ヒロの本棚

本、映画、音楽、写真などについて書きます!!

【雑記】ヒロ家家族旅行Ⅲ~大阪SO DEEP!!~

☆ディープな大阪を楽しむ!!☆

 

USJでNO LIMITのはずがだいぶ限界突破したヒロ家一行。

とりあえず飯食いたい!!

ってなわけで道頓堀で食べ歩きしよやーって、移動しました。

hiro0706chang.hatenablog.com

 

でもだいぶBOROBOROでしたね。

難波駅についても、移動距離が長くて次男氏がブーブー言うてました。

田舎の子供は車移動に慣れすぎてていて、どうも軟弱でいけませんがな。

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なんば駅構内もなんやかんや広くて、子供たちの体力も限界に・・・。

ちょいちょい食べ歩きしたかったのすが、道頓堀の横綱さんで昼食に。

うん、でも良い感じのお店でした~。

横綱ビールの量は半端なかったですが(笑)
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そのあとは、道頓堀をうろうろ。

川岸の飲み屋とかめっちゃいいかんじでしたね~。

すげー楽しそう!!

DEEPで好きな感じでした。

そして、スパイーダーマンも頑張ってました(笑)
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☆鶴橋でソーDEEP!!☆

 

綺麗目な観光地的な大阪とは他にDEEPな感じの大阪が

好きです。

そんな中でも鶴橋は気になっていました。

ってなわけで、妹家族との会食は鶴橋で。

 

噂に聞いてはいましたが、鶴橋商店街はDEEPすぎ!!

いや最高に怪しかったですね~。

1人だったら飲み歩きしてるわ~。
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その後妹一家と合流して焼き肉ディナー。

鶴橋で焼き肉喰いたいのは僕のリクエストでした。

本当ならコリアンタウンも生きたかったな^。
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しかし大阪はDEEPな空間が多くて良いですね~。

また行ってみたいです!!

 

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【雑記】ヒロ家家族旅行Ⅱ~USJでNO LIMIT!!とか言いつつユニバ混みすぎてわりと限界だった話~

☆アサカラユニバ☆

 

フェリーで大阪に向かったヒロ家でしたが、事件もあったりしてあんまよく眠れなかったっすわ。

長男氏もあまり眠れずにうろうろしてたみたいですね。

これもまぁまぁフェリーあるあるだったりする気がします。

テンション上がりすぎ案件。

 

そんなこんなで船は6時着でしたが、バッチリ目が覚めて朝風呂浴びてきました。

本当はユニバ行きのシャトルバスを予約予定でしたがいっぱいで取れず・・・。

電車でGOしました。

大阪南港から40分ぐらいだっけかな?

 

ユニバは8時開園だったので、7:45ぐらいに到着するように行きました。

順調に乗り換えしてユニバに向かっていたのですが、だんだんユニバに行くんやろなって客が増えてきて、ハリーポッターの服を着た人とか、マリオの帽子をかぶった人とか増えてきました。

そして、ユニバの駅に着くころにはほぼユニバの客に。

駅もめちゃくちゃ激混み状態。

 

エントランスに着いたヒロ氏は目を疑いました。

「人がゴミのようだ」

思わずムス化してしまうほどの人の多さで、バルス状態でした。

8時開園とかいいつつちょい早くオープンするんすかね?

フツーにジェットコースターも動いてました。

ぶっちゃけ遊園地とか好きじゃなくて、絶叫系は苦手なんすけどなんかテンションがあがる光景でしたが、写真は撮ってません。

結局中に入るだけで、30分かかりました。

いや、どんだけやねん!!

 

 

 

☆想定以上の激混み!!公式アプリは超便利やで!!☆

 

いや、これでも一応ユニバは2回目で、公式アプリもインストールして、事前に戦略を練っていたのですが、よもやよもやでした。

ちなみに真っ先に鬼滅の刃のXRライドに突入する予定でしたが、朝8時の時点で2時間半待ちでしたよ!!

煉獄さぁぁぁんんぁんんあんぁんあんぁん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

ちなみにアトラクションの混み具合をチェックできる公式アプリは超便利。

インストールはマストですね。

豚骨ラーメンににんにくを入れるぐらいのマスト具合です。

公式アプリはニンテンドーワールドに入る整理券もゲットするのに使うのでユニバに行く前には必須のアイテムですね。

 

鬼滅の刃が混み混みだったので、ハリーポッターエリアへ。

長男氏がハリーポッター好きなのですよ。

しかし、こちらのエリアも激混みで、バタービールで大行列ができていました。

 

絶叫系無理系中年のヒロ氏以外の3人がハリーポッターのうんたらこんたら乗るために並びましたが、これも2時間待ちぐらいになっていました。

そして、次男氏が途中でブチ切れて列から離脱。

ここから二手に分かれて行動することに。

 

 

 

☆サメはいいよぉ~。USJといえばJAWSだよな?☆

 

ヘタレの次男氏はこの時点で不機嫌に。

もう帰るとか言い出してます。

まぁ、気持ちはわかるがヘタレがっ!!

 

とりあえずジュースを買ってご機嫌を取ることに。

ちなみに自販機のジュースは300円でした。

USJは、価格もNO LIMIT!!やでっ!!

