1、作品の概要
『ゴジラ-1.0』は、日本の映画。
2023年11月3日に公開された。
ゴジラ生誕70周年記念作品。
監督・脚本・VFXは『ALWAYS三丁目の夕日』などの山崎貴。
主演は神木隆之介。
浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介らが出演している。
『シン・ゴジラ』以来7年目のゴジラ作品で、国産の実写ゴジラ作品としては30作品目となる。
戦後間もない日本。何もかも失くした人たちの前にゴジラが現れる。
2、あらすじ
太平洋戦争末期の1945年。
特攻隊に任命さながら機体の故障と偽り、大戸島の基地に着陸した敷島(神木隆之介)はそこで島の人間がゴジラと恐れる怪獣に襲われ、敷島が機銃を撃てなかったせいでそこにいた整備兵たちは橘(青木崇高)を残しすべて殺されてしまう。
帰国の途につく敷島だったが両親は空襲で亡くなり、隣人の澄子(安藤サクラ)にも罵られ、責められてしまう。
闇市で出会った典子(浜辺美波)と連れ子の明子は敷島の家に転がり込み、奇妙な共同生活が始まる。
一方米軍の核実験で突然変異しさらに巨大化したゴジラは米軍の船を破壊し、機雷の撤去作業で作業船・新生丸に乗り込んでいた敷島らはゴジラの足止めに向かう。
戦艦を破壊されながらも、敷島の活躍もあり辛くもゴジラを一時撃退した新生丸だったが、ゴジラは遂に東京に上陸を果たし銀座に向かっていた。
戦争で無(ゼロ)になってしまった日本は、ゴジラによって負(マイナス)に叩き落される。
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
次男氏が、『ゴジラ-1.0』観に行きたいと言い出してちょうど公開日の今日がお休みだったんで観に行きました。
次男氏、以前から『シン・ゴジラ』が大のお気に入りで、低学年の頃から繰り返し観ていました。
あんまり子供向けではないと思うのですが、『ゴジラ-1.0』も面白かったみたいです。
僕的には、戦後が舞台っていうのも、第1作のゴジラを彷彿とさせ興味をそそられました。
『シン・ゴジラ』も好きですが、人間ドラマがしっかりと描かれていて『ゴジラ-1.0』も印象的な作品でした。
4、感想(ネタバレあり)
『ALWAYS三丁目の夕日』で戦後の日本の街並みをVFXで再現して好評価を得た山崎貴監督だけあって、終戦後の街並みや、ゴジラに蹂躙される銀座の街などとてもリアルに表現されていて引き込まれました。
電車や、船がぶん投げられてぶっ壊れるシーンも大迫力でゴジラの手癖の悪さにビックリでした。
主人公の敷島が乗った船・新生丸がゴジラに追いかけられるシーンもスリル満点でした。
水面だと、すぐ目の前にゴジラの怖い顔があって、めっちゃ速いスピードで迫ってくるとかスリルありすぎでした。
それと音がすごく良かったです。
ゴジラのズシン、ズシンというめっちゃ重そうな足音。
耳をつんざく咆哮。
新しく編曲されたあのテーマソング。
こりゃIMAXで観たほうが良かったかなと思うような出来栄えでした。
そしてこれまでのゴジラ作品で随一と思われる重厚な人間ドラマ。
戦後を描き、卑怯にも生き残ってしまったトラウマと後ろめたさを抱えている敷島。
彼の中では戦争はいつまでも終わらず、ゴジラと戦うことは彼の中での戦争を終わらせることを意味していたようにも思います。
山崎貴監督は、特攻隊を描いた映画『永遠の0』の監督も務めていたこともあって、その経験が敷島の懊悩や、他の元軍人たちの葛藤もとてもリアルに描かれていて良かったです。
そして生きることへの罪悪感を抱えて苦しみ続ける敷島を支えて共に生きようとする典子。
そんな彼女への想いに応えられなかったのは「自分だけ幸せになっていいのか」という敷島の葛藤があったからだと思います。
典子は両親に生きろと背中を押されて、孤児の明子を拾って一緒に何が何でも生きようとしている強い女性で、「生きろ」というメッセージは繰り返しこの映画で出てくる最も重要なメッセージだと思います。
多くの死者を出した戦争のあとで、ゴジラという新しい危機に瀕してそれでも立ち向かわなければならない。
死ぬかもしれない、でも死んではダメだ、なんとしてでも生きろ。
ゴジラと戦う特殊作戦のメンバーたちに、野田はそんなメッセージを送ります。
戦争の傷にさらに追い打ちのようにこの国に出現したゴジラ。
長引くデフレのあとに東日本大震災が起きて、様々に追い打ちをかけるようだった状況を思い出しましたし、コロナ渦に重なって豪雨災害などに見舞われた状況と重なりました。
そのような災禍にどうのように抗うのか?
国は作中でも隠ぺいを繰り返すだけで当てにならない。
立ち上がったのは民間の組織で、この国を、大事な人たちを守りたいという想いが奇跡を起こしました。
ゴジラに爆弾を積んだ飛行機で特攻しようとしていた敷島。
しかし、敷島を憎んでいたはずの整備士の橘は機体にパラシュートを積んで、彼に「生きろ」と言います。
命を賭けながらも、任務を果たした上で生きようとした敷島。
最後にご褒美のように待っていたのは望外の奇跡でした。
『シン・ゴジラ』以降、『ゴジラ-1.0』でもゴジラは災害や、疫病などの災禍のメタファーであるように思えます。
今後も近々起こるとされる南海トラフ地震、気候変動によって引き起こされる豪雨災害
などこの国にはたくさんの災難が襲いかかることが予測されます。
しかし、ゼロからマイナスに叩き落されても、絶望の淵から立ち上がる。
必ず生き延びて、抗い続ける。
「生きろ」
そんな強いメッセージを感じた映画でした。
5、終わりに
主演の神木隆之介の演技が神がかっていてめちゃくちゃ良かったです。
銀座の街で雨に打たれながら絶叫する場面とかマジでゾクゾクきました。
序盤と終盤では表情が全く違っているのも、すごい表現力だと思いました。
ゴジラの熱線を吐く前の尾びれが盛り上がっていく表現がめっちゃカッコよかったっす!!
傷を受けても再生するというのも、このゴジラが初めてだったのでは?
舞台が現代ではなく、科学技術も発展していない中で、科学に加えて人の知恵と力でゴジラを撃退したのはムネアツでした。
しかし。
最後のアレはハリウッド映画的な続編を窺わせるような終わり方でした。
-2.0あるか?
↓ブログランキング参加中!!良かったらクリックよろしくお願いします!!