1、作品の概要
映画『ノルウェイの森』は、日本の映画。
2010年に公開された。
監督・脚本は、トラン・アン・ユアン。
玉山鉄二、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子、細野晴臣、高橋幸宏、糸井重里、柄本時生らが出演している。
音楽は、イギリスのバンドRADIOHEADのギタリストであるジョニー・グリーンウッドが担当した。
上映時間は2時間13分。
2025年10月現在、アマゾンプライムビデオで見放題配信中。

2、あらすじ
ワタナベは、高校時代に唯一の親友キズキが自殺したことで心に欠損を抱えたまま東京の大学に進学した。
キズキと交際していた直子と偶然再会して、心を通わせるようになるが、直子はワタナベの前から忽然と姿を消してしまう。
直子からの手紙を頼りに、心の病を回復させる施設「阿美寮」を訪れたワタナベはルームメイトのレイコさんとも交流しながら、直子を苛んでいる心の病のことを知る。
同じ頃に大学で知り合った活発な女性・緑と交流を深めて、次第に惹かれあうようになっていく・・・。
生と死。
緑と直子、2人への思慕を通して、ワタナベはどこにたどり着いたのだろうか?
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
いや、もう大好きな村上春樹の『ノルウェイの森』が映画化って観ない選択肢はないよね?って、感じで公開後にDVDで観ました。
村上主義者の方々からは、だいぶ酷評されているこの映画ですが、僕はそこまで嫌いではないですし、いいなと思う場面も多々ありました。
今回、アマゾンプライムビデオで見放題配信になったことと、Xで村上春樹的羊男さん主催のスペースが開催されるということで、もう1回観てみました。
4、感想(ネタバレあり)
映画『ノルウェイの森』が公開して15年が経ちました。
公開当時、あまり映画を観たりしなかった時期なので、公開後にDVDで観ました。
個人的には、松山ケンイチがだいぶワタナベっぽいなと思って、わりと好感を持っていました。
ただ、上下巻の小説を2時間13分で表現するには限界がありました。
当初は3時間越えの大作だったみたいですが、当時長尺の作品が少なく上映時間を短く削ったみたいですね。
もともと映画という分野での表現の制限もあって、小説のような細かい心理描写は難しいこともあって、映画の評価はあまり高くなかったみたいですね。
特に、原作を愛する村上主義者たちからの酷評が多かったようです。
ですが、映像の美しさや、音楽、ファッションとか、ベトナム人の監督ですがフランスパリ育ちの監督だけあって、どことなくフランス映画っぽいおしゃれな趣がありましたね。
モデルの水原希子の俳優デビュー作品で、いきなり緑役を務めてセリフが棒読みとか批判を浴びていましたが、ゴダール監督の『気狂いピエロ』でのアンナ・カリーナのお人形感を彷彿とさせるところもあり、これはこれで良かったようにも感じました。
絵的には最高に緑っぽかったように僕には思えましたしね。
映画全体としては、悲しみや痛みを抱えている登場人物たちの恋愛映画という感じで、原作に漂っている濃い死の影は表現できていなかったのが残念であり、映画と小説の比較で致し方ない部分でもあったのかなと思いました。
小説『ノルウェイの森』は恋愛小説であると思いますが、死と生をとても印象深く扱った作品であると思います。
映画では、生の要素が強くて、死の昏く蠱惑的な香りが描き切れていなかったように思います。
それは作中で死の象徴的な存在であるキズキを十分に描き切れていなかったことに大きな要因があり、直子が抱えていた闇がどれだけ深かったかも同時に描き切れていなかったことになり、死を十全に描けなかった要因であるのではないでしょうか。
とはいえ、原作を特別だと思っている村上主義者の端くれである僕から見ても、どこか訴えかけてくるところがある映画でした。
特に直子が療養している阿美寮周囲の風景。
ススキと、雪景色が本当に美しかったです。
映像が本当に素晴らしいと思ったら撮影のリー・ピンビンはウォン・カーウァイの作品でも撮影を務めていたのですね。
印象的な映像がすごく多かったのですが、納得です。
地味ですが、直子からの手紙を受け取って階段を駆け上がっていくワタナベのシーンもとても良かった。
ハツミさん役をつとめた初音映莉子さんの演技もとても良かった。
この映画で一番のはまり役のように思いました。
永沢さんと、ワタナベと、3人で食事していてブチギレするシーンとか怖さもあってすごく印象的でした。
真っ当で、美人で育ちも良くて、でも幸せではなくて悲しい結末を迎えてしまう女性。
脇役ですが、ハツミさんのキャラクターが好きですし、初音映莉子がとても上手に演じていて本当に素敵でした。
レイコさんのなんともいえないユニークなキャラクターがうまく描かれていなかったのも、ちょっとこの映画の不満な点ではありましたが、まあ尺の問題もあるししょうがないですよね。
その皺寄せが、ラストの唐突なセックスシーンに出ているように思いますが、原作での自然な感じでかつ死者を悼むイニシエーションを思わせるような交わりとは程遠かったです。
直子のお葬式のやり直しで、たくさん曲を弾いて歌うレイコさんは描かれていなかったし、何よりワタナベの住んでいるところが一軒家じゃなくてマンションだったし、まあレイコさんに関してはもっと表現のしようがあったのではと思っています。
直子を失ったワタナベの身を切られるような痛み。
そして、再生への予感。
深い喪失を味わってなお、そこからまた立ち上がって歩き出すこと。
映画のラストシーンでも、そんな再生の予兆が描かれていたように感じました。
5、終わりに
小説、漫画の実写化って本当に難しいですよね。
原作ファンの目も厳しいですし、そもそも違うメディアで描くということは、デメリットが多いように思います。
映画『ノルウェイの森』もだいぶ酷評されていましたが、光輝を放っているところと、残念な部分とありましたね。
それでも、映画ならではの美しいシーンも多くて、僕にとっては楽しめる映画でした。
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