☆髪を切るという行為について☆
先日、今年初のカットに行ってきました。
わりとものぐさ太郎de3年寝太郎なのですが、それでもやはり2ヶ月ぐらい髪を切らなかったらもじゃもじゃしてきて、髪を切ってスッキリしたくなるんですよ。
好きな髪型はベリショでツーブロックっぽく刈り上げる感じ。
ジェルとかで髪をツンツン尖らせるのがお気に入りですね。
わりと尖った男なのですよ!!
まぁ、最近はめんどくさくてセットしないことも多いですが(^^;;
ちなみに写真は、羊の毛刈りショーを観た時の写真です。
ツルツルですねぇ。
この後にバリカンが皮膚をあやまって傷つけてしまい、流血沙汰になったのは別の話。
血まみれの羊を見せられるというトラウマ体験を致しました。
血まみれにならずに毛刈りをできてしまう人間はきっと幸せなのでしょう。
僕はここ数年、ずっと同じ美容室に通ってまして丁寧にカットしてもらってますし、サロンの内装や、美容師さんとのトークも楽しくてカットするだけではないプラスアルファの楽しみも頂いているように思います。
まぁ、大体カットする美容室って同じところに通いますよね。
知らないとこに行くと、緊張しますし(俺だけ?)、なんか疲れちゃいそうですしね。
☆大学生の頃に散髪屋に行ったら切ってくれたおばちゃんが自分の自殺未遂をカミングアウトしだした話☆
20~30歳ぐらいまでどこで髪を切ってたんだろうって思い出すんですけどよく覚えてないです。
その時その時で色々だった気もしますが、大学生の頃はケチって髪がぼうぼうになるまで伸ばして、実家でオカンにバリカンで刈ってもらっていたりもしました。
まさに毛刈り(笑)
そりゃ、モテんわなぁぁぁぁ(^^;;
そんな中、ふっと思い出したちょっと奇妙な床屋の話。
まるで村上春樹の短編のように奇妙な体験でした。
あれは、たぶん大学1年生の冬だったと思います。
夏ぐらいに帰省して毛刈りを行ってから、数ヶ月が経過しており、エレカシの宮本浩次ぐらいのボサボサヘアーになっておりました。
ちょっと風邪気味で熱もあったのですが、何故か突然髪をどうしても切りたくなり、フラフラしながら近所にあった床屋に向かいました。
駅までの道中にあり、いつも見かけていた床屋で行ったことはなかったのですが、近いしいつか髪を切りに行こうと思っていました。
その床屋は、美容室などとは口が裂けても言えないような「ザ・床屋」ってなお店でした。
もしかたしたら、「パンチパーマ3000円」とかガラスに書いていたのかもしれませんし、もちろん白と赤と青のあれがクルクルしていました。
熱で浮かされた僕は、吸い寄せられるようにその床屋へと足を向けてその扉を開けました。
その扉はあるいは異界への扉であったのかもしれません。
今でも僕はその扉の向こうで起こったことが現実かどうかの自信がないのですから。
その床屋のドアを開けた瞬間、ガラス戸の向こうは無人で僕は少しだけ嫌な予感がしました。
意を決して「すみません」と、呼びかけるとなんとなくインパクトがありそうな濃い感じのおばあちゃんが出てきました。
残念ながらおばちゃんの容姿についてはあまり覚えてないのですが、顔と口が大きかったことは覚えています。
日本昔ばなしで、山で道に迷ってしまって、泊めてくれた山姥のおばあさんの顔はきっとこんな感じだったんだろうと想像させるようなご尊顔でした。
しかしおばちゃんは、「あら、髪を切りに来たのね?こちらにどーぞー」ってな感じの気さくなおばちゃんで僕は少し安心しました。
おばちゃんは、とてもにこやかでよく見ると服装も小綺麗で、夜中に出刃包丁を研いだりするタイプには見えなかったからです。
田舎から出てきたばかりのヒロ少年からするとオシャレな美容室より、おばちゃんがやってる床屋のほうが緊張せずにすむ。
僕は少しリラックスして、どんなふうに切って欲しいかのイメージを伝えました。
初めは、なごやかに世間話などをしながら髪を切ってもらっていました。
和やかなムードになった次の瞬間。
「実はね、私手首を切って自殺未遂をしたことがあるのよ」と、おばちゃんは言いました。
途端に和やかだった空気は凍りつき、床屋に静寂が満ちました。
細かい内容は忘れましたが、旦那さんの女性関係のことだったでしょうか。
涙混じりに語り続けるおばちゃんの話と、僕の髪を切るハサミのショキショキという音が床屋に鳴り響いていました。
当時19歳だった僕に何ができたでしょうか?
ついにおばちゃんの手は止まり。
背後から地響きのような嗚咽が聞こえ始めました。
僕は、どうすべきだったのでしょうか?
立ち上がって、おばちゃんを強く抱きしめれば良かったのでしょうか?
どんどん熱が上がっていきそうな状況で僕は朦朧とする意識の中で、早く髪を切って欲しいと願っていました。
「あら、ごめんなさいね。恥ずかしい」とか言いながら、おばちゃんは散髪を再開しました。
ひょんなことから風邪をひいて熱があることを伝えると、おばちゃんは髪を切る手を止めて(この日は実によく手が止まりました)、部屋の奥に突撃していきました。
薬箱を持ってくると、「これを飲みなさいね!!」と風邪薬を飲ませてくれました。
この世界は広くて色々な経験をされている方は多くいらっしゃると思いますが、散髪しに床屋に行って、風邪薬を飲ませてもらった人間は僕しかいないのではないかと思います。
カットを終えて、外に出た頃にはすでに日は落ちかかっていました。
おそらく2時間は経過していたと思います。
床屋をあとにする僕に、おばちゃんは手を振ってくれました。
僕も手を振り返しました。
熱で火照った頬に、冬の風は心地よく冷たかったです。
家に帰ってしばらくするとおばちゃんの薬が効いて、熱は下がっていました。
おばちゃんに感謝しつつ、鏡を見た僕は、坊ちゃん刈りになった自分の髪型に愕然としたのでした。