1、作品の概要
『ポートレイト・イン・ジャズ』は文章・村上春樹、イラスト・和田誠のイラスト&エッセイ集。
和田誠が描いたジャズミュージシャンのイラストに、村上春樹がエッセイで彼らの音楽への思いを語った。
1992年に和田誠が20人のジャズミュージシャンを描いた個展『JAZZ』を開き、村上春樹の目に止まったことから2人のコラボレーションが実現した。
1997年に単行本『ポートレイト・イン・ジャズ』が刊行され、2001年に『ポートレイト・イン・ジャズ2』が刊行された。
2004年に2冊をまとめて、さらにボーナストラックとして新たに3編を書き下ろした文庫版が刊行された。
2、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ
村上春樹は1番好きな作家で、彼の小説はすべて読んでいて、何度も繰り返し再読していますが、エッセイ作品はわりと読んでないものも多かったりします。
『ポートレイト・イン・ジャズ』も、ジャズがテーマということもあり、最近まで別にジャズ好きじゃなかった僕は読んでいませんでした。
しかし、最近ジャズが好きになり、ぜひ読んでみたい1冊に。
推しの作家が自分の好きなジャンルのことをエッセイで書いてるとか読みたいにも程があります。
余談ですが、村上龍がサッカー元日本代表の中田英寿と大の仲良しだった時にサッカー関連のエッセイやら小説やら書きまくっていましたが、めっちゃ面白くて全部読んでいました(笑)
文庫本でもネットで買うと1000円越えで購入を躊躇していましたが、ブックオフで700円ぐらいでゲット!!
状態も良かったですし、ラッキーでした。
中古でもあまり『ポートレイト・イン・ジャズ』の文庫は見かけないので、即手に取って小躍りしながら会計に向かう眼鏡中年の姿がそこにありましたとさ。
3、感想
なんか中学生ぐらいの恋愛とかでさ。
好きな女の子と共通の話題が欲しくて、その子が好きなバンドの曲を聴いてみたりして。
お近づきになるべく努力したりしたこともあるやなしや。
転じて、推し作家に少しでも近づくべくというわけでもなかったのですが、ジャズ好きになってみるてこの本を読んでみると、推しの村上春樹と共通点ができたことにニヤニヤ笑いが止まりませんでした。
下劣な話ですが、他の村上主義者の皆さんより一歩先んじたような、謎の優越感すら覚えながら『ポートレイト・イン・ジャズ』をふんわり読みました。
クラスで3番人気ぐらいの村上くんの好きな音楽の話がわかっちゃう地味な女子の気持ちってこんな感じ?
村上くんのこといいなって思ってるヨシコちゃんとか、エミちゃんも知らないジャズの話が私にはわかっちゃうんだからね!!みたいな?
いや、まあたいして詳しくはないんですがね(笑)
『ポートレイト・イン・ジャズ』に書かれている中で、だいたい半分ぐらいのミュージシャンは知ってて、あと半分は知らないかたでした。
ああ、でもこの本に書かれているアルバムCD(LPは高いのでね・・・)を全部買っちゃおうかしらとかも思ったりして。
ちなみに紹介しているアルバムを何枚か持っていて、なんかうれしかったっすわ。
あれ?これってもう俺と村上春樹って親友レベルなんじゃ・・・?
ワンチャンLINE交換とかできるんじゃね?(村上春樹はLINEはやってない予感はしますが)
っていう謎の錯覚が頭をよぎりました。
2人のいい歳したオッサンが、きゃっきゃっ言いながらジャズについて語った1冊。
しかし、なにかとても個人的でガチガチな「これぞジャズガイドブックですぞ!!」のような感じじゃないのが肩の力が抜けていて良いですね。
なんせ、ジョン・コルトレーンもキース・ジャレットも入ってないんですからね。
ジョン・コルトレーンは大好きなので、本書のちょっとガッカリした部分ではあるのですが、ただそのへんが逆に個人的な好みだったり、和田誠が描きたいと思わせるジャズ・ミュージシャンかどうかっていうコンセプトにも通ずる感じがするので、なにか手作り感も感じられて良いかなと思いました。
村上春樹もリラックスして肩の力を抜いた文章でジャズミュージシャンたちについて書いています。
彼の文章を読んでいると、やはりジャズはレコードで聴きたいなという欲求がむくむくと頭をもたげてきますが、それはまた新しい沼への誘いであり、今のところはなんとかその欲求を抑制することができています。
ミュージシャンたちを褒めるだけではなく、批判もしたりしていて、僕が好きなハービー・ハンコックがまあまあディスられていたのには軽くショックを受けました(;^ω^)
しかし、おすすめにあげていた『処女航海』は僕のフェイバリットでもあり、そのアルバムを聴きながらこの文章を書いています。
ジャズが好きじゃなかったら、楽しめるかどうかわからない本ですが、和田誠の特徴をよくとらえたイラストと、肩の力を抜いてあーだこーだと好きなことを言っている村上春樹の文章が楽しめる1冊だと思います!!
4、終わりに
文庫版で350ページ近くある肉厚な作品。
『ポートレイト・イン・ジャズ』は文庫版にしてはお値段も高いですが、内容は超充実していました。
いやー、やっぱりジャズっていいな~。
そんな気分にさせられる1冊でした。
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