ヒロの本棚

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【映画】『ほかげ』~戦争の暗い影に蝕まれながら生きる人々の狂気と絶望~

1、作品の概要

 

『ほかげ』は日本の映画。

2023年11月25日に公開された。

監督・脚本は、『野火』などの塚本晋也

主演は、趣里

森山未來、大森立嗣、塚尾桜雅、河野宏紀らが出演している。

上映時間は95分。

2025年8月現在アマゾンプライムビデオで見放題配信中。

 

 

 

2、あらすじ

戦後の闇市

女(趣里)は夫に先立たれて、女手一人で生きていくために小さな居酒屋を営みながら売春をしていた。

そこに盗みに入った戦争孤児の男の子(塚尾桜雅)は、そのまま住み着くようになり、女から「ぼうや」と可愛がられるようになる。

客で来た若い復員兵の男(河野宏紀)も店に居つくようになり、疑似家族のように3人で暮らし始めるが・・・。


www.youtube.com

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

映画館で予告を観て、重そうな内容ですが、気になっていた映画でした。

アマゾンプライムビデオで見放題無料配信が開始されたので、ソッコー観ました。

戦争の暗い影を感じさせられるような映画でしたが、とても印象的でした。

 

 

 

4、感想(ネタバレあり)

 

朝ドラに出ていた趣里がダークでセクシーな役柄を演じていたのが印象的でした。

戦後で混乱しまくりの日本。

夫に先立たられて、頼る人もなく女一人が生きていくには体を売るしかなかったのでしょうか?

生きていくための必死さが滲み出ているような、迫力ある演技でした。

戦争孤児のぼうやとの交流はそれだけに心温まるものでした。

 

若い復員兵も居着いて、疑似家族的展開になるかと思いきや、戦場での陰惨な体験は彼の精神を病ませていて、平穏な生活を送ることができなくなってしまっていました。

「戦争」は、1945年の終戦のあとも多くの人の人生に暗い影を落として、いつまでもその心を蝕み続けている。

映画の登場人物たちの誰もが、その苦しみを抱いているようでした。

 

ぼうやは、子供なりに家計を助けようと、テキ屋の男(森山未來)の怪しい仕事の手伝いをすることになります。

6歳からの闇バイトですか(笑)

男は、私怨を持つ軍隊の上司を殺そうと狙っていて、ここにもまた戦争の亡霊に憑りつかれた男が一人といったところでした。

 

ぼうやは、幼くして家族も亡くし、戦争で魂を病んでしまった大人たちの狂気を垣間見ます。

ラストは居酒屋の女の元に戻ってハッピーエンドかと思いきや、どうやら彼女は性病(梅毒?)を患ってしまった様子。

いや、なにこの鬱展開・・・。

人の心がないんか・・・。

 

最後の銃声は女が自死したことを暗示していて、何もかも諦めて悟ったようなぼうやの表情が痛々しかったです。

 

 

 

5、終わりに

 

重くて辛い映画ですが、心に響く映画でした。

出てくる俳優さんの演技はみな鬼気迫るものを感じましたし、大人たちの狂気と悲劇を透徹とした目線で眺め続けた塚尾桜雅くんの演技も良かったですよ~。

戦後80年ということで、戦争が残した傷跡について考えさせられるような映画でした。

hiro0706chang.hatenablog.com

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