1、作品の概要
2014年にアメリカで公開された映画。
監督・脚本はデイミアン・チャゼル。
第87回アカデミー賞で5部門ノミネートされ、3部門で受賞された。
2、あらすじ
シェイファー音楽院1年生のニーマンは、ジャズドラマーのバディ・リッチを目指している若きドラマー。
高名な指導者のフレッチャーに見出されて彼の指揮するバンドに入り、やがてサポートから主奏者に上り詰める。
フレッチャーのスパルタ指導についていくため、全てを音楽に捧げていくニーマンは、音楽に集中するために恋人とも別れてしまう。
しかし、コンサート当日に交通事故を起こしてしまい、ニーマンは絶対絶命の危機を迎えるのだった。
3、この作品に対する思い入れ
以前観て強い衝撃を受けた映画です。
そろそろもう1回観たいなぁと思っていたところ、ツィッターでつぶやいていた方がいらっしゃったのに触発されて観直してみました。
演奏前の緊迫感や、興奮などがリアルに表現されていてとても好きな作品です。
そして、何といってもニーマンとフレッチャーの激突。
お気に入りの映画です♪
4、感想・書評
プロのジャズドラマーを目指すニーマンと、鬼教官のフレッチャー。
2人の関係性の変化と、狂気がこの映画の見所だと思います。
最初は練習熱心でひたむきに憧れのバディ・リッチを目指しているニーマン。
音楽だけではなくて、映画館の受付のアルバイトをしているニコルを好きになって、恋愛をしたりと爽やかに大学生活をエンジョイしていますが、フレッチャーの狂気とも言うべき音楽への情熱とこだわりに影響されてよりストイックに変わっていきます。
なんか、段々目つきもヤバい感じになっていくんですよね(^^;;
最初は爽やかな好青年だったと思うのですが。。
自らの音楽への夢もあったかとは思いますが、フレッチャーの狂気に呑み込まれていきます。
そして、音楽に全てを捧げるために、可愛い彼女とも別れてしまい・・・。
いやー、もったいねー!!
激しい練習に打ち込むニーマンの表情は鬼気迫っていて、ニーマン自身の心の中にもフレッチャーの狂気が乗り移ってしまったかのようでした。
血まみれになりながらドラムを叩き、氷水に血まみれの手をつけて、血が滲んでいく。
グロテスクだけど、印象的な演出ですね。
音楽シーンの緊迫感、演出も素晴らしかったです。
単純かもしれませんが、めっちゃジャズが聴きたくなりましたね(笑)
ラストは、フレッチャーの狂気に触発されてニーマンが、自分を解き放っていく圧巻の演奏シーンがとてつもなく印象的でした。
交錯する狂気と狂気。
お互いに恨み合うドロドロとした関係ですが、音楽面でいうと触発し合い高め合っているとも言えるラストシーンで。
ニーマンの熱に気圧されながらも、フレッチャーも彼の音を認めて受け入れたのでしょうか?
火が燃えるのに酸素が必要なように。
何かを突き破るには、触媒が必要で。
ニーマンとフレッチャーの歪な化学反応は最後に何かを生み出したのだと思います。
5、終わりに
『セッション』は、めっちゃ好きな映画の一つである『ラ・ラ・ランド』のコンビである監督デミアン・チャゼルと音楽ジャスティン・ハーウィッツが、『ラ・ラ・ランド』の前に作った映画でもあります。
まぁ、狂気を感じさせる場面が多いし、とてもピリピリした感じの映画でした。
芸術がひとつ上のステージに上がるためには化学反応がひつようであるし、はるか彼方まで辿り着くためには、時には殺したいほど憎い相手と響きあわなければいけない場面もあるように思いました。