマンフォンや、架空の日本「R帝国」を舞台に戦争の裏に蠢く国家の策謀が描かれています。最近、政治的な発言が多い中村さんらしい作品ですね。

 

そして、『教団X』は最長にして代表作で、教団Xを巡り運命に翻弄される2組の男女が描かれていて、個々の登場人物の想いや息遣いが生々しく表現されている最高傑作だと思います!!

 

以上、かなりザックリとした作品の紹介でした(^_^;)

また、各作品別にしっかり書評も書いてみようと思います!!

 

もしこれから中村文則さんの作品を読まれる方にベスト5を挙げるとすれば・・・

 

1、『掏摸』

 

掏摸(スリ) (河出文庫)

掏摸(スリ) (河出文庫)

 

 

2、『去年の冬、きみと別れ

 

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

 

 

3、『悪と仮面のルール

 

悪と仮面のルール (講談社文庫)

悪と仮面のルール (講談社文庫)

 

 

4、『銃』

 

銃 (河出文庫)

銃 (河出文庫)

 

 

5、『その先の道に消える』

 

その先の道に消える

その先の道に消える

 

 

 

になりますかね。

これからも活躍してほしいです!!