 

サメ好きの次男氏はJAWSに乗りたいと言い出しました。

サメはいいよぉ~。

絶叫系は無理な僕でもJAWSならイケます。

しかし、人気ないはずのJAWSですらこの日は70分待ち(;^ω^)

やべー。

 

でも、親子はひたすら待ちました。

サメと会うために。

ってか、ユニバ2回行って、2回ともJAWSしか乗ってない奴とか俺ぐらいかもですね。

 

4年ぶりのJAWSは最高で、テンション上がったヒロ氏は財布のひももユルくなり、よくわからないサメのぬいぐるみを次男氏に買い与えてしまいました。

売店のおばちゃんが、「はい、3700ジョーズです♡」と言っていたので、この国の通貨はいつのまにか円からジョーズに変わってしまったようなです。

これで円安問題も解決したので良かったですね。

ちなみにミニオンズの変なサングラスも買わされて、3800ジョーズが消えていきました。

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☆フライングダイナソーが怖すぎ!!長男氏ハリーポッターのマントを買う☆

 

奥様と長男氏と合流。

長男氏は念願のハリーポッターのマントを買ってご満悦。

1万6000円なり。

お、おう、良かったなぁ・・・。

すごい勢いで金を毟り取られて、クレカの限度額もNO LIMIT!なUSJマジックでした。

これには菅田将暉もビックリです。

僕も財布の中身がぶっとびそうでした。


www.youtube.com

 

次男氏がサメ買ってご機嫌直っていたので、次はフライングダイナソーに乗ることに。

あれ超怖いっすよね。

当然、僕はパス。

ちなみにこの時点で140分待ち。

やべー。

 

息子たちがフライングダイナソーに乗っている間、ひたすら水辺の階段みたいなとこで1人で本を読んでいました。

ユニバまで来て、1人水辺で読書している40代中年の姿をIMAGINEオールザピーポーしてみてください。

だいぶ物悲しいものがありました。

 

フライングダイナソーを乗り終わったころには14時を過ぎていました。

昼食は食べていませんでしたが、店も混んでいたしUSJを出ることに。

うーん、乗り物2つしか乗れなかった(;^ω^)

行った日は4月2日で平日でしたが、春休みということと、なんかやたら海外からの観光客が多かったのが混んでた理由でしょうかね。

あとで妹に聞いたのによると、混雑予測しているサイトがあるそうなのでそこをチェックするとよみたいですね。

帰り際にNO LIMIT!パレードを横目に見つつ移動。

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JAWSにしか乗ってませんが、ユニバなんか楽しかったです。

空間が非日常で様子がおかしい人がたくさんいて良かったです。

なぜか五条悟のコスプレしている人がいたりとか。

またUSJ行ってみたい。

そしてJAWSに乗りたい。

ちょっと前まで、間違えて「UFJ行く」とか言ってたのがちゃんとUSJって言えるようになったのも収穫でした。

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【雑記】ヒロ家大阪旅行Ⅰ~めっちゃ大好きフェリー泊!!船旅のすゝめ♪そして突然のミステリー事件発生!!謎の札束の行方~

☆休みが1日しかないのに弾丸旅行に行ったこのSUPRING☆

 

初春の候、次男氏が「ユニバかディズニーに行きたい!!」とか言い出したので、ヒロ家で旅行計画の緊急会議が開かれました。

そんでも、なかなか仕事の都合上、連休を取ることが難しく、奥様と休みが合ったのも1日だけ。

「いや、もう金出すから俺以外の3人で行って来たら?」とか言いましたが、大阪の地理はよくわからんからあんたも行ってくれとの奥様からのご要望が。

ツアコン兼ATMとの重責を担い、ヒロ氏の旅行計画がスタートしました。

 

休みが1日しかないのなら、ここはアレしかないな・・・。

フェリーで2泊して大阪でユニバ!!

仕事して、夜に愛媛からフェリーに乗って早朝に大阪着、それから日中大阪を観光して、その日の夜にフェリーに乗って早朝に愛媛に着いてそのまま仕事に行く。

クソ弾丸ツアーです。

まぁ、しかし移動と宿泊がセットになっているので、日中丸一日観光できるので効率的ではあります。

 

それよりなにより。

僕は。

フェリーの旅が・・・。

好きなんです!!

夜に移動して、船に乗り込むあの非日常感。

船で眠るというワクワク感。

なんとなく旅情が漂う感じも好きです。

 

そんなわけで、正味1日しか旅行していないのに、今回は旅行三部作です。

miyakoさんの海外旅行レポに比べればだいぶショボイですが(笑)

フェリー旅の魅力について書きたいと思います。

 

 

 

☆フェリー旅が最高ないくつかの理由☆

 

まずこちらの写真をご覧ください。

愛媛(東予港)⇔大阪(南港)を結ぶオレンジフェリーのフェリーです。

おれんじ おおさか、おれんじ えひめの2隻が交互に運航しています。

うんこじゃなくて、うんこうなので要注意です。

写真は公式サイトからパクリました。

ええ、写真を撮るのを忘れていたのです。

 

こちらが船内の様子です。

豪華客船かよってなレベルです。

ちなみにフェリーは最近リニューアルしてめっちゃ綺麗です。

 

こちらがシングルの客室。

昔はザコ寝の2等客室もありましたが、今は個室オンリーでめっちゃ快適です。

お値段は時期にもよりますが、7000~8000円とか?

