ヒロの本棚

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【映画】『WAVES/ウェイブス』~傷ついた若者たちが再び愛を信じて生きる希望と再生の物語~

1、作品の概要

 

WAVES/ウェイブス』は2019年に公開されたアメリカの映画。

上映時間は135分。

監督・脚本・製作はエドワード・トレイ・シュルツ。

主演は、ケルヴィン・ハリソン・Jr、テイラー・ラッセル。

物語は2部構成となっており、前半をタイラーの視点から、後半をタイラーの妹のエミリーの視点から描かれている。

音楽をナイン・インチ・ネイルズトレント・レズナー、アッティ・カスロスが担当。

監督本人が作成した31曲のプレイリストをもとに音楽と物語が共鳴し合うような独自の「プレイリストムービー」になっている。

 

 

2、あらすじ

【第1部】

高校生のタイラー(ケルヴィン・ハリソン・Jr)はレスリング部の主力として活躍し、日夜激しいトレーニングに励んでいた。

恋人のアレクシスとも深く愛し合っていて、順風満帆の日々だったが、肩に深刻な怪我が見つかることでタイラーの運命は暗転していく。

両親にも怪我を隠してレスリングの試合に出場するが、肩に強い痛みが出たこともあり、敗北してしまう。

かねてより厳しく高圧的だった父親との関係にも亀裂が入り、恋人のアレクシスの妊娠を巡るトラブルが起きてしまう。

追い詰められ、酒に酔ったタイラーは取り返しのつかない過ちを犯してしまう。

 

【第2部】

兄の犯した過ちにより、学校で孤立し、SNSでも攻撃されていたエミリー(タイラー・ラッセル)は、兄のチームメイトだったルークに声をかけられ懇意になる。

全ての事情を知った上で、好意を示す優しいルークに惹かれていくエミリー。

ルークと交際するようになったエミリーだったが、タイラーのことをキッカケに両親の夫婦仲は悪化し、家庭崩壊の危機に。

そんな折、ルークの離れて暮らしていた父親が余命幾ばくもないことを知ったエミリーは彼を励まし、2人で遠く離れたミズーリ州へと向かう。

ルークは父親と和解し、最後を看取ることができた。

その姿を見守ったエミリーは家族の再生に向けて行動を開始する。


www.youtube.com

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

音楽と深い関わりがある作品ということで、以前から気になっていた映画でした。

パッケージの写真もとても幻想的で、惹かれるものがあって。

アマゾンプライムビデオの公開終了間近ということもあり、このタイミングで観てみました。

音楽も映像も秀逸で、強いメッセージ性もあってとても良い映画でした!!

 

 

 

4、感想(ネタバレあり)

 ①タイラーの破滅

何もかもうまくいっていたようなタイラーでしたが、肩の怪我と、恋人のアレクシスの妊娠がキッカケで転落していきます。

ただちょっとタイラーの態度にも問題がアリアリというか、ちょっと調子こきすぎてたんじゃないのって感じもありましたね(^_^;)

まぁ、高校生だからしょうがないかもしれませんが、ちょっと自分勝手すぎる言動が多く、思い通りにならないとキレて暴力的になってしまうとことか、過失とはいえ殺人の罪を犯してしまうような危険な要素が数多くあったのだと思います。

 

妊娠しているアレクシスに対しての態度も冷淡だったと思いますし、自分のことしか考えていないような言動が多かったですね。

避妊はちゃんとしなきゃアカンですね。

 

それでも序盤のシーンで海の中で抱き合うパッケージのシーンはとても美しく、まるで世界が2人を祝福しているかのようにも見えました。

それだけに、何か他の結末はなかったものか・・・、とやるせない気持ちになりました。

 

追い詰められたタイラーが酒に酔い、自宅で大暴れして車に乗って飛び出しいくシーン。

何か決定的に悪いことが起きてしまうような不穏さに満ちていて、両親も、妹のエミリーもタイラーを止めることはできませんでした。

 

②エミリーが見つけた希望

兄が殺人者になってしまったことで、自らも周囲から疎まれ、SNSでも中傷のメールが届くようになってしまったエミリー。

そんな境遇に加えて、両親の不仲もあり、家庭も崩壊寸前。

幸せだった家庭はタイラーのせいでめちゃくちゃになってしまいます。

 

そんなエミリーの心を救ったのはルークで、彼のストレートな愛情と思いやりが、エミリーの氷のように冷え切った心を溶かし温めてくれました。

うん、ルークはめっちゃ良い奴ですね。

マナティを見に2人で車で小旅行に出るシーンとかとても素敵でしたね~。

どっかの海で泳いでいる場面とか、うまくいっていた頃のタイラーとアレクシスを彷彿とさせられましたし、車の窓から顔を出す場面はタイラーがノリノリで悪ふざけをしていたシーンを思い起こさせられました。

 

しかし、ルークは父親との離別を経験していてわだかまりを抱えていました。

そのわだかまりをエミリーの手助けで解消することで、エミリー自身にも家族の愛を取り戻すことを決意させます。

喪失と再生。

何か日本映画などでよく扱われるようなテーマのように思えましたが、内面を掘り下げていて好きな感じのテーマでした。

ラストで木漏れ日の中を自転車で走るエミリーの未来は、その景色と同じように光り輝いているものであったのでしょう。

 

③印象的な映像と音楽

監督自ら考えた31曲の音楽のプレイリストから作られた映画というだけあって、音楽との連動性、物語と音楽が共鳴し合うような場面が多く見られてそこも『WAVES/ウェイブス』の大きな魅力です。

ミュージカル映画みたいに登場する人物が歌ったり、踊ったりするのではありませんが、音楽の歌詞や世界観が映画の物語や登場人物の心情とリンクしていて、『プレイリストムービー』と言われているのもうなずけます。

 

僕の好きなエイミー・ワインハウスや、RADIOHEADの音楽も使われていてテンションがアガリましたね~。

↓こちらのサイトで詳しく解説されていました。

fansvoice.jp

 

映像も独特で、絵の具が滲むような抽象的な映像なんかもとても好きですね。

あまり商業的に成功した映画ではありませんが、とても良い映画でした。

 

 

 

5、終わりに

 

音楽とリンクした映画や、凄惨な出来事から再び立ち上がって再生していくような物語を綴っている映画が好きで、『WAVES/ウェイブス』はまさにその両方を表現していた映画だと思います。

hiro0706chang.hatenablog.com

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