ヒロの本棚

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【映画】『ミナリ』~全てのおばあちゃんに捧ぐ~

1、作品の概要

 

『ミナリ』は2020年12月に公開されたアメリカの映画。

自身も韓国系移民二世であるリー・アイザック・チョンが監督・脚本を担当。

主演は『ウォーキング・デッド』『バーニング』『NOPE』などで知られるスティーヴン・ユァン。

ハン・イェリ、ユン・ヨジョンらが出演している。

上映時間は115分。

製作会社は『ミッド・サマー』『ムーンライト』などのA24と、ブラッドピットのプランBが共同で関わった。

第93回アカデミー賞では作品賞など6部門でノミネートし、ユン・ヨジョンが助演女優賞を獲得した。

アーカンソー州に移住した韓国系移民の家族と祖母の絆を描いた。

2023年7月現在アマゾンプライムビデオで配信中。

 

 

 

2、あらすじ

 

1980年のアメリカ。

韓国野菜の農場を経営して成功者となることを夢見てアーカンソー州に移住して生きたジェイコブ・イ(スティーヴン・ユァン)一家。

ジェイコブは楽天的だが、先の見えない生活に妻のモニカ(ハン・イェリ)の不満は溜まるばかり。

しかし、アンとデビットらの子供たちは周囲に溶け込み順応していっていた。

家計を助けるために養鶏場で働くモニカは、子供たちをみてもらうために、実母のスンジャを呼び寄せる。

毒舌家で破天荒なスンジャになかなかデビットは懐かなかったが、徐々に心を開くようになる。

だが肝心の農場経営は軌道に乗らず、夫婦仲は険悪になっているなかスンジャが脳梗塞で倒れてしまう・・・。


www.youtube.com

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

『パラサイト 半地下の家族』や『別れる決心』など最近の韓国映画はいい映画が多いです。

『ミナリ』はアメリカ映画ですが、韓国系移民の監督リー・アイザック・チョンとスティーヴン・ユアンが織り成す、韓国系移民の家族の物語で、作中でもセリフの半分は韓国語で韓国の映画のようです。

そして、『ミッド・サマー』『ラム』『パール』など、ちょっとクセのあるヤバめの映画を手がける製作会社A24が関わっていますが、ここが関わっている映画は好きなやつが多いです。

『Amy』『レディバード』とかも良かったですね~。

アカデミー賞を期待されていて、注目されていた作品で前からレンタルしようか悩んでいたらアマゾンプライムビデオ様が配信決定。

ありがたや~、ありがたや~。

hiro0706chang.hatenablog.com

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4、感想(ネタバレあり)

 

タイトルの「ミナリ」は韓国語でセリを意味するみたいですね。

タイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜のセリ(芹)。

たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている。

理不尽かつ不条理な運命に倒れてもまた立ち上がる─。

人生は続き、明日は必ず来ることの貴さを伝えてくれる、今こそ求めていた希望の物語。

公式サイトでは、こんな文章が書かれています。

スンジャおばあちゃんが娘のモニカのことを想って奮闘し、モニカはデビットとアンのことを想う。

子供世代のために親が懸命に生きる姿は、日本でいうとゆずり葉のようでありますね。

 

ジェイコブの農場経営もなかなかうまくいきませんが、一攫千金を夢見るのも彼なりの家族への子供たちへの愛情であったのでしょう。

それがうまくいかずにすれ違って夫婦仲が険悪になっていくのは忍びなかったですが、男親としてそういう形で家族を養って幸せにしたいと思う気持ちがわかる気がします。

 

イ一家が住んでいるのは野山に囲まれたトレーラーハウスで、日本で言えば「山の中のポツンと一軒家」案件ですね(^_^;)

アメリカの片田舎ではこれぐらいは当たり前なのでしょうか?

しかし周りの自然を撮った映像なんかがとても美しく、のんびり暮らすにはいいことかもな~とか思いつつ観てました。

 

でもなんのコネもなくて、縁もゆかりもない土地で農業をやって一発当てるのは至難の業でしょうね・・・。

気候とか、土とか、水とか、流通ルートとか。

その土地ならではのものもあり一筋縄ではいかない。

楽天家で夢見る少年のようなジェイコブにモニカが不安になるもの無理ありません。

それにデビットが病気を持っていて、病院に通院する問題もあります。

状態が急変した時にある程度大きな総合病院が近くにないと不安ですしね。

おまけに家はトレーラーハウスで、キャンプかっ!!って感じで(笑)

 

険悪になる夫婦仲ですが、救世主となったのがモニカの母親のスンジャ。

おばあちゃんの登場で子供たちも任せられるし、モニカも母親が来たことで情緒的に落ち着きます。

ただデビットに「おばあちゃんらしくない」と言われてしまうように、毒舌で花札なんかしてるスンジャはちょっとスレたおばあちゃんでいいキャラしてましたね!!

ユン・ヨジョンのアカデミー賞助演女優賞受賞も納得です。

 

エンドロールで「全てのおばあちゃんに捧ぐ」と出ていましたが、この映画では良くも悪くもスンジャおばあちゃんがイ一家の趨勢を左右するキーマンのような存在になっていたと思いますし、いたずらっ子のデビットもスンジャには刺激を受けていたんだと思います。

脳梗塞の後遺症で片麻痺が出て、ちょっと認知のレベルも怪しくなってしまったスンジャ。

ラストでの彼女の失火はジェイコブが売り込みをかけていた野菜を全て燃やしてしまいましたが、離婚寸前だった2人の仲を再び引き戻すキッカケにもなったように思います。

そして水辺にスンジャが植えたミナリがこれからの家族の希望になるような、そんなふうに感じました。

それはまさに激しい風雨が襲いかかろうとたくましく地に根を張り、子供世代の幸せを願うスンジャの想いがこめられたミナリだったのでしょう。

 

 

 

5、終わりに

 

何十年と一緒に家族として暮らしていれば本当に色んなことが起こって、いいことも悪いこともたくさんありますよね。

そんな時に若い夫婦だけで苦難を乗り越えるのに心もとなく、おばあちゃん世代の力が助けになる、昔からの知恵と経験が苦境を脱する一助になることもあるのかなと思いました。

 

僕自身おばあちゃん子だったので、何か共感するところも多かったです。

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