 

そして、なんと24時間入れる展望浴室付きなのですよ!!

シャンプー。ボディソープ付き!!

泡も出てるし!!

夜景を眺めながら入浴すると、そこはまるでニューヨーク。

出発前の朝風呂も楽しめて最高です!!

 

そして、何といっても甲板から眺める夜の海の景色がなんともいえず好きです。

これはフェリーの旅でしか味わえない醍醐味だと思いますね。

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www.orange-ferry.co.jp

 

 

 

☆本当にあったミステリー。謎の札束の行方を追え。迷探偵ヒロ氏が躍動する☆

 

旅レポしてたのに突然クイズになる某番組よろしく、ここからはなぜかミステリー展開。

4月1日月曜日の夕方に仕事を終えて、家族で車に乗り込み、夕食と朝食をスーパーで買い込んで、フェリーの風呂でひとっ風呂浴びて、宴会をしていた時のこと。

あっ、ちなみにラウンジスペースも広くて、買ってきたものを食べつつ宴会もしてええんかい?な感じです。

 

部屋は内鍵はかかるけど外鍵はかからなかったので、家族4人で9号室~12号室でそれぞれ部屋に荷物を置いて、貴重品だけ持ってラウンジに集合して夕食を食べていました。

僕は疲れたのと、飲酒の眠気もあり、ひと足早く眠ることにしました。

僕の部屋は9号室だったのですが、10号室の長男の部屋がドアがフルオープンになっていて、電気も点いていました。

「おいおい、あの野郎なにやってやがる」とか思いつつ部屋に入ると、そこには封筒と小銭入れ、チョッキがありました。

机の上には妻の部屋の12号室のチケットの控えも置いてありました。

ん?こんなん持ってたっけ?

とか思いつつ、封筒の中身をみると・・・。

そこには大金が!!!!!!

つっても2~3万円ぐらいだったかと思いますが、いやいや何しとんねん盗られるやろがいっ!!と思って、長男がいるラウンジに引き返しました。

 

「おいおい、このお金部屋に置きっぱなしだったよ!!」

「えっ、知らんけどなにそれ?」

「えっ、お前のじゃないの?」

ここで、脳内に高嶋政伸が現れて「姉さん事件です」と呟きました。

そう、事件の始まりでした。

 

見た目は大人!!頭脳は子供!!

迷探偵コンナンが降臨しましたが、酔った頭では解決が困難でした。

しかし、泥酔探偵らしく犯人が泥酔者と推理。

酔っぱらっていい気分になった犯人は最初に奥様の12号室に行って荷物が置いてあったので、なぜか12号室のチケットをパクリ、荷物が置いていなかった10号室の長男の部屋に行き、金を置いて風呂かどこかに行ったという推理。

 

いや、こわっ。

しかも下手するとこっちが金盗ったみたいなトラブルになるやん。

長男と部屋に戻るとまだ犯人は戻っていなかったので、お金の封筒を戻してフロントに行きました。

「い、いや全く理解を越えていたのだが・・・。あ、ありのまま今起こったことを話すぜ。部屋に戻ってたら金が置いてあったんだ。な、何を言っているかわからねーと思うが、おれもなにをされたのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった」と、ポルナレフ状態だったヒロ氏をフロントのおじさんは珍しい生き物を眺めるように見ていましたが、やがて館内アナウンスを始めました。

 

しかし、犯人は現れず。

「大丈夫ですので、そのまま10号室で鍵をかけて寝てください」と言われました。

・・・。

いや、きになるや~ん。

 

しかし、30分後に犯人が出頭して事件はめでたく解決。

やはり犯人は泥酔していたそうです。

気をつけなはれや!!

いや、お金盗られなくて良かったね(;^ω^)

 

旅にアクシデントやハプニングはつきものですが、初日から濃かったです。

事件の興奮からあまり眠られず、ユニバ編に続きます・・・。

 

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【映画】『オッペンハイマー』~我は死神、破壊者なり~

1、作品の概要

 

オッペンハイマー』はアメリカの伝記映画。

2023年7月にアメリカで公開され、日本では2024年3月29日に公開された。

監督、脚本は『ダンケルク』『TENET』などのクリストファー・ノーラン

主演はキリアン・マーフィー。

エミリー・ブラントマット・デイモンロバート・ダウニー・Jr.らが出演している。

原作は、『オッペンハイマー「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』

上映時間は180分。

第96回アカデミー賞、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞、作曲賞、編集賞の史上最多7部門を受賞。

「原爆の父」と呼ばれた物理科学者オッペンハイマーの半生を振り返る伝記映画。



 

 

2、あらすじ

 

1954年、ソ連スパイ疑惑をかけられたオッペンハイマーキリアン・マーフィー)は聴聞会にかけられ尋問されていた。

1959年、オッペンハイマーを告発したアメリ原子力委員会の委員長ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr)の公聴会が開かれていた。

尋問されながらオッペンハイマーは、過去を回想し始める。

イギリス、ドイツの留学時代、博士号を取得したのちに帰国してアメリカのカリフォルニア大学で量子力学を教えていた日々、そして原子爆弾を開発するためのマンハッタン計画・・・。

