ヒロの本棚

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【本】村上龍『69 sixty nine』~おバカでポップな青春小説!!~

1、作品の概要

 

1987年に集英社から出版された村上龍の7作目の長編小説。

1969年の長崎を舞台に、自伝小説的に自身の高校時代をコミカルに描いている。

「MORE」に連載されていた。

2004年に脚本・宮藤官九郎、主演・妻夫木聡で映画化された。

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2、あらすじ

 

長崎県佐世保の北高生・ケンは女にモテたいという理由で、親友のアダマ、岩瀬ら数人と高校をゲリラ的にバリケード封鎖するが、バレて停学処分を受けてしまう。

しかし、この事件をキッカケに天使のように綺麗な松井和子と仲良くなることができて有頂天なケンはフェスティバルを企画する。

音楽、映画、演劇などで構成されるフェスティバルを開催されるために奮闘するケンとアダマ(主にアダマが)だったが、様々なトラブルに見舞われる。

 

1969年を舞台に、村上龍自身の体験を描いた痛快な青春コメディ小説。


www.youtube.com

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ

 

大学生の時に読んだ作品で、村上龍の作品の中でも異色と言えるほど明るくてポップな青春小説ですが、とても好きな作品ですね。

あと、タイトルがエロい(笑)

学園闘争とかあった時代の物語が好きですし、その時代をこれだけポップに不純に描いた作品はなくて新鮮でしたね(笑)

映画もビデオ化されてからソッコーでレンタルした記憶があります。

 

昔買ってたはずなのに本棚になかったです・・・。

3~4回ぐらい引越しすると色々なものがなくなりますね(^_^;)

 

 

 

4、感想・書評

 

まずは、タイトルがエロい(笑)

まぁ1969年の物語ということなんですが。

これが「MORE」に連載されていたと思うと、僕のブログが『anan』に連載されて、表紙は僕の蝉ヌードで、抱かれたい男NO.1に選ばれて、たくさんの女性にanan言って頂く日々も夢ではないのでしょう。

 

・・・。

すみません。

ちょっとインターネットの電波が混線してしまったようで・・・。

最近、シリアス・ブラックもビックリなぐらいシリアスな書評が多かったので、ふざけたくてしょうがなかったんです。

まぁ、でもこんなノリの明るく楽しい青春小説で、他の村上龍の作品とは全く別物の作品ですね。

とにかくモテたい!!目立ちたい!!お祭り大好き!!元祖パリピだぜ!!イエア!!

っていう感じです(笑)

 

龍の作品が別に好きじゃない人も、この作品だけは別目線でたのしめるかもしれませんね。

龍自身も、

これは楽しい小説である。

こんなに楽しい小説を書くことはこの先もうないだろうと思いながら書いた。

と、言っていて、僕も全作品をフォローしたわけじゃないけど、この龍の言葉は2021年現在当てはまっていると思います。

 

ってか、『69』は1987年発表で7作目なんですね。

もっと初期作品かと思ってました。

作品年表見てて、かの名作『コインロッカー・ベイビーズ』が3作目の作品で、1980年に発表されたってのもすごい話ですね。

コインロッカーの影響で村上春樹『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』や、『AKIRA』が生まれたわけですからやっぱり時代を創りだすアイコンのような作家ですよね。

まぁ、ちょっとキザで気取ってる感じもあるんだけどそこも含めて好きですよ(笑)

 

物語は、あらすじに書いたとおりの単純明快さで、文章も会話が多くてめっちゃ読みやすいですね。

文章中、突然字のフォントが大きくなってて、多分僕のブログをパクったんでしょうね。

って、セカオワファンが電グルセカオワのパクリとか言ったノリですが(笑)

 

wikiで龍の来歴を見ながら書いてましたが、だいぶ自分の高校時代をそのまんま書いてますね!!

