1、作品の概要
『Ryuichi Sakamoto:CODA』は2017年に公開された日本・アメリカの合作映画。
監督は、スティーブン・ノムラ・シブル。
上映時間は102分。
世界的な音楽家、坂本龍一の2012年~2017年の5年間と自身が語る過去のエピソードをドキュメンタリー化した。
2、あらすじ
坂本龍一の2012年~2017年の5年間。
闘病生活とアルバム『async』の制作、東日本大震災後のチャリティーコンサート、原発反対運動、アフリカと北極への旅・・・。
老境に差し掛かった巨匠の幅広い活動の記録と、『ラストエンペラー』『戦場のメリークリスマス』などにまつわる過去を振り返る。
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
公開当時、このドキュメンタリー映画を観に行きたいなとか思いつつ、愛媛では公開しておらず観ることができませんでした。
まぁそのうちDVDでとか思っていたら、先日坂本龍一が亡くなられて・・・。
先日、NHKで放送されていたのを録画して観ました。
4、感想
映画のDVDのパッケージなどでも使われていたバケツをかぶった坂本龍一の写真。
一見ただの奇行のように見えますが、これも彼の音作りの一環。
映画の中で、自然の音で雨音を録るシーンがあるのですが、窓ガラスに反射する音や、バケツに反射する音を一心不乱に録音する坂本龍一の姿は、稚気を感じるような無邪気な姿でした。
彼の天才性を感じるような、印象的な場面でもありましたね。
東日本大震災後に陸前高田市で開催された復興チャリティーコンサートの模様もとても印象的でした。
以前、スカパー(だったと思う)でコンサートの模様を放送していましたが、まるでキリスト教のミサのような厳かな雰囲気の中で、とてもフレンドリーに振る舞いながらも、人々の心に優しく語りかけるような、傷ついた魂を慰撫するような坂本龍一の音楽に感銘を受けました。
原発問題に関してもアクションを起こしていましたが、様々な社会問題に対しても自分なりにコミットし続けたアーティストでもあったと思います。
映画音楽家として高い評価を受けて、世界中の監督から愛されたミュージシャンであった坂本龍一。
彼が作り出した映画音楽のリストはとても長いものになり、改めて彼の偉業に尊敬の念を禁じえません。
『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』『リトル・ブッダ』『バベル』『怒り』『トニー滝谷』を始め、最近では『レヴェナント』『MINAMATA』の音楽も担当していました。
『ラストエンペラー』の裏話とか、めっちゃ監督が無茶ぶりで笑えましたが、それに答えて名曲を作ってしまう坂本龍一の才能はさすがの一言でした!!
音楽のルーツを求めてアフリカに行ったり、温暖化の現実を自分の目で確かめるために北極に行ったり、老境に差し掛かっても行動的な坂本龍一。
彼の創作のインスピレーションの源泉をみたような気がしました。
5、終わりに
今後、彼のように世界的に存在を示すことができる日本人アーティストが現れるのでしょうか?
期待しつつも、遺された坂本龍一の音楽を楽しみたいです。
アルバム『async』を聴きながらこのブログを書いていましたが、近年の彼の音楽はまるでバッハのように、祈りを感じさせるようなものであったように思いました。