女好きのオッペンハイマーは、ジーンと恋仲になりながらも、人妻のパティ(エミリー・ブラント)に惹かれ結婚をする。

軍の将校でマンハッタン計画の責任者であるグローヴス(マット・デイモン)にスカウトされてマンハッタン計画の原爆開発のリーダーに抜擢されたオッペンハイマーはリーダーシップを発揮し、見事に原爆を作り出し、実験を成功へと導く。

アメリカ大統領のトルーマンは、日本に原爆を落とすことで戦争の早期終結を目指すことを決断。

そして、人類史上類をみない大量虐殺が行われてしまう。

自らが生み出した兵器の悪魔的な破壊力と、世界を変えてしまったことに重圧を感じたオッペンハイマーは、水爆の開発に反対し、スパイの嫌疑をかけられるが・・・。


www.youtube.com

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

大好きな映画監督のクリストファー・ノーラン

SF要素が強い作品が多い彼の次回作が、原爆を作った科学者オッペンハイマーの伝記映画だと聞いて、意外に思いながらも楽しみにしていました。

しかし、「原爆の父」であるオッペンハイマーが題材であるということで日本での上映は難しくアメリカでの上映から8か月後の上映となりました。

個人的には「戦争を早期に集結させるために原爆を落とした」という考えには怒りを覚えますし、そんな奴らは『はだしのげん』『火垂るの墓』を観て、にいちゃんなんで蛍はすぐ死んでしまうん、からのサクマドロップで号泣してから同じことが言えるのか試してやりたいです。

でも被爆国である日本に住む僕たちこそこの映画を観なければいけないようにも思っていました。

実勢に被爆した広島、長崎の人たちはどう感じたのでしょうか?


www.youtube.com

 

 

 

4、感想(ネタバレあり)

 

冒頭の宇宙の幻想に若き日のオッペンハイマーが憑りつかれる場面とかめっちゃ好きです。

クリストファー・ノーランらしいファンタジックな映像と音響でこのシーンを観られただけで幸せでした。

伝記映画ということですが、そこはノーラン監督作品。

3つの時間軸が交錯しながら

複雑に物語が展開していきます。

 

1954年の聴聞会で尋問されるオッペンハイマーの視点、1959年の公聴会のストローズの視点、そして過去を振り返るオッペンハイマーの視点。

ストローズの視点だけ白黒映像だったのは、オッペンハイマー自身の視点ではなかったためでしょうか?

なんか『MEMENTO』を思い出しました。

hiro0706chang.hatenablog.com

 

全く予備知識なく観ましたが、とにかく登場人物が多くて時系列がバラバラで混み入っていました。

うん、予習してたほうが良かったかもです(笑)

ネタバレしてどうのこうのするタイプの映画ではないので、少し登場人物とか話の流れを軽くさらってから鑑賞することをお勧めします。

まぁ、でもこの混み入ってる感じがクリストファー・ノーラン監督の真骨頂。

『TENET』とか一回観ただけでは絶対に完全に理解することは不能な難解な作りでした。

hiro0706chang.hatenablog.com

 

オッペンハイマーが女性好きなのはちょっと意外で、物理学者と性欲って結びつかないように思っていました。

ジーンとの不幸なエピソードは、オッペンハイマーの人間臭さを感じさせられましたし、キティはどこかぶっ飛んでて魅力的なヒロインでした。

 

オッペンハイマーは優れた科学者であると同時に、優れたリーダーでもありました。

ロスアラモスに研究施設を作らせ、集めた科学者たちを統率しながら、軍ともやりとりをする。

プレイングマネージャーの鑑ですなぁ。

しかし、原爆を作るそもそものきっかけだったはずのナチスヒトラーが自害し、原爆を作ることの意義自体が希薄になっていく中でそれでも彼を後押ししたものは野心だったのでしょうか?

 

瀕死の日本に原爆を落とす必要があるのか?

戦争を早期に終わらし、日米の多くの人命を救うために?

世界に先んじて未知の兵器を手に入れて権勢を振りかざしたかったんじゃないかと思えました。

 

人類に火を与えたことで、永い間拷問されることになった神。

プロメテウス。

彼の神と、自身を重ね合わせるオッペンハイマーは、アメリカに、人類に過ぎた火=力を与えてしまったのでしょうか。

彼の苦悩は原爆の実験が成功し、日本に投下されて周囲の称賛とともに深まっていきました。

 

罪と罰

贖罪。

「我は死神、破壊者なり」そう自嘲したオッペンハイマーの心境はどんなものだったのでしょうか?

