1、作品の概要
『バンクシー 抗うものたちのアート革命』は、イギリスのドキュメンタリー映画。
2020年にイギリスで製作された。
2023年5月19日に日本で公開された。
上映時間は113分。
監督は、エリオ・エスパーニャ。
謎の覆面アーティスト・バンクシーの歩みとフィロソフィーに迫る。
2024年8月現在、アマゾンプライムビデオ、U-NEXTで無料配信中。
2、あらすじ
路上のグラフィックアーティストとして活躍していたバンクシーはどのようにして、世界的に知られる存在となったのか?
生まれ育った街・ブリストルでのグラフィックアート、ストリートカルチャーとの出会い。
覆面をして匿名的な存在として活動し続ける彼の信念。
彼の作品の根底に流れるメッセージとは何なのか?
バンクシーと活動を共にする同胞たちのインタビューから浮かび上がってきた謎のアーティスト・バンクシーの素顔とは?
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
まあ、最近ちょっとバンクシーと縁がありまして。
彼のアートに興味があってドキュメンタリー映画を観てみました。
軽い気持ちで観てみたのですが、グラフィックアートの歴史とストリートカルチャーについても詳細に語る内容でとても興味深かったです。
1990年代あたりのUKロックが好きだったので、当時のイギリスの社会的状況がどうだったのかなんかも含めてバンクシーの台頭を観られて面白かったですよ。
4、感想
まずは、やはりグラフィックアートとはなんぞやというところから丁寧に掘り下げていた点が良かったですね。
25年前ぐらいとか、桜木町のあたりにグラフィックアートを描いていた方がたくさんいましたが、こういう背景があったのだなとしみじみ思いながら観ていました。
まあ、後発の方々がグラフィックアート、ストリートカルチャーの精神性をどのように捉えていたかはよくわかりませんが、僕は絵が下手糞なので上手に描いている人はすごいなと思います。
アートとカルチャーは伝播していきますが、背景には社会的問題なども密接に関係していた気がしますし、貧困や人種差別などの問題も無関係では決してなかったかと思います。
社会情勢が不安定で、不条理なことがまかり通る世の中で、劣悪な環境の中に生きていて希望もない若者たちの痛切な叫び、とのひとつの発露がグラフィックアートであったかのように思いました。
今だったら、SNSなどで表現することもできるかもしれないけれど、当時は法を犯しても電車や、壁面にアートを描くことが自己表現だったのでしょう。
イギリスにグラフィックアートのカルチャーが伝播していくに当たってよりパンキッシュになっていった印象があります。
そこはやっぱアナーキー・イン・ザ・UKで、パンク発祥のイギリスならではでしょう!!
バンクシーも反骨精神と社会的メッセージ、そしてユーモアを持ち合わせたような独特のセンスを持っていたように思います。
美術館の壁に自身の作品を勝手に展示したり、パレスチナの壁にグラフィックアートと描きに行ったり、自身の作品が高額で落札された瞬間に遠隔でシュレッダーにかけられるように細工をしていたりと。
いや、最高にパンクやな!!バンクシー!!
ちょっと友達になれそうなんで、1回愛媛に遊びに来いや!!
みかんをたらふく食わしてやっぞ!?
世界的な名声を得てからのバンクシーは、そのことで逆に路上のグラフィックアーティストという自らのアイデンティティの崩壊の危機に陥ります。
作品も高騰し、個展にはハリウッドスターが来場し高値で作品を買い付ける。
それでも高値がついた自らの作品にシュレッダーをかけたり、NYの路上で60ドルで自らの作品を販売したり(誰も気づかずにほとんど売れなかった)と、反骨精神は失っていないみたいなので、今後の彼の活動にも期待したいです!!
5、終わりに
新しいアート、ムーヴメントが生まれるのは背景に社会情勢や抑圧があって、それらをエネルギーにして革命的な何かが生まれたりする。
現在ではクラシカルなアートとして認識されている作品でもその当時は猥雑なものとして扱われたり、新しい何かが頭でっかちな人たちに認められるまでには時間がかかったりするのだと思います。
その間にも、大衆に受け入れられて大きなうねりとなっていくムーヴメントは、やがて古い価値観をも打ち砕いていく。
この映画は、バンクシーと路上のアーティストたちによる現代アートの革命の物語であり、その結実はもう少し先の事なのかもしれない。
50年後、100年後。
バンクシーという存在が現代アートの革命の嚆矢であったと語られる日が来るのでは。
そんなふうに思いました。
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