なんか目に浮かぶようだし、やっぱり目立ちたがり屋で女好きでアーティスティックな感じだったんだなと思いました。

そして、若干の胡散臭さも醸し出しつつ(笑)

 

痛快で楽しい青春物語ですが、学生闘争の暗部や、戦争とアメリカ軍の影を感じる佐世保という土地も光に映し出された影として描かれています。

決して明るい時代じゃなかったのかもしれないけど、あえて笑って生きるみたいな龍自身のフィロソフィーが投影されていたように思いますし、「楽しんで生きること」の大事さも説かれていたように思います。

1969年に生まれた人々は、ひょっとしたら今(1987年5月)高校生なのではないだろうか?

できれば、そんな人達に、読んで欲しい。

あとがきでこんなことを書いているのはこの作品ぐらいだと思いますし、とてもポップで読みやすくて、ゲラゲラ笑えるような小説を書きながら、龍自身が若い世代に向けてメッセージを発したのではないかと思います。

 

楽しく生きること。

現実に絶望せずに、頭を使って周りを巻き込んでやりたいことをやること。

つまらない大人や、くだらないクラスメイトに対しては徹底して戦うこと。

ってな感じでしょうか?

龍自身が生きた時代もタフな時代だったと思いますし、田舎の街でどうやったら楽しく過ごせるか知恵を絞って、そして実行に移したのだと思います。

 

モテたい。

目立ちたい。

楽しく生きたい。

の、何が悪い!!

そういった自身の行動に白い目を向ける連中とはトコトン戦うと作中で宣言していますし、彼は正にそういった考え方のもとに人生を送っているのだと思います。

 

楽しんで生きないのは、罪なことだ。わたしは、高校時代にわたしを傷つけた教師のことを今でも忘れていない。

数少ない例外の教師を除いて、彼らは本当に大切なものをわたしから奪おうとした。

彼らは人間を家畜へと変える仕事を飽きずに続ける「退屈」の象徴だった。

そんな状況は、今でも変わってないし、もっとひどくなっているはずだ。

だが、いつの時代にあっても、教師や刑事という権力の手先は手ごわいものだ。

彼らを殴っても結局こちらが損することになる。

唯一の復讐の方法は、彼らより楽しく生きることだと思う。

楽しくいきるためにはエネルギーがいる。

戦いである。

わたしは戦いを今も続けている。

退屈な連中に自分の笑い声を聞かせてやるための戦いは死ぬまで終わることがないだろう。

最近、若い頃なんであんなに村上龍に傾倒していたんだろう?って思うことがあったんですが、その答えの一端がこの文章のような龍の考え方、生き方だったと思います。

大学生の頃、彼のエッセイなどの文章もとても好きで読みあさっていましたし、20代の頃に彼の生き方に絶大な影響を受けていたのだと思い出しました。

いや、忘れんなよって感じですが(笑)

ただ楽しいだけではなくて、そんな村上龍の人生哲学が詰まった1冊だと思います。

 

 

 

5、終わりに

 

村上龍はお祭り好きで、飽きっぽい正確なんだろうなと思います。

これは問題発言かもしれないけど、特に2000年以降は小説を専門で書くことにも飽きているんじゃないかな?

 

僕も、ツィッターの読書アカの方々からしたら本当になんちゃって読書家ですし、読みたくない時は全然読まないし、全ては気まぐれで気分次第の人間です。

趣味もローテーションさせていないと楽しくなくなっちゃう。

それに新しいことを始めるのが好きで、自分が知らない世界に飛び込む時のドキドキ感は異常に思えるくらいに好きでで死ぬまでそういった感覚を追い求めていきたいと思っています。

元々不器用で恥をかくことが多いので、失敗して恥をかくのも全然怖くないです。

どうせ傷だらけの人生なんだから。

死ぬこと以外カスリ傷ってやつですね(笑)

 

龍にもそういったところで共通点を感じるというか、龍のそういったところに僕も影響を受けたのかもしれませんね。

村上龍は、作家という枠組みを超えてよりマルチに、新しい刺激と「楽しいこと」を追い求め続けているような気がします。

そうした経験をフィードバックして発表される物語は、他の作家が持ち得ないような唯一無二の作品になっているように思います。

 

って、そんなわけで結局最後はマジメかっ!!って感じですが(^_^;)

そんな龍を見習って、僕も『anan』の表紙を飾る夢に向かって走り続けたいと思います。

 

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