 

アインシュタインに語った彼の言葉、計算を依頼しに行った時に核の連鎖反応で世界を滅ぼしてしまうかもしれないといった懸念。

その懸念は実際的には起きずに核爆弾が完成しましたが。

ただ。

観念的には世界を変えてしまい、壊してしまった。

核爆弾の開発がある意味合いでは世界を滅ぼしてしまった。

・・・。

このやり取りをラストに持ってくるあたり、クリストファーがノーランしてます。

背筋が凍って氷点下でした。

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5、終わりに

 

いやー、伝記映画もノーラン監督の手にかかればどこかミステリアスに仕上がっちゃいますね。

宇宙とか、爆発の映像もめちゃくちゃ良かったし、無限音階を用いたあの独特のデケデケデケデケな音響も最高。

 

原爆を日本に落とした当時のアメリカの雰囲気にはだいぶ怒りを覚えましたが、まあ当時はこういう空気感だったのだなと思いました。

しかし、アメリカの歴史教育で核の使用を戦略上仕方なかったではなくて、広島と長崎がどうなったかも含めて伝えてほしいと感じました。

以前、NHKのドキュメンタリーであまり被爆地がどうなったかを伝えていないという映像を観たので・・・。

 

ナチスドイツが倒れてもソ連との冷戦があって、原爆の次は水爆。

争いや諍いは終わることなく続いていきます。

本来は人間を幸せにするためのはずの科学技術が、破滅へと導いていくという不幸。

そんな負の連鎖を感じさせらえた映画でした。

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【育児】スマホをめぐる冒険~小6の次男氏にスマホを買うか否かの葛藤の記録とヒロ家の教育論~

☆次男氏がスマホを買いたいと言ったから・・・☆

 

いやー、アレっすよ。

4月から小6の次男氏がスマホを買いたいとか言い出しましてね・・・。

ええ、スマートなフォンですよ・・・。

どう対応したのか、ちょっくら書いてみたいと思います。

 

最近のチャイルドはマジ贅沢で、スマホを持つタイミングもどんどん低年齢化してますねぇ・・・。

いや、もう高校生からでいいんじゃね?とも思いますが、早めにリテラシーを身につけさせてほうがいい気がしますし、悩むところです。

 

 

 

☆ちゃんと子供の話を聞いてあげましょう☆

 

まずは子供の話をちゃんと聞くことが大事だと思います。

僕も息子たちの訴えには真摯に対応しています。

そんなわけでスマホを買ってほしいという次男氏の訴えにも、僕は優しく話を聞きました。

 

次男氏「スマホが欲しいんだけど!!」

ヒロ氏「あん?寝ぼけてんのか?このクソ野郎が。小学生にスマホなんて必要ねーし」

次男氏「クラスの友達もみんな持ってるし!!」

ヒロ氏「全員じゃねぇだろ?最後の1人になったら言えや?つーか買わねぇし」

次男氏「LINEできないと仲間外れになるし」

ヒロ氏「知るかよ。手紙でも書けばいーじゃん」

 

 

 

☆ダメな時はちゃんと理由を説明しましょう☆

 

ダメな時はなぜダメなのかきちんと理由を説明してあげましょう。

納得いくまで気長に話し合うことが、子供にとって良いことです。

 

次男氏「なんでスマホ買ったらダメなん!!」

ヒロ氏「いや、兄貴も中2からだっただろが?なんでお前が今買うんだよ?」

次男氏「時代は変わってるんだよ!!乗り遅れてもいいの?」

ヒロ氏「知らねーよ。ダメなもんはダメなんだよ」

次男氏「なんで!!理由は?」

ヒロ氏「うるせー。エビデンスイカデンスもねーんだよ。うちは会津武士道なんだよ。なるぬものならぬのです」

 

 

 

☆親だからと言って、頭ごなしに叱ったり、立場を利用して押さえつけたりしてはいけません☆

 

親の立場を利用して、頭ごなしに押さえつけたりしてはいけません。

子供の意志を尊重してあげましょう。

 

次男氏「なんなん!!ウチの家最悪じゃん!!」

ヒロ氏「おう。最悪でわりーか。嫌なら出ていけや。山で一人で生きていけ。代わりに猫のナツを子供にして育てるわ」

次男氏「いやそんなん無理やし(笑)警察に捕まるで?」

ヒロ氏「いや、かんけーねーし。つーか、この家では俺が王様だし。俺の言うことを聞けや!!」

 

 

 

☆育児ってムズカシー!!って、結局スマホ買っちゃった☆

 

はい。

全部育児本の真逆をいく、意気地なしのワタシ。

今日も瞑想中、いや迷走中です。

イヤイヤ、コソダテムズカシーネー、シャッチョウサン、ヨッテカナイ?カワイイコイルヨー。

って感じです。

まさに歩く反面教師。

 

そんで、根負けして結局買っちゃってさ。

何をって?

ええ、スマホですよ。

でも、欲しいって言われると、買う理由というか言い訳を探してしまっている自分がいるのでアカンですね。

しかしブログフォローさせて頂いている皆さんの中には素晴らしい育児をされている方がいてマッドリスペクトですよ!!

