ヒロの本棚

本、映画、音楽、写真などについて書きます!!

【雑記】或いは、この温もりが恋だとして。

風が吹いていた。

真冬にしては珍しい強い低気圧が列島を包み、僕が住む街にも雪が降り続けている。

夜の帳が落ちた街。

 

街灯に照らされたアスファルトのステージで雪の精が踊り続ける。

この国の最南端に位置するこの街では、雪は積もらずに明日には夢のように消えてしまうだろう。

そう思うと。

今目の前で振り続け、僕の体を冷やし続けている淡雪でさえも。

愛おしく感じてくる。

 

立ち止まって、空を見上げる。

星のない空はどこまでも深く暗く。

広げた手のひらで雪は溶けてなくなった。

 

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アパートのドアを開けると、君が笑顔で迎えてくれた。

「まぁ、あなた幽霊でも見てきたようなひどい顔をしているわね」

含み笑いをして僕を抱いて迎え入れる。

凍りついて僕の身体に少しずつ明かりが灯るような気がする。

 

「外が寒すぎて・・・。この冬一番の冷え込みだってさ・・・」

君をかき抱くようにして凍てついた身体を擦り付ける。

とても温かい。

心までほどけていくようなぬくもり。

僕は目を閉じて、君の「熱」を感じ続ける。

 

「もうどこにもいたくないよ」

僕は目を閉じたまま、夢見心地で言った。

君は困ったように笑って、僕の身体を温め続ける。

 

「君がいてくれたら、僕は他に何もいらないんだよ。」

風が強く窓を叩き。

「もうどこにも行きたくない。」

雪が窓を凍てつかせる。

「君のぬくもりさえあれば。」

彼女は困ったように微笑む。

 

僕は君の温もりの中で微睡み続ける。

いつか、離れ離れにならない運命はわかっているのだけれど。

僕は、やるべきことがあるのだから。

「ねぇ、もう行かなきゃね」

彼女が優しく囁いた。

 

後ろ髪を引かれながら、僕はやがて起き上がる。

僕は、彼女とはずっと一緒にいられないのだから・・・。

「大好きだよ、コタツ

僕は、彼女の名前を呼んで勢いよく起き上がった。

お風呂に入るために・・・。

 

 

 

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