ヒロの本棚

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【映画】『LAMB』~甘美な悪夢~

1、作品の概要

 

『LAMB』は2021年に公開されたアイスランドスウェーデンポーランドの合作映画。

上映時間は106分。

監督・脚本はヴァルディマル・ヨハンソン。

主演はノオミ・ラパス

第74回カンヌ国際映画祭ある視点でオリジナリティ賞を受賞。

 

 

 

2、あらすじ

 

片田舎で牧羊を営むマリア(ノオミ・ラパス)とイングヴァルの夫婦は、娘のアダを亡くした過去を持っていた。

ある夜に何者かが羊小屋に侵入し、のちに人間でも羊でもない「何か」が生まれる。

夫婦はその「何か」に娘と同じ名前のアダと名付け自分たちの子供のように大事に育て始める。

金銭のトラブルの末、昔のように家に転がり込んできたイングヴァルの弟のペートゥルは異形のアダに驚き、一度は銃で撃ち殺そうとするが、思いとどまる。

マリアはアダを溺愛し、アダの母親の羊を銃で撃ち殺し埋めてしまう。

幸福に暮らしていた4人だったが、何者かの影が迫っていた・・・。


www.youtube.com

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

以前から気になっていたこの映画。

気になっていた矢先にmiyakoさんの感想を読んで、面白そうだったので観てみました。

www.421miyako.com

 

R5年2月現在、アマゾンプライムビデオで配信しています。

 

 

 

4、感想(ネタバレあり)

 

『LAMB』でネット検索をすると関連で出てくる映画が、多くの人々を恐怖のどん底に陥れた『ミッドサマー』だったりします。

『LAMB』の内容も推して知るべしですね(笑)

かなりザワザワする不穏な内容になっています。

北欧が舞台で、白夜が描かれているという点にも共通点があると思います。

 

荒涼としたアイスランドの自然。

夫婦2人きりの生活で、見渡す限り民家も全くなく、荒涼とした地肌が剥き出しになった山々に四方を囲まれている環境。

白夜で、夜でも沈まない太陽。

とても美しい自然なのですが、夫婦2人きりの生活はどこか寂しくうらぶれていて、2人の心の中で少しずつ何かが壊死していくように僕には見えました。

 

それは一人娘のアダを亡くしてしまった寂しさによるものでもあったのでしょうか?

映像も青みがかっていて寂寥感を掻き立てられるような感じです。

自然も美しくて、映像も好きな感じなのですが、どこかゾッとするような寂しさを感じされました。

 

しかし、本当にゾッとさせられるのはアダと名付けられた「何か」が生まれてからでした。

まずマリアが、その「何か」に「アダ」と亡くなった娘の名前を名付け溺愛し始めます。

訝しみ、違和感を感じつつもマリアに引き摺られるようにアダを溺愛し始めるインヴァル。

 

閉鎖し、完結した小世界。

幸福という名の狂気。

もしこれが普通の街での出来事であったなら、社会の中でこんな異常な存在は認められずに、少なくともアダは自由に外を歩くことは叶わなかったでしょう。

しかし、人里離れた環境であることが幸い(あるいは災い)し、社会から断絶していることで夫婦は共同幻想に身を任せてアダを2人の「幸せ」と認識するようになります。

 

弟のペートゥルの登場はそんなふうに隔絶されていた社会や、常識を思い起こさせるようなものでした。

異形のアダへの嫌悪と、マリアとイングヴァルの態度への違和感。

ここでアダの全身が初めて映し出されますが、個人的には生理的嫌悪がマックスなシーンでした。

にこやかに「幸せ」を連呼するイングヴァルに対してペートゥルが感じた強い拒絶。

僕も同感でしたよ(^_^;)

わかるぞ!!ペートゥル!!

 

しかし、一時は2人の目を覚まさせるためにアダを銃殺しようとした彼も、いつの間にかアダを愛でるようになっていきます。

閉鎖された環境では多数派の常識が主流となっていき、外の世界では異常と思えるようなことも常識としてまかり通るようになる。

そういうことなのでしょうか?

 

すべての根源はマリアの母性の暴走にあったのでしょうが・・・。

そのために産みの母親である母羊を殺し、埋めてしまいます。

この行為がラストシーンの悲劇を生む因果となることも知らずに・・・。

公式サイトの感想をザク読みしましたが、「神話的」というフレーズが出ていて、なるほどと思いました。

半獣人というのも、ミノタウロスや、ケンタウロスの神話の登場人物を想起させます。

 

結局、歪んだ形で手に入れた幸せは長続きしないということなのでしょうか?

死んだはずの娘の名前をつけた半獣人のアダは、あるべき処に帰っていき、悲劇が夫婦を襲いました。

hiro0706chang.hatenablog.com

 

 

 

5、終わりに

 

最後に出てくる半獣人が禍々しくてヤバかったです。

「羊男」っていうと村上春樹の可愛いあの方を想像してしまいますが・・・。

ヤツが羊とまぐわって誕生したのが、アダだったのですね。

miyakoさんの感想にもありましたが、僕もしかしたらイングヴァル異種交配したのかとも思ってました。

そっちもだいぶおぞましいですね(^_^;)

 

最近、観る映画の供給会社がA24のことが多いです。

いや、ここが手がけている映画はハズレがないように思います!!

『ミッドサマー』『WAVES』『ムーンライト』『レディバード』なんかもA24でした。

 

『LAMB』もだいぶ後味が悪い映画でしたが、印象に残る映画でした。

まぁ、こういう後味が悪いラストも好きだなぁ。

hiro0706chang.hatenablog.com

hiro0706chang.hatenablog.com

 

 

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