ヒロ氏は、だいぶブレブレな子育てなうです。

 

そんでも会津武士道の「ならぬものはなるぬのです」というのは、現代のすぐにエビデンスがどうとか言う風潮に圧倒的なNOを突き付ける感じで見直されても良いように思います。

いや、暴論かもですが。

この世に起こることすべてが理論立てて説明できて一切の不条理がないなら良いのですが、もしそうでないなら道理で割り切れることばかりでないことを教えておくのも親の役割のようにも思います。

 

なんとなく、いい親すぎない、ダメ感と理不尽さを持った親として生きていこうと思っています。

エディプス王のように息子の前に立ちはだかる壁的な。

大人の不完全さ、社会の理不尽さ、運命の残酷さを伝えたい。

そして息子たちには、タフな人間に成長して欲しいと思いますよ。

 

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【映画】『Shine』~実在するピアニストの栄光と挫折~

1、作品の概要

 

『Shine』はオーストラリアの伝記映画。

1996年に公開された。

監督はスコット・ヒックス

ジェフリー・ラッシュ主演。

第69回アカデミー賞で、ジェフリー・ラッシュが主演男優賞を受賞。

作品賞、監督賞など6部門にノミネートされた。

実在するオーストラリアのピアニストであるディヴィッド・ヘルフゴッドの半生を語る。

ピアノの演奏はディヴィッド・ヘルフゴッド自身が行った。

2024年3月現在、アマゾンプライムビデオ、U-NEXTなどで配信されている。

 

 

 

 

2、あらすじ

 

メルボルンの貧しい家に生まれたディヴィッド・ヘルフゴッド(ジェフリー・ラッシュ)は、父親の英才教育で幼少の頃からピアニストになるべく奮闘し、世間からも認め始められていた。

アメリカ留学を薦められたデイヴィッドだったが横暴な父親によって話は流れてしまう。

しかし、やがて成長した彼はイギリス王立音楽院奨学金で留学する話が持ち上がり、父親から反対されるが押し切り、勘当されてしまう。

順調に成長していたディヴィッドだったが、コンクールでラスマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」を弾き終え、昏倒してしまう。

精神を病んでしまった彼は、精神療養施設に入院し10年の月日が過ぎる。

しかし、彼のかつての輝きを知る老婦人によって退院し、妻となる占星術師のジリアンと知り合う。

そして、デイヴィッドは再び演奏家として復活すべく動き始める。

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

25年以上前。

確か大学生の時に観た映画で、めっちゃ良かったってこと以外はきれいさっぱり内容を忘れていましたが、ひさびさに観たくなりアマプラで観ました。

いやー、良い映画でした。

やっぱり、音楽×映画って僕的には当たりが多いです。

 

 

 

4、感想

 

抜けるような青空の下、笑顔で両手を広げるジェフリー・ラッシュ

『Shine』のポスターはとても印象的なヴィジュアルで、当時レンタルして観たのも、ちょっとジャケ買い的な感じもあったように思います。

さまざまな抑圧から解放されたかのような笑顔。

ラスト近くのシーンですが、とても素敵で綺麗なシーンでした。

 

事実は異なっているとの話もあるみたいですが、少なくとも映画の中では父親の強い支配とそこからの脱却もひとつのテーマになっていると思います。

幼いころから父親の支配と抑圧が強烈で、なかなか自分の意見を言えないディヴィッド。

イギリス王立音楽院への留学は父親と決別し、自らの力で未来を切り開くチャンスだったのですが、精神の病でその道も閉ざされてしまいます。

 

しかし、10年もの長きにわたる療養施設での生活の果てにピアニストとしての再起の道があるとは運命とは本当に不可思議なものです。

煙草をふかしながら、子供がおもちゃで遊ぶように楽しそうに演奏する姿がとても印象的でした。

自分らしく生きる。

魂を解放して、思いのままに道を歩く。

楽譜と一緒に水面に浮かぶディヴィッド。

裸ではしゃぐ無垢な笑顔の彼は、長い道のりの果てにようやく自分が自分らしく在ることができる場所を見つけたように感じました。

 

 

 

5、終わりに

 

いやー、素晴らしい映画でした。

自分が自分らしく在ること、難しさとかけがえのなさを教えてくれたように思います。

やっぱり音楽と映画のコラボレーションは最高ですね~。

 

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【本】小川洋子『不時着する流星たち』~物語の世界で明滅する10の綺羅星たち~

1、作品の概要

 

『不時着する流星たち』は、小川洋子の短編小説集。

10編からなる。

2017年1月28日に刊行された。

単行本で252ページ。

本の旅人』2016年2月号~11月号に掲載された。

実在の人物や起こったことなどがら着想を得た10編の物語。

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2、あらすじ

 

