1、作品の概要
2020年7月に公開された日本映画。
監督は『さよなら渓谷』『日々是好日』の大森立嗣。
主演・長澤まさみ、奥平大兼。
実話を基に、歪んだ母子の愛と、それによってもたらされた悲劇を描く。
2、あらすじ
シングルマザーの秋子(長澤まさみ)は、定職にもつかないその日暮らしをしながら、息子の周平と生活していた。
お金にも男にもだらしなく、実の両親と妹にも愛想を尽かされた秋子は、ホストの川田(阿部サダヲ)と付き合うようになり、周平は学校にも行けず劣悪な環境で育てられる。
秋子が川田の子供を身ごもったことで2人の関係は破綻し、路上でホームレスのような生活をするようになる。
追い詰められていく秋子の狂気が、周平を支配し、やがて悲劇を招くことになる。
3、この作品に対する思い入れ
あまり積極的に勧めようって思う作品ではないかもしれないですね(^^;;
なかなかに辛い展開の連続で・・・。
うん、でも衝撃的な作品でした。
ラストのやるせなさは異常。
そして、長澤まさみのことが嫌いになること間違いなしですね。
4、感想・書評
いや、もう長澤まさみが演じる秋子のクズっぷりがもう。
ハンパなかったっす!!
クズ中のクズ。
ビッチ・オブ・ザ・ビッチ。
ゲスの極みまさみ!!
セカチューの映画版でもヒロインを務めて、「清純派女優」のイメージが強かった長澤まさみですが、近年はまぁまぁヨゴレ役も多いようですね。
このアンダーアーマーのCMとかもビックリしました。
目つきがヤバすぎ(笑)
『海街diary』では、奔放で酒好きな次女役を演じたりしていましたが、美人だけど奔放で崩れた役もこなしていて、役の幅が広がっている印象がありました。
そして今回は金にも男にもだらしなくて、子供をネグレクトして、働かずに犯罪行為をしても金を手に入れたいとか考えている最凶のクソビッチを演じています♪
いや、役の幅を広げすぎやろっ!!
ギャップありすぎやろ!!
助けてください!!
この薄幸のヒロインが・・・。
発酵のヒロインに・・・。
もうファックしまくり。
男誘いまくり。
今まで長澤まさみってそんな印象に残る俳優でもありませんでしたが、僕的には今作で一気に気になる俳優になりました。
周平の少年時代役の奥平大兼もオーディションで抜擢されての出演でしたが、めちゃくちゃ光っていたと思います。
なんとなく村上虹郎とかに近い雰囲気があるように思い。
今後が楽しみですね。
って、もしかしたらと思ってたけどアフラックのCMの吉田羊の息子役の子でしたね!!
「負担とかじゃねーし」
いや、ゲイとかじゃないんですが、俳優さんってなんだか男性の俳優さんに惹かれるんですよね・・・。
『恋する母』にも出てたんですね。
ブレイクの予感が漂います。
表情の作り方とか、人を惹きつける天性の「何か」があるように思えます。
えっと、何の話だっけ?
そうそう『MOTHER』の映画の話ですね。
もう冒頭からラストまでずっと辛い展開の映画ですわ。
つら・つら・つら、ですわ。
ニイタカヤマノボレですわ。
天気晴朗なれど映画辛しですわ。
辛がゲシュタルト崩壊
そうかい
気分は爽快?
毎日痛快
なんか妖怪
心は溶解
時々韜晦
yoチェケラ!!
って思わず紡いじゃう感じでしたyo!!
今日は、ラップの神が降りて来てるne!!
サランラップかもしれないけどna!!
って本筋から逃げたくなるぐらいツライ展開。
でも、周平くんがガッツリ感情移入しちゃうくらいにいい子なんですよね~。
母親のクズっぷりと相まって彼の聡明さが引き立ちます。
この子がもしちゃんとした教育を受けられたら、将来すごいことになるんじゃないのか?
そう思わせる何かが表現されていて、僕は周平くんにとても感情移入しちゃってました。
妹の冬華ちゃんを庇う姿もとても健気で(泣)
めちゃくちゃいいお兄ちゃんなんですよ。
保護施設的なとこに住んでいた時に、ケースワーカー(?)の亜矢(夏帆)に親身に世話を焼いてもらって一度は母親を切り捨てようとします。
そうだ!!そのまま冬華ちゃんと2人で施設に入ればいい!!
おっさんは、画面の向こうから応援しましたが、結局周平は母親と一緒に生きていくことを選んでしまいます。
でも、きっとそうなるんだろうなぁと思いましたが・・・。
それでも、周平の幸せを願わずにはいられなかった。
何故、周平は母親の支配から逃れられなかったのか?
そして、あまつさえ世間を騒がせるような凄惨な事件を起こしてしまったのか?
その答えとなるシーンは、祖父母にお金をせびりに行って(もちろん秋子の命令で)追い返されて、折檻されると思ったら秋子に抱きしめられたシーンだったのではないかと思います。
計算してやってるかどうかはわかりませんが、普段厳しくしておいて思いがけない時に無償の愛情を与える。
そんな手口は、他人の心を支配するのに効果的なような気がしました。
夫婦間のDVでも束の間の優しい顔=ハネムーン期があるから、より支配が強固になると聞いたことがあります。
亜矢が差し出した手を修平が握っていれば・・・。
そんなやるせない想いはありますが、結局のところ周平を縛っていたのが「愛」だとしたらその負の連鎖から抜け出すのは難しかったのかもしれません。
歪んだ愛にせよ、人は愛に縋りつくイキモノだと思いますし、親子関係なら尚更でしょう。
悲しいですが、この物語はラストの凄惨なカタストロフィに繋がる形で、敷かれたレールの上を転がっていくトロッコみたいに、少しずつ加速していったのかもしれません。
今読んでいる本が、江國香織『神様のボート』で。
大好きな本で何度目かの再読ですが、「母親の愛情と狂気の檻」から抜け出せたのか?それとも捉えられたままだったのか?という点で、とても対照的な作品だと思いました。
5、終わりに
最近観る映画、観たいって思う映画が邦画が多いです。
音楽でも映画でも別にどこの国のものとかそこまでこだわりはありませんが、やはり自国の言語、風土をバックに表現されるものは特別な気がします。
邦画に関しては、表現の仕方が洗練されたりしていることもあるかもしれませんが、独特の「湿度」を持っている作品が増えているように思います。
文学でもそうだと思いますが、映画では特に薄暗いトーンのカットが多いせいかより湿度を感じます。
しめやか、くるおしい、やるせない、あいくるしい・・・。
日本的な表現が存分に活用されて、独自の世界観が形成されている作品が多いように思います。
『MOYHER マザー』も心に突き刺さるような、鋭さを持った映画でした。