ってなわけで、村上 春樹です。
これほど世界的に高い評価を受けながら、これほど好き嫌いがはっきり分かれる作家がいるのでしょうか?
いや、いない(反語)
アンチの人は、表現が回りくどくてキザったらしいとか。
主人公に主体性がなくてイライラするとか。
主人公がバーで飲んでるだけで女の子と簡単にエッチできてイラつくとか。
なんか羊男とか、騎士団長とか訳の分からないのが出てくるとか。
みなさんは、村上 春樹が好きですか?
あっ、僕ですか?
僕はもちろん・・・。
好きじゃァァァァーーーーーーー!!!!!
あっ、すみません。。
好きすぎてテンションがアガってます(笑)
僕が春樹の小説を初めて読んだのは、19歳の時でした。
当時、志望校に軒並み落ちて高知県のT塾予備校の寮で浪人生活していました。
肩身の狭い浪人生活の上、地元じゃないから友達も少なくて娯楽もなかったので図書館で本を借りたり音楽を聴くのが唯一の娯楽でした。(いや、勉強しろよw)
予備校でできた友人のAくんが本、音楽、ファッションに詳しくて教えてもらったおすすめの小説の一つが春樹の『ノルウェイの森』でした。
(余談ですが、Aくんは超絶イケメンで、服装もアニエスとかのシャツがめっちゃ似合ってて、音楽はOASIS、BLUR、SUEDE、RADIO HEAD聴いてて、小説は太宰治とか、三島由紀夫、川端康成とか教えてもらいました)
主人公のワタナベと同い年で、同じ寮生活ということもあって、謎のシンパシーを感じ影のある恋愛物語に深く引き込まれていきました。
村上 春樹は1979年に『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞し、デビューしました。どことなく乾いてクールな雰囲気で、独特の台詞回し、日本とは思えない感じの世界観が異彩を放っていたようです。これも春樹がアメリカのペーパーバックを読みあさってあまり日本の文学に触れていなかったことにも関わりがあるかもしれません。以降も、文壇とは距離を保ちつつ独特の地位を築いていきます。
それから、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』(上下巻)を発表し作家としての地位を確立させます。
この初期3作は3部作とも呼ばれて「僕」と、「鼠」をめぐる物語が描かれています。
それは、幸福と自己実現に満ちた物語ではなくて、諦観と、喪失に彩られた物語であったように思います。
これらの作品が発表された1970年代後半~1980年代前半は日本も高度経済成長期でバブル前夜のイケイケの時期でした。
そんなマッチョな時代に冷めていて、喪失感に満ちた物語を書く春樹。
いや、ゼッタイひねくれ者でしょ!!
春樹は、いつも時代に対してのカウンターのような物語を作っているように思います。
現に、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、9.11、東日本大震災と災害・テロが続き、日本経済が落ち込み悲観に満ちた時代になった近年は希望に満ちた物語を作っているように思います。
『1Q84』では、「私には愛がある」と青豆が愛を語り結ばれ、『騎士団長殺し』では、春樹の作品史上初めて(たぶん)夫婦に子どもが誕生します。(受胎方法はオカルティックですが)
そして、後味の悪さを残しつつも一応のハッピーエンドで愛する人と一緒になれる結末を描いています。
1985年。4作目の長編小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が発表されます。個人的には村上春樹の小説の中で1番好きな作品で、僕が好きな小説のベスト10に入る作品です。
ちょっとずれた現実世界の「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と、異世界としか思えないファンタジーな世界の「世界の終り」の章が交互に進行する作りの物語なのですが、この2つの物語の繋がり方がとてつもなく衝撃的で、物語の世界に入り込みすぎて脳がショートして失神するかと思いました(笑)
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村上春樹の話は尽きませんがとりあえず今日はここまでで、其の弐に続きます。
多分。