①誘拐の女王

血の繋がらない17歳年上の姉。

彼女がいつも持ち歩いていた裁縫箱には、彼女がかつて誘拐されていた時に窮地を救ってくれた品々が詰まっていた。

②散歩同盟会長への手紙

かつて有能な梱包係だった男。

精神療養施設の限定された世界を散歩する彼は、散歩同盟の会長への手紙を胸の内でつぶやく。

③カタツムリの結婚式

遠く離れた孤島から間違った場所に運ばれたと妄信し、同じ境遇の同志を探す少女。

彼女は家族で行った空港で本物の同志を見つける。

彼はガラス板の上に数匹のカタツムリを這わせていた。

④臨時実験補助員

かつて臨時実験補助員のアルバイトをしていた私。

チームを組んでいたあなたと再会し、ババロア、赤ん坊の記憶が蘇る・・・。

⑤測量

目が見えなくなってしまった祖父と2人暮らしの男子大学生。

2人は測量と称し目標までの歩数を計測し、ノートに書き留めていた。

ある時祖父がかつて塩田王だった自分の父の話を始める。

⑥手違い

お見送り幼児の姪と私は、手違いで約束された葬儀に出席できずに湖水公園に向かった。

河原の石でお手玉に興じる姪を見守りながら、死者に履かせる毛糸の靴に思いを馳せる。

⑦肉詰めピーマンとマットレス

海外に住む息子・Rの家に日本からやってきた私。

街を探索し、Rとの日々を振り返る。

ある日、Rの大好物の肉詰めピーマンを作り過ぎてしまい、マットレスを借してくれたお礼におすそ分けをする。

⑧若草クラブ

学芸会で若草物語を演じたことをきっかけに若草クラブを結成した4人の少女。

エミイ役の少女は、かつて映画でエミイを演じていたエリザベス・テイラーの虜になる。

エリザベス・タイラーのようになりたいと憧れるあまり彼女は・・・。

⑨さあ、いい子だ、おいで

子供のいない夫婦が子供の代わりに『愛玩動物専門店』で、文鳥を手に入れる。

私は逞しく感じのいい青年の店員が自分の息子だったらと妄想し、「さあ、いい子だ、おいで」と文鳥を呼んだ声に魅了される。

⑩十三人きょうだい

13人の子供を産み育てた祖母。

祖母の家に同居し続ける末っ子の叔父さんを、サー叔父さんと親しみをこめて呼ぶ小さな私。

秘密の呼び名と、蜘蛛の巣にまつわる宇宙からのメッセージ

 

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ

 

Xで『不時着する流星たち』を読了ポストされている方がいて、気になっていた矢先に図書館でみかけて借りてきました。

図書館とか、古書店での巡り合わせみたいなのが好きで読書の神様が「これでも読んどけやっ!!」ってぶん投げてきているように感じることもあります(笑)

 

『不時着する流星たち』って、タイトルが魅力的ですよね。

『約束された移動』『寡黙な死骸、みだらな弔い』『完璧な病室』『猫を抱いて象と泳ぐ』『人質の朗読会』やらなんやら、もうタイトルからイメージを掻き立てられて引き寄せられるような独特のセンスのタイトルが多いです、小川洋子作品。

タイトルと装丁って、焼き鳥屋の煙みたいな感じで、匂いでもう美味しそうで食欲を掻き立てられちゃう的な感じ。

(余談ですが職場の近くに「えっ、火事?」って思うぐらい煙が出まくっている焼き鳥屋があります)

まんまと引き寄せられて、不時着するオッサンになってしまいました。

 

 

 

4、感想(ネタバレあり)

 

エリザベス・テイラーグレン・グールド、ギネス記録など。

死去した偉人や起こった事柄などから生まれた10編の短編小説。

タイトルは『夜明けの縁をさ迷う人々』のタイトルに呼応するようにつけられたていて、「夜明けをさ迷っていた人々が到着してみたらそれは不時着だった」というニュアンスでつけられたようですね。

いや、なんかもう小川洋子的ですねぇ。

クドいですけど素敵なタイトルです。

 

なにか『不時着する流星たち』を読みながら、今まで小川洋子の作品を読みながら感じていた他の作家とは全く異質ななにかの正体がわかったような気がしました。

小川洋子は半分ぐらい物語の世界で生きていて、現実から遊離している人なんじゃないかと思います。

アンネの日記』『若草物語』の世界に半分ぐらい入り込んでしまっていて、現実に帰ってこない。

だから彼女の描く物語はたとえ日本が舞台であってもどこかヨーロッパ的で、異世界のようですし、なにか異質な感じがするのだと思います。

いや、そんなふうに感じるのは僕だけからもしれませんが(;^ω^)

 

以前、Xで村上春樹の新作を語るXを聴いていた時に、もし小川洋子が『ノルウェイの森』を書いたら、阿美でに行ってそのまま森の奥深くまで入り込んで帰ってこないかもしれないという発言を聞いて、まさにそういう作家だと思いました。

アンデルセン童話の『赤い靴』みたいに踊りながら森のさらに奥深くまで。

そんな静かな狂気さと不穏さを感じさせる小川洋子の物語が生まれる工程を垣間見たような短編小説集でした。

 

物語の最後に紐付けられた、インスパイアされた人たち、事柄。

物語を種明かししているようなそんな感覚に陥る面白い仕掛けだったと思います。

www.bookbang.jp

 

①誘拐の女王(ヘンリー・ダーガー

初っ端から蠱惑的なエピソード。

子供の視点で描かれた一風変わった体験はどこまでもビビットで幻想的です。

世界がまだ不確かで、現実と物語が溶け合ったような物語の語り手としては極上の視点。

血の繋がっていない姉の口から語られる誘拐の女王の物語と、裁縫箱の英雄たちの活躍譚は彼女にどんなものを残したのでしょうか?

