ヒロの本棚

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【映画】『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

1、作品の概要

 

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、アメリカ、イギリスの映画。

2024年4月12日に全米公開され、2024年10月4日に日本で公開された。

監督・脚本はアレックス・ガーランド

主演は、キルスティン・ダンスト

ヴァグネル・モウラ、スティーヴン・ヘンダーソン、ケイニー・スピーニーが出演している。

製作会社、配給はA24。

上映時間は、109分。

2024年12月6日からアマゾンプライムビデオで見放題独占配信されている。

内戦で分断されたアメリカの姿を描いた。

 

 

 

2、あらすじ

 

FBIを解散させるなどの大統領の暴挙に、19の州が分離独立を表明。

テキサス・カリフォルニアの「西部勢力(WF)」は政府軍を撃退し、首都ワシントンへと迫っていた。

ベテラン戦場カメラマンのリーと記者のジョエルは、大統領にインタビュー取材を行うべく、計画を立てていた。

リーの師である記者サミーと、戦場カメラマン志望の若い女ジェシーも加わり、ニューヨークからワシントンへ向けて出発する。

しかし、内戦で蹂躙された街は変貌を遂げていて、過酷な現実を一向に突き付けるのだった。


www.youtube.com

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

Xで観に行って衝撃を受けたと、感想を書いている人が多くて気になっていました。

アメリカの内戦を描いた作品ということでしたが、スリラー、ヒューマンドラマっぽい感じで良かったです。

公開からあまり日が経っていないのに、早くもアマゾンプライムビデオで見放題配信が開始とのことで、配信開始日だった昨日さっそく観てみました。

 

 

 

4、感想(ネタバレあり)

 

アメリカが分断されて内戦が起きて、やがてアメリカ合衆国という国自体が消滅してしまう悪夢のシナリオ。

元々、移民がほとんどで多民族国家でもあるのがアメリカなので、独裁的なリーダーが暴走すれば内戦が起きる可能性を孕んでいるのだと思います。

スペインなんかもそうですが、多民族国家というのは難しいですよね。

独立運動も盛んですし、カタルーニャなんかは特に独立機運が盛り上がっているようですね。

過去には、ユーゴスラビア連邦ソ連の崩壊もあり、国境線が書き換えられて、国がバラバラになるということが起こっています。

日本は、単一民族国家であるのであまりピンときませんが、第2次世界大戦の時はロシアに北海道をぶん取られそうになったり、沖縄がアメリカの支配下に置かれたりという状況に晒されたことがありますし、今後も何が起こるかわからないと思います。

 

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』では、アメリカの分断を皮肉っているかのような、内戦下のアメリカの様子をリアルに描いています。

ワシントンへと向かう道中に見た光景は様々で、この内戦下での人々のむき出しの本能と、関わり方の落差でした。

内戦と全くノータッチであえて何も見ないようにして生き続ける人たち、何ものかもわらかない相手と銃撃を繰り広げる兵士、民間人を大量虐殺する謎の兵士たち。

極限化で解放される本性、そして混乱。

 

荒廃した風景も衝撃的で、特にハイウェイで大量の車の残骸を掻き分けるように走っていく場面とか震えました。

音楽の使い方もめちゃくちゃ効果的で、アメリカの古いロックバンドを中心に多くの挿入歌が使われていました。

サントラ、ちょっと欲しいかも。

filmmusik.jp

 

赤いサングラスの兵士が、「どういう種類の米国人だ?」と問いかけ、ジョエルの友人たちを射殺していくシーンは背筋が凍りました。

少し前まで、同じ国の人間だったはずなのに・・・。

しかし、内戦が起こっていない現在のアメリカでも人種差別などの分断によって血が流れていることへのアイロニーのようにも感じました。

サミーが瀕死になり、燃える森の中を車で走るシーンはとても幻想的で美しく、サミーのうっとりとした表情と相まって好きなシーンです。

 

サミーの遺体をWFに埋葬してもらいますが、もうここに来るまでに地獄のような光景のオンパレードで3人ともメンタルが焼け野原状態。

それでもホワイトハウスの大統領のもとへと急ぎますが、気丈に振る舞っていたかに見えたリーが突然ぶっ壊れます。

サミーの死のこともありますが、これまでたくさんの死をカメラに収めて世の中に戦争の無残さ、無意味さを訴え続けてきても報われなかった空虚さが積もり積もって彼女の精神を唐突に蝕んだように見えました。

心を殺して、感覚を麻痺させていなければ、残酷な風景を切り取り続けることなどできはしなかったのでしょう。

しかし、サミーのしがきっかけで、意図的に切り離していた心の回路が繋がってしまったような印象でした。

 

冒頭で爆撃で死んだ人を冷静にカメラで撮っているリーを見て「私が撃たれてもカメラで撮ってそう」みたいなことをジェシーが言っていました。

なんかのフラグっぽいなとか思っていましたが、ラストで意外な形で伏線回収されました。

ハイテンションでホワイトハウスに突っ込んでも写真を撮りまくるジェシー

序盤でビビりまくっていた姿が嘘のようですが、成長を通り越してなんかヤバめな感じが・・・。

とか思っていたら撃たれそうになり、彼女を庇ったリーが銃弾に倒れることに。

その彼女の姿をカメラに収めたのがジェシーでした。

逆にリーが撃たれる姿をジェシーが撮ることになるなんて・・・。

とても皮肉な展開でしたが、これもある種の継承のかたちのようにも感じました。

 

大統領にインタビューするジョエルですが、かえってきた言葉は陳腐な命乞いの言葉。

あっけなく、WFの兵士に射殺されました。

虫でもひねり潰すかのように無造作に。

この映画での殺戮シーンは、こういった雑でシステマチックな殺し方が多く、リアルで冷たい感じがしました。

 

 

 

5、終わりに

 

こうして、アメリカは最後の日を迎えるわけですが、このあとはどうなんるんだろう?

独立国家が乱立し、争いが耐えなくなるんじゃ・・・?

とか、プチ妄想しちゃいました。

 

生理的嫌悪を掻き立てられるような映画。

さすがはA24ですね(笑)

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