1、作品の概要
『アルファヴィル』は、1965年に公開されたフランスの映画。
監督はジャン=リュック・ゴダール。
主演は、エディ・コンスタンティーヌ。
アンナ・カリーナが出演している。
上映時間は99分。
第15回ベルリン国際映画祭で、最高賞である金熊賞を受賞した。
未来の都市・アルファヴィルで、人工知能に支配され、感情をなくした人々の姿を描いた。
2024年5月現在U-NEXTで配信中。
2、あらすじ
今より先の未来。
シークレット・エージェントのレミー・コーション(エディ・コンスタンティーヌ)は、ジャーナリストを偽り潜入していた。
任務は、失踪したエージェントのアンリ・ディクソンを探すこと、アルファヴィルを造ったフォン・ブラウン教授の身柄を確保すること、そして可能なら都市を支配する人工知能アルファ60を破壊すること。
教授の娘であるナターシャ(アンナ・カリーナ)と接触したレミーは彼女と行動を共にするが・・・。
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
村上春樹の長編小説『アフターダーク』に出てくる、物語上重要な場所である新宿のラブホテル・アルファヴィル。
ゴダール監督の『アルファヴィル』にちなんでつけられた名前だという話が作中でされていて、興味を持ちました。
映画を観たあとで、村上春樹がこのラブホテルの名前をアルファヴィルにしたことに強烈なアイロニーを感じますし、まあさすがのひねくれセンスだなと思います。
たしか作中で、マリが映画『アルファヴィル』を語るシーンがあったかと思いますが、日本でゴダール監督の代表作でもない『アルファヴィル』を観たことがある高校生って何人ぐらいいるんでしょうね(笑)
Xでフォローさせて頂いている方もおススメされていて、興味が湧いて観てみました。
ゴダール監督の作品は、難解で理解が及ばないところもありますが、なんか好きです。
4、感想
銀河系の首都であるアルファヴィル。
人工知能・アルファ60に支配された街。
とってもSF的な話ではありますが、映画の中で例えば宇宙船が出てきてワープしたり、タコみたいな宇宙人が出てくることもなく、フツーにパリで撮影されています。
なんかそのあたりが、ゴダール監督の言うところの「半SF」的な所以なのでしょうかね?
登場人物も限られていますし、そこまで多くの場所に行くわけでもなく限られた範囲で物語が展開していきます。
まず冒頭のシーンで、レミーがチェックインしたホテルの部屋のドタバタがヌーヴェルヴァーグっぽくていいっすね。
誘惑婦、謎の刺客。
めっちゃ銃撃戦やりつつ淡々としていてシュール。
「元気です。ありがとう。どういたしまして」というセリフがヒロインのナターシャをはじめ多くの登場人物から話されるが、これはある種のディスコミュニケーションのあらわれてであるように思います。
本当は、相手との言葉のキャッチボールで発せられるべき言葉たちが、集約されて完結してしまっている。
現代でも「ヤバい」「ウザい」みたいな言葉で多様であるはずのコミュニケーションが完結されて、美しく多彩である筈のたくさんの表現やことばが廃れていってしまっていますが、少しアルファヴィルと重なるように思いました。
そのうち、誰かに送るLINEの文面もAIが考えてくれるようになるし、すでに現代においてもAIの支配が始まって島ているのかもしれませんね。
アルファ60の独特な不思議な音声。
散りばめられたたくさんの言葉。
芸術の排除。
感情を露呈したものの処刑。
イメージが先行していますが、憂鬱な未来を予見しているかのように思えます。
そして、やはりアンナ・カリーナの美しさは圧倒的。
ただのアップのシーンなどでも、名画を眺めているような気分にさせられました。
5、終わりに
ってか、調べてたら1965年7月に『アルファヴィル』が公開して、11月に『気狂いピエロ』が公開されたんすねぇ・・・。
いやいやいやいや。
『オッペンハイマー』と『ダンケルク』を同じ年に公開しちゃいましたぐらいのインパクト?
凄すぎでしょ!!
ゴダール監督の作品、『勝手にしやがれ』とかまだ観てない作品ばかりなので観てみたいです~。
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