 

②散歩同盟会長への手紙(ローベルト・ヴァルザー)

散歩って普通は天気のいい時にぶらっとあてどなく行くものですが、天候が厳しい時にでも行うとなんだか鍛錬や宗教的な儀式のようにも感じてしまいます。

精神療養施設の小さな世界の中での散歩。

失われた言葉(石)を探し出して、文章を、物語を綴る。

あてどなく、どこにもたどり着かないような男の独白。

どこかぞっとするような寂しさを感じました。

 

③カタツムリの結婚式(パトリシア・ハイスミス

空想癖のある少女があまり好ましくない現実から逃れるように、ここは自分のほんとうの居場所でないと考え、同志を見つけるというのはとても小川洋子らしい話だと思いました。

空港の片隅で、カタツムリのレースで賭博をしている男。

どこか現実の片隅のエアポケットのような、奇妙さを感じさせられました。

 

④臨時実験補助員(放置手紙調査法)

放置手紙調査法なるものが実在したとは(笑)

「あなた」は巧みに手紙を放置していきますが、調査中の母乳のエピソードは生々しく、ましてやお菓子に使うなど奇妙なリアルさがありました。

姿の見えない赤ん坊。

2階から本当に実在していたのか、異常に潔癖なあなたの描写から赤ん坊が存在していても虐待などを連想してしまいます。

はっきりと真相が描かれない不穏な感じがたまりませんでした。

 

⑤測量(グレン・グールド

ひとつひとつの短編の最後に種明かしのように過去に亡くなった偉人や出来事などが紹介されていましたが、全然知らない人物の上に突拍子もないエピソードが添えられていたので、もしやこの偉人や出来事も小川洋子の創作なのでは・・・と勘ぐってしまっていた時にグレン・グールド登場。

ああ、実在の人物と出来事を書いているのね、となぜかちょっとホッとしました。

2人暮らしの祖父と孫の話ですが、小川洋子の描く家族っていつも断片的で、家族全体を描いた作品はあまりないように思います。

 

⑥手違い(ヴィヴィアン・マイヤー)

「お見送り幼児」なる死者を見送る子供の存在。

死者に履かせる毛糸の靴。

濃厚に漂う死の香り。

現実には存在しない死者を弔う奇妙なイニシエーション。

こういう物語を書かせたら小川洋子の右に出るものはいないように思います。

水辺というのもどこか死のメタファーを感じせますし、そんな死の香りの中に溢れんばかりの生命力を湛えた子供を描くというのもアンビバレンツな感じで好きです。

 

⑦肉詰めピーマンとマットレスバルセロナオリンピック・男子バレーボールアメリカ代表)

母と息子の話。

なんですけど。

母の1人称で語られているのですが、息子のことをずっとRって言っているのに違和感バリバリなのは僕だけでしょうか?

いや、基本的にはとってもハートウォーミングないい話なのですがね。

片耳が聴こえなくなってハンディを抱えた息子が遠い異国で1人で立派に生活している。

母が久しぶりに息子を訪ねて行って、2人で過ごす時間。

そのバックグラウンドに流れているオリンピック中継。

最後に空港でのバレーボールアメリカ代表に繋がるくだりは、そう来たか!!ってなりました。

 

⑧若草クラブ(エリザベス・テイラー

子供のころって、こんなふうに戒律を作ったりして、お互いの絆を確認し合うようなところがある気がします。

若草物語が生んだ絆。

エミイは、かつて若草物語のエミイを演じたエリザベス・テイラーに憧れ、異常な執着をみせます。

自分が若草クラブでエミイにされて、そのエミイを演じていたのがエリザベス・テイラーだったら夢中になるのもわかる気がします。

余談ですが、小学生のころに流行った星座を題材にした漫画『聖闘士星矢』で、自分の星座の聖闘士が射手座とかでいい感じだとイキっている奴がいたものです。

ちなみに僕は蟹座で、蟹座の聖闘士は最低のクズ野郎だったのでめっちゃ憂鬱でした。

そんなふうに安易に自分を重ね合わせてしまうお年頃なので、エミイのエリザベス・テイラーへの常軌を逸した憧れも少しだけ理解できるような気がします。

足が大きくならないように無理やり狭い靴に押し込めたりするのは、中国の纏足を彷彿とさせられました。

 

⑨さあ、いい子だ、おいで(世界最長のホットドック

とても残酷でグロテスクな話でもあり、ほのかに官能的で、歪んだ女性の情念のようなものを感じた薄暗い作品。

ペットショップのたくましく感じのいい男性をもし自分の息子だったらと妄想して執着する。

どこか妖しく危うげな感じがします。

もともと子供がいない代わりに文鳥を飼うためにペットショップに行ったことがきっかけで青年に出会ったわけですが、『小箱』のように子供を失ってしまったり、『臨時実験補助員』のように子供と離れてしまったり(あるいは死別して精神を病んでいたり)子供の不在にまつわる精神の歪みが根底に描かれているように思います。

別に子供がいることが幸せだとかなんとかいう話ではないけど、この物語の主人公にとってその欠落は大きなものだったのでしょう。

ラストシーンでベビーカーを盗む場面で彼女の闇の深さ、欠落の深刻さを感じさせられました。

 

⑩十三人きょうだい(牧野富太郎

この短さにこれだけ多くの要素をよく詰め込んだなと感服。

牧野富太郎のことも絶妙に絡めてきていますし、最高です。

サー叔父さんと、少女のやり取りが微笑ましい。

ただ、それだけにラストの不穏さはいったい何を意味するのでしょうか?

サー叔父さんも祖母のあとを追っていってしまったのかと思わせるような描写でした。

 

 

 

5、終わりに

 

いやー、堪能しました。

うん、どの物語も全力で不時着してましたね(笑)

hiro0706chang.hatenablog.com

 

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