今更な感じですが9月ぐらいに観に行った映画『天気の子』の感想です。
7歳の次男と2人で観に行ったのですが、ちゃんと内容を理解していて「面白かった」と喜んでくれたのが嬉しかったですね。
あと、映画の最後までトイレに行かずに観れた!!
いつもラストシーン近くのいいシーンでトイレに連れて行ってたので成長を感じました(^-^)
1、作品の概要
新海誠監督の7作目のアニメ映画です。
前作『君の名は』から3年ぶりの新作。
キ ャッチコピーは「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」
今作も引き続きRADWIMPSが音楽を担当しています。
小説版も出てますね。
読みたい!!
2、あらすじ
島で暮らしていた高校生の帆高(ほだか)は父親に反発して家出をする。フェリーで東京に移動する帆高だったが、甲板から落ちそうになったところをライターの圭介に助けられて、彼の事務所で圭介の姪の夏美と一緒にオカルト記事を作る仕事をして、居候をさせてもらうようになる。
そんな折、マックでバイトしていた女の子・陽菜が男とトラブルになっていたのを見かけて助けるも、実は勘違いで逆に詰られてしまう。
彼女から雨を降り止ませることができる超常的な力を見せてもらった帆高は、イベントなどで晴れて欲しい人たちに陽菜の力を使って晴天にする、「晴れ女」のビジネスを思いつき、陽菜と、陽菜の弟の凪と3人で協力して依頼がひっきりなしに来るようになる。
だが、帆高は陽菜を助ける時に拳銃を発泡したことで警察に追われ、圭介の事務所を首になって追い出されてしまう。陽菜と凪も、両親が亡くなって2人きりで暮らしていたため、児童相談所の職員が保護しようと頻回に訪問していた。
3人は、一緒にいるために逃げ出すことを決意。夏でも雪が降り出す異常気象の中、3人はホテルに宿泊するが朝目が覚めると陽菜が消えていて伝承の通り、神隠しにあってしまった。陽菜が人柱になることで、東京は数ヶ月ぶりに晴れて人々に笑顔が戻っていた。残された帆高と凪の元に警察が訪れ、2人を保護して連れて行ってしまう。
このまま、陽菜は人柱として失われていってしまうのか?
3、感想
『天気の子』は、異常気象で雨が数ヶ月降り続ける東京で、家出少年の帆高と、天気を操って晴れにすることができる特殊な能力を持つ陽菜が出会うボーイミーツガールな映画です。
いや、僕はラピュタとかもめっちゃ好きで、やっぱしこういうボーイミーツガール的な映画は好きですね
ただ、主人公の帆高は今までの主人公の中でも郡を抜くヘタレでちょいイライラしますが(^_^;)
『君の名』の瀧君はわりと行動的で、男らしいところもあったので、余計に帆高のヘタレっぷりは目に付きますw
映像の綺麗さには磨きがかかっていて、雨の表現とか、雲間から光が差してくる様子とかさすが新海誠だと思いました。
『言の葉の庭』も雨がテーマでしたが雨に濡れる木々の様子など映像が綺麗でした。
『天気の子』も『君の名は』と同じようにちょっとスピリチュアルな要素が絡んでいて、陽菜が廃ビルの神社の鳥居を強く願いながらくぐることで天気の巫女の力を手に入れます。
その時見た空の上の風景がとても幻想的で、水の精みたいなのと龍が飛んでいます。
龍神は天気を司る神様なので、陽菜は龍神から力をもらっているということなのでしょう。
陽菜と帆高と凪の3人で晴れ女のビジネスを始めますが、初めはうまくいっているものの、やはり過ぎたる力は歪を生んだり、見返りを求めるものなのでしょうか?天気の巫女は人柱にされるなど不吉な話が出てきます。
歪みだと思ったのは、冒頭で帆高が出くわした集中豪雨と、学生2人が路地裏で見かける水の塊が浮かんでいるシーンで、陽菜が晴れさせた地域の分の雨が他の場所に集中的に降り注いでいるのかなと思いました。
東京が異常気象になって夏でも雪が降りだし、帆高と、陽菜と、凪は3人で警察と児童相談所の職員から逃れる為に行くあてもない逃避行に出ます。
やっと泊まれたホテルでつかの間の楽しい時間を過ごしますが、力を使いすぎた陽菜の体は透明に透き通っていて陽菜も不安そうな表情で帆高に自分の体のことを打ち明けます。
力を使って空の上とアクセスすることで、徐々に存在が空の上の側に引っ張られているということなのでしょうか?
