1、作品の概要
2010年に公開されたアメリカとイギリス共同制作の映画。
クリストファー・ノーラン監督・脚本。
妻であるエマ・トーマスとともに製作した。
主演・レオナルド・ディカプリオ、出演・渡辺謙、トム・ハーディーなど。
音楽をハンス・ジマーが担当、ギターを元スミスのジョニー・マーが演奏した。
人の夢に侵入し情報を巡って熾烈な戦いを繰り広げるSF映画。
第83回アカデミー賞に作品賞・脚本賞など8部門でノミネートされる。
全世界で8億ドル以上の興行収入を記録した。
2、あらすじ
産業スパイで人の夢に侵入して情報を抜き取るコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、仲間のアーサーとナッシュと共にターゲットのサイトー(渡辺謙)から情報を抜き取ろうとするが失敗し、逆に別の仕事を依頼される。
依頼内容は情報を抜き取るのではなくて、ライバル会社の社長の跡取りロバートに会社を解散させるようなアイデアを植え付ける(インセプション)ことだった。
難解な依頼を受諾したコブは、アーサー、サイトーの他に夢を想像する「設計師」のアドリアネ、変装の名人「偽造師」のイームス、夢を安定させる薬を使う「調合師」のユスフを仲間に引き入れ計画を練る。
しかし、コブは過去に妻を亡くしてしまったことで殺人の嫌疑をかけられていて、母国・アメリカに入国禁止になっており、妻の喪失に未だに苦しみ、心の奥に秘密を抱えていた。
いよいよロバートの夢に侵入する6人だったが、想定外の自体の連続で任務は困難を極める。
果たして、ロバートにインセプションを遂行することができるのだろうか?
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
(夢の中での)親友であるクリストファー・ノーラン監督の作品ということで、以前からめっちゃ気になっていました!!
しかもディカプリオ、渡辺謙、トムハーディーとか気になる役者さんが勢揃い。
ストーリーも夢の中に侵入するっていうSFのストーリーで、これめっちゃ好きなヤツやっ!!ってなってました。
さすが俺の親友(マイ・ベストフレンド)!!
って、呪術の東堂っぽく言ってみますが、期待を大きく上回るとてつもなく作りこまれた世界観と物語でした!!
4、感想
まずテーマが夢というのがとても面白いと思いましたね。
人間の夢の中に侵入して情報を抜き取るっていうのが、SFではあるんですが人間の潜在意識もテーマになっていて、とても泥臭く人間同士のドラマが描かれていました。
『インターステラー』でもそうでしたが、SF的な世界観をベースにしながらも蓋を開けてみるとウェットな人間ドラマが展開されている・・・。
それもまたクリストファー・ノーラン監督作品の魅力かもしれませんね。
どれだけ技術が進歩してもその世界に生きている人達の想いは変わらず、愛し合って憎しみあって、出会いまたすれ違っていく。
そこに生きる人々のドラマは想いは不変なのだと、ノーラン監督は言いたいのかもしれませんね。
そして今作もとことん作りこまれた唯一無二の映像世界。
冒頭のサイトーの城とかもめっちゃカッコ良かったですし、ロバートの夢の第一階層も地面が天井になってメリメリしてて何だこりゃあでした。(ちょっと何言っているかわからない)
コブとモルが住み続けていた世界も高層ビルが立ち並ぶどこか無機質で限定的な世界で、すごく怖いんだけどどこか強く惹かれるものがありました。
こんな世界で2人きりで50年も一緒に暮らしていくなんて・・・。
どこか狂気じみた愛を感じます。
『インセプション』のテーマのひとつがこの2人の狂気の愛情とその呪縛にあったように思います。
映画『呪術廻戦0』でも愛と呪縛について描かれ、里香と憂太のどちらが呪縛をかけたのかが大きな物語のキーになっていましたが、コブとモルの2人についても同じような図式が当てはまると思います。
果たして愛という名の呪縛をかけたのは、コブとモルのどちらだったのでしょうか?
その謎が解けて、モルの死の真相とインセプションが繋がっていく・・・。
この辺りの展開は本当にトリハダものでした!!
さすがマイ・ベスト・フレンド!!(いや、いい加減クドいっすね。。すません)
ノーラン監督作品は、アクションも秀逸で『インセプション』でも奇想天外、予測不能、空前絶後、唯一無二の超絶アクションの連続で、難解なSF、込み入った人間ドラマとともに作品を輝かせています。
彼の作品のアクションが唯一無二なのは一風変わった奇妙なSF的アクションで、『TENET』で見られたような時間が逆流するアクションで、この作品でも上の階層の夢の影響を受けて無重力状態になったり、天地が逆さまになったり、天候が急変したり・・・。
そんな激変する環境の中で敵と派手に銃撃戦を交わすアクションシーンはとても奇抜で新感覚でした!!
うーん、クセになりますね。
単純に夢の中に侵入するだけではなくて、夢の中でさらに夢をみて下の階層に更に降りていき、対象の人間の深層意識に深く深く潜っていく・・・。
いやー、ようこんなこと考えつくなぁって感心しますね!!
ロバートの深層意識にアイデアを植え付けるために夢の中をさらに深くまで第4階層まで潜っていきます。
さらに深く潜るためにそれぞれの階層に残る者と、さらに深く潜っていく者たち。
目覚めるための合図の「キック」を同時に行うための試行錯誤。
ラスト30分のそれぞれの階層での奮闘も見所でめちゃくちゃスリリングでした!!
最後にコブはモルのことを吹っ切ることができたのでしょうか?
そして冒頭のシーンと最後のシーンが繋がっていて、最後までノーランワールドに翻弄されっぱなし!!
いや、すげーよアンタ!!
ラストシーンで家に帰ることができ、息子と娘と念願の再会を果たすことができたコブ。
しかし、回り続けるコマが暗示するものは・・・。
これが夢なのか現実なのか?
最後に減速していったコマを見ると現実だったのだとは思いますが、最後までコマは夢と現実の狭間を問いかけてきました。
5、終わりに
いやー、もう本当に素晴らしい作品でした!!
SF映画としての世界観と仕掛を持ちながら、壮大な映像と音楽、濃密な人間ドラマを展開しつつ、難解な謎を漂わせるノーラン監督作品は唯一無二で本当に大好きです!!
これかも彼の作品は全部観たいですね!!