1、作品の概要
『光』は2017年に映画化された日本の映画。
三浦しをん『光』が原作。
監督は大森立嗣で、主演は井浦新。
音楽を世界的なテクノアーティストであるジェフ・ミルズが担当している。
生まれ故郷の島で罪を犯した3人が、25年後に再会するが・・・。
2、あらすじ
東京の離島「美浜島」で生まれた信之(井浦新)は、恋人の美花(長谷川京子)をレイプしていた男を殺してしまい、輔(瑛太)にも見られてしまうが、津波が島を襲ったことで全ては闇に葬り去られていた。
25年後、信之は南海子(橋本マナミ)と結婚して子供も生まれて平穏に生活していた。
そんな穏やかな凪のような日々に輔が現れて、過去の罪を脅迫し始める。
輔は南海子と秘密裏に姦通もしていて、信之に揺さぶりをかける。
現れた過去の亡霊と罪の記憶に信之の狂気が覚醒し始める・・・。
3、この作品に対する思い入れ
5年前にツィッターか何かで映画『光』の情報が流れてきていたのですが、音楽担当:ジェフ・ミルズのところで3度見ぐらいしました。
えっ、ジェフ・ミルズって・・・。
街の1日サッカー教室にペレが来たとか・・・。
街のカラオケ大会にレディー・ガガが来たとか・・・。
弟の結婚相手が村田沙耶香だったとか・・・。
よくわからない例えのオンパレードですが、それぐらいのインパクトがありましたよ。
ジェフ・ミルズと言えば世界でもトップクラスのテクノDJで、「宇宙人」の異名で知られるデトロイト・テクノの雄なのです。
デトロイト・テクノっていうのはその名の通りデトロイトのテクノなんですが、ガッチャンチャキチャキシャキシャキドンドンって感じのテクノなんですよ。
そんなわけで、劇場で激情すべく観に行った映画でした。
狂気に満ち溢れた映画で、後味悪いことこの上ないですが、僕は好きです。
4、感想(ネタバレあるよ?)
唐突にデトロイト・テクノで始まる日本映画。
この違和感が最高です(笑)
レイプされていた美花を助ける為に、愛する女を傷つけられた怒りのために男を殺す信之。
でも、なんだか美花に弄ばれているというか、ちょっと芥川龍之介『藪の中』を思い出しましたが、美花が男を誘ったような感じもあり、男に体を任せながら信之に送った視線もどこか淫靡で、ちょっと怪しげな感じがありました。
殺人の罪を背負って、贖って生きていくはずだった信之。
しかし、津波が美浜島を襲い信之の罪は贖われる機会を失ってしまいました。
この悪魔のようなタイミングの良さで信之は罪から逃れ、彼を虐待する親も波が洗い流してしまいました。
そのことが彼の精神の発達にどのような影響を与えたのでしょうか?
月夜の海を滑るように進んでくる大波の映像はとても美しかったですね。
美しすぎて、災害とは思えないぐらいでした。
時に悪魔は優しげな顔をして近づいてくるものであるかもしれませんし、災厄は美しい光景の中で訪れるものなのかもしれませんね。
25年経って輔が信之の前に現れた理由は金だけではなくて、自らが抱える憂鬱、空虚な気持ちから解放されたかったからだったような気がします。
その結果、自分が信之の暴力で揉み消されてしまっても。
輔はずっと孤独で父親の支配からも逃れられず、ずっとヒーロー=信之の存在を待ち続けていたような気がします。
無邪気さと、繊細さを併せ持つような難しい役柄を瑛太がうまく演じていたと思います。
信之は裁かれはしなかったものの、いや裁かれなかったからこそ余計に人を殺したことで一線を踏み越えてしまった人間で、その異常性と暴力性を封じ込めながら25年生きてきたのだと思います。
それが、輔の登場と共にその狂気の封印が解かれてしまった。
罪を贖うことなく、その秘めた暴力性を狂気を内奥で育て続けた彼の暴走がこの物語の主軸だと思います。
冷徹なる狂気。
静かな笑すら湛えながら、彼は暴力を行使し、命を奪います。
彼がその狂気の果てにたどり着いたのはどういった場所だったのでしょうか?
5、終わりに
井浦新の無双っぷりがハンパなかったですし、全編を漂う不穏さがドロドロしていました。
まぁ、好きな感じですね(笑)
あと、橋本マナミがエロかったことはぜひともお伝えしておかなければならないのでしょう。
橋本マナミが、エロかったことは・・・。
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