翌朝、陽菜は消えてしまっていました。
陽菜が人柱になったからなのか、東京は久しぶりに晴天、人々の喜びの声が聞こえてきていました。
帆高は警察に捕まってしまいますが、隙をみて逃げ出し、陽菜を追いかけます。
パトカーに乗っている時に刑事から陽菜が14歳と聞かされて不甲斐なさから涙を流す帆高。
「なんだよ・・・俺が一番年上じゃねえか・・・」
ここからヘタレだった帆高が陽菜を助けるために奮闘します。
確か、このシーンでRADの「愛にできることはまだあるかい」が流れ出します。
新海誠監督は音楽と映像をリンクするのが本当に上手ですね。
夏美の協力もあって、警察の追走を振り切る帆高。
目指すは廃ビルの神社。
初めに陽菜が力を授かった神社に行けば、陽菜の居場所にたどり着けるのでは、帆高はひたすらに息を切らしながら陽菜を救うべく線路を走り続けます。
感動的なシーンです。
やっと廃ビルにたどり着いた帆高でしたが、圭介が立ちはだかり、警察の車もビルを囲みます。
万事休す。
ですが、モトカノの協力で逃げ出してきた凪と、帆高の熱意に動かされた圭介によって警察の手から逃れて廃ビルの屋上の神社にたどり着きます。
祈りながら鳥居をくぐると、帆高は遥か天空に浮かび、雲の上で眠る陽菜を見つけ出したのでした。
一番好きなシーンです!!
帆高、頑張った!!
2人は手を繋いで空の上か抜け出し地上へと降下していきます。
その時にかかった曲がコレです!!
【歌詞付き】グランドエスケープ/feat.三浦透子/RADWIMPS
ここも絶妙なタイミングで曲を使っています!!
空の上=神の国から人柱を連れて逃げ出す、まさにグランドエスケープ。
2人は廃ビルの神社で気を失って倒れていて、帆高は故郷の島に送り返されて、陽菜と凪は施設に保護されたのでした。
それから2年半雨は降り続き、東京の一部を海の底に沈めてしまいます。
「あの夏の日、あの空の上で僕たちは、世界のかたちを変えてしまったんだ」
たぶん、冒頭のモノローグだったかと思いますが、陽菜が人柱になることで雨が降り止むはずだったのに、陽菜を連れ出して逃げたことで世界のかたちが変わる=東京が降雨で海に沈むことを表していたのでしょうか?
世界のかたちを変えたとしても、取り戻したい大事な存在が陽菜だったのですね。
これで終わるとまぁまぁのバッドエンドなのですが、最後は東京の大学に進学した帆高が陽菜と再会するシーンで一応のハッピーエンドで終わります。
ラストで目を閉じて祈る陽菜。
巫女としての力は失われていたとは思いますが、何を祈っていたのでしょうか?
バッドエンドだったり、悲しい話が多い新海誠監督の作品ですが、『言の葉の庭』『君の名は』あたりからハッピーエンドが描かれるようになりました。
これは新海誠監督がインタビューで言っていたのですが、東日本大震災の影響が大きく、暗く困難な時代に希望を提示したいみたいなことを言っていました。
村上春樹も言っていましたが、災害や暗い事件が多い現代においては最後に希望の火を灯すような物語が必要とされているのかもしれません。
『天気の子』でも東京が水没してまだ雨は降り続いているのですから、問題は何も解決してなくて、先行きも決して明るくないと思います。
それでも帆高は最後に言います。
「陽菜さん、僕たちは、大丈夫だ」
「僕たち」は陽菜と帆高のことでしょうか?
僕には「僕たち」=社会全体に向けたメッセージに聞こえました。
問題は何も解決してないし、見通しは決して明るくないけど、僕たちは強く生きていける。
そんなふうに感じました。