ヒロの本棚

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【本】野沢尚『龍時』~高校生の超絶ドリブラーがスペインリーグに挑戦!!唯一無二の傑作サッカー小説!!~

1、作品の概要

 

龍時』は野沢尚の小説。

2002年に01-02シーズンが刊行されて、02-03シーズン、03-04シーズンの3冊が刊行される。

作者急逝のため未完。

漫画版が作画・戸田邦和ワールドサッカーキングで連載されて、全16巻で完結した。

スペインのサッカーチームに入団した日本人の志野リュウジが悪戦苦闘しながらプレイヤーとしてのし上がっていく様を描いた。

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2、あらすじ(3冊分)

 

○01-02シーズン

U16日本選抜としてU-17スペイン代表として戦ったリュウジはスペインの司令塔ヴィクトル・ロペスの凄さを目の当たりにしながら、自らの本能を解放し、光るプレイを見せ、リーガのアトランティコにFCにスカウトされて単身スペインに渡る。

 

○02-03シーズン

レアル・ベティスに移籍したリュウジはスーパーサブとして、リーガで着実に経験を積んでいた。レアル・マドリーやセビージャ相手に自らの力をぶつけるリュウジ。私生活でもダンサーのマリアと交際し、順風満帆の日々だったが・・・。

 

○03-04シーズン

アテネオリンピックの代表に選ばれたリュウジはガチガチの組織サッカーを唱える平義監督のもと冷遇されていた。

スペインのヴィクトル・ロペス、韓国のパクらライバルとの戦いが迫るなかリュウジは・・・。

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ

 

2000年初頭にナンバープラスで連載されていた本格サッカー小説。

16歳の高校生が己の本能をむき出してにしてピッチを駆け回る姿に衝撃を受け、しかも当時自分が傾倒していたスペインサッカーが描かれていたことで夢中になったサッカー小説です。

あとにも先にも、これだけリアルにサッカーを描いた小説はなく、本当にオススメの作品ですね!!

ただ、作者急逝のため続きが読めなくなってしまったことだけが本当に悲しいです・・・。

 

 

 

4、感想・書評

 

とてもリアルなサッカー小説ですし、02-03、03-04シーズンなどは実名のサッカー選手が出てきているのも楽しみのひとつです。

特に02-03シーズンはレアル・ベティスで戦いますが、スペインの代表の右ウイングのホアキン・サンチェスと、左サイドの超絶ドリブラーデニウソンボランチマルコス・アスンソンと共闘しているのがめちゃくちゃテンション上がりました。

当時のベティスはとてつもなく魅力的なチームでアンダルシアのチームらしく両サイドのドリブラーがガンガン攻撃を仕掛ける感じでしたね~。

ちなみにホアキンは40歳を超えた今でもベティスで現役!!

レジェンドですね!!

 

ビクトル・フェルナンデス監督とリュウジの絆も激アツ・・・。

自分の特性を理解して信じてくれる監督と出会うことで、こんなにも選手は成長することができるのかと驚きましたね。

「信じろ。誰を信じるか、分かるか」

「仲間です」

模範的な回答を選んだら、

「自分だ。ここで失敗しても、誰もがお前の力を疑わない、だから焦るな、自分を信じろ」

 ビルバオ戦のスタンドプレーを咎められたのではない。自分らしいプレーをしてこいと言う。涙腺が熱くなる、ピッチに送り出しくれる時、ここまで言葉を尽くしてくれる監督はいなかった。ビクトル・フェルナンデスのために必ず役目を全うしようと、上げ潮のように決意が高まる。

監督の言葉でどれだけ選手のモチベーションが上がるのか・・・。

選手目線で描かれていていいですね。

 

01-02シーズンで、日本選抜として戦ったリュウジは母親と揉めながらも最後は背中を押されてスペインの地に旅立ちます。

その際に描かれていたナショナリズムや、家族の絆なども『龍時』の重要なテーマであると思いますし、龍時はパスを繋ぐだけの組織的な日本サッカーをぶち壊したいと思うようにもなります。

 

両親は離婚していて母子家庭ですが、ちょいちょい現れる父親の時任礼作もリュウジにとってキーとなる人物で、リュウジの漢字の「龍時」を普段は隠しているはここぞという時まで魂は隠しておくみたいなことをリュウジに吹き込みます。

 リュウジは身体の奥底から溢れでようとしているものを感じる。予感があった。久しぶりだが馴染みの感覚。とぐろを巻き、飛び跳ねようとしている獣の感覚だった。

 内なる龍が目覚める時、リュウジは本能を解放し貪欲な獣のようにピッチを駆け巡ります。

普段、どちらかというと物静かなどこにでもいるような高校生のリュウジがうちにもつ熱い魂。

とてもリアルな小説なので、別に少年漫画のように変身とかはしませんが、リュウジが印象的なプレーをするここぞという時はこの内なる龍がリュウジの背中を押します。

 

03-04シーズンは五輪代表編でアテネオリンピック代表の大久保らが実名で出てきます。

監督はオリジナルの人物の平義で、組織的なサッカーを標榜しリュウジをシステムに組み込もうとするように見えますが、実は・・・。

みたいな展開です。

リーガでライバルとして戦っているヴィクトル・ロペスのスペインや、パクの韓国らと戦う場面とかマジでアツいです!!

 

 

 

5、終わりに

 

ワールドカップ期間中なので、サッカーにちなんだ小説や漫画を紹介してみようと思って『龍時』の記事を紹介してみました!!

実在の選手とのやり取りなんかもリアルたし、試合中の展開とかも選手目線でめっちゃ手寧に描かれていてオススメですよ!!

1年ごとに刊行していてシリーズ化されていたので、続きが読めないのが本当に残念な作品ですが、ぜひ手に取ってみてくださいませ♪

 

 

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