1、作品の概要
『死刑台のエレベーター』は、1958年に公開されたフランスの映画。
モノクロ映画で、上映時間は92分。
監督は、ルイ・マル。
音楽はマイルス・デイヴィス。
原作は、ノエル・カレフの小説。
2010年に日本版の映画『死刑台のエレベーター』が公開された。
2、あらすじ
ジュリアン・タヴェルニエ(モーリス・ロネ)は、自分が勤める会社の社長の妻・フロランス・カララ(ジャンヌ・モロー)と不倫関係にあった。
2人は深く愛し合っていて、社長を自殺に見せかけて殺す計画を立て、ジュリアンが会社で殺害に成功する。
しかし、ロープの回収を忘れた彼は、引換した時に会社のエレベーターに閉じ込められてしまう。
ジュリアンを待つフロランスは、彼の身を案じ、街中を彷徨い続ける。
一方、ジュリアンの車を盗んだルイと、花屋の娘のベロニクは、思わぬ事件を起こしてしまう。
エレベーターからの脱出を試みるジュリアン、しかし物語は悲劇的な方向へと展開していく・・・。
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
映画好きの仕事関係の方と、ジャズや映画の話をしていた時に勧めていただきました。
マイルス・デイヴィスが音楽を担当しているということでお勧めいただきましたが、ヌーヴェル・ヴァーグ(1950年代に起こったフランス映画の革新運動)の嚆矢ともいうべき作品と聞き、大いに興味が湧きました。
アマプラでは配信していなかったので、TSUTAYAにGOしました。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『気狂いピエロ』も良かったですが、なんかフランス映画っていいなぁって思ってます。
なんかオシャレっていうか。
ひとつひとつのシーンが絵になる感じがします。
4、感想(ネタバレあり)
いきなり電話で「ジュテーム(愛してる)」を連発する男女。
濃厚で良いっすね。
フロランスのため息混じりのような声での「ジュテーム」はなんとも扇情的です。
あんなふうにジュテーム言われたら、殺人も犯しちゃいますよね・・・。
社長を自殺に見せかけて殺したまでは良かったですが、社長室に忍び込むために使ったロープがそのままで。
って、あの忍者みたいなカギ爪付きのロープってどこに売ってんだろ?
ドンキとか?
車のカギをつけっぱなしで、慌てて会社に戻るジュリアンですが、ここからやることなすこと裏目に出まくる展開に。
2枚目なんですけど、ちょっと抜けてますねぇ(^_^;)
ジュリアンの車を盗んでハイウェイをドライブするルイとベロニク。
若い恋人って感じの無邪気さで良いですね。
不倫でドロドロしているジュリアンとフロランスのカップルと対比させているのでしょうか?
しかし、若さゆえの軽率さ、衝動で取り返しのつかない過ちを、殺人を犯してしまいます。
今にも「太陽のせい」とか言い出しそうな、軽はずみで突発的な殺人。
「認めたくないものだな。若さ故の過ちとやらを・・・」と言ったのは、シャア・アズナブルですが、ルイも自らの罪を認めたくなくて逃げ出してしまいます。
自殺を企てるも短絡的だし、見事に失敗。
しかし、結果的にこの2人の殺人からジュリアンとフロランスの罪が暴かれてしまいます。
ジュリアンは何とかエレベーターを抜け出しますが、フロランスとの愛の成就は叶いません。
ルイとベロニクの殺人がキッカケでジュリアンが車に置いていた小型カメラの写真が全て現像されて、そこには仲睦まじく写真に写ったジュリアンとフロランスの姿が・・・。
2人の愛が、罪を立証してしまった皮肉。
ラストシーンのジャンヌ・モローの涙。
もう愛しい彼と愛し合うことができない。
そんな悲哀が伝わってくるようでした。
5、終わりに
エレベーターに閉じ込められるというシチュエーションもさることながら、2人の若いカップルがジュリアンとフロランスの運命に絡んでくる描き方が興味深かったです。
マイルス・デイヴィスの物悲しく、人の心を揺さぶるようなメロディーも良かったですねぇ。
マイルスさん、映画の映像を観ながら即興で音楽を作ったそうで、いやどんだけ天才やねんのエピソードでした。
マイルスには参るっす。
おあとがよろしいようで。
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