1、作品の概要
1969年5月13日に東大で行われた東大全共闘主催の三島由紀夫との討論会のドキュメンタリー映画。
三島由紀夫の没後50年を悼んで制作された。
2020年3月20日公開。
2、あらすじ
日本が革命の熱にうかされて 、反戦デモ、学生運動が頻発していた時代。
日本を代表する文豪・三島由紀夫が、東大駒場キャンパスの900番教室で東大全共闘の学生と討論をしに単身乗り込んできた。
1969年5月13日。
1000人の敵を前に三島は何を語ったのか?
当時の映像と、主要人物など13人のインタビューを交えながら語る「伝説の討論会」の真実・・・。
1969年伝説の討論会映す『三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実』特報
3、この作品に対する思い入れ
正直、難しいことは全くわからないんだけど。
魂が揺さぶられた。
まぁ、風が吹けば簡単に揺さぶられる安い魂なんだけどさ(笑)
真剣にこの国を良くしよう、変えようとする熱意、情熱。
本気が伝わってきた。
4、感想・書評
最初に言うときますが、難しいことはわかりまへん(笑)
しょっぱなから白旗です。
当時の学生運動がどうとか、加速していく三島の右翼思想とか、そこまで深い理解をしているわけではありません。
わりとミーハーな感想になるかと思いますので、深い考察を求めている方は申し訳ありません!!
いや、調べながら深そうな考察を書いてみようかなとも思いましたが、まーまー面倒だしミーハーにザックリした感じで感想を書いてみるのも良いかなという結論に至ったのですよ。
①僕と全共闘
1960年代に行われた学生運動。
まだ僕は生まれてなかったので、物語の中で知るだけでしたが日本が熱にうかされて革命を夢見た時代として強く印象に残っていました。
初めて全共闘のことを知ったのが、宗田理『ぼくらの7日間戦争』でした。
『ぼくら~シリーズ』は僕の小学生時代のバイブルで7日間戦争を読んでから、全作品を読みあさりましたが、7日間戦争は親世代が全共闘世代の子供達が親たちの反逆を模倣して、社会に反旗を翻すという物語でした。
読んでいて、心躍ったことを覚えています。
村上春樹『ノルウェイの森』『1Q84』、村上龍『69』でも全共闘について触れていました。
彼らの世代に於いては、運動に夢中になるにせよ、一線を引くにせよ、何らかの態度を決めなければいけない時代だったのだろうなと思います。
浜田省吾の『遠くへ』も全共闘の運動がテーマになっている曲ですね。
②三島の話術
討論会がスタートして、まずは三島の挨拶&演説っぽいトークから始まりますが、これが絶妙。
三島を敵視して、ギスギスしていた1000人が徐々に緩んで、次第に笑い声も起きるようになっていきます。
ポスターでゴリラと揶揄された自分をネタに笑いを取りつつも、次第に自分と全共闘との共通点、相違点を洗い出してお互いの立ち位置を明確にしていきます。
思想が対立しているからといって全く共通点がないということがあるのでしょうか?
少なからず共通点はあるように思えました。
絶妙の緩急で場を和ませつつも、時には鋭い主張をする三島。
ミーハーかもですが、立ち振る舞いもめちゃくちゃかっこよかったですね!!
身体を鍛えているだけあって、姿勢、立ち方がとても美しく体幹が鍛えられていることが窺えます。
体幹=インナーマッスルを鍛えていると、姿勢が正しくなり、立ち振る舞いが美しくなります。
三島の立ち方、諸動作は非常に美しかったです。
タバコの吸い方、笑い方なんかも非常に絵になっていて、まさにカリスマといった感じでしたね!!
三島を論破して、壇上で切腹させると言っていた学生たちも三島のカリスマ性に次第に籠絡されていきます。
③芥VS三島
東大全共闘最強の論客・芥氏と三島の舌戦。
芥氏は、自分の赤ん坊を抱いてふらっと壇上に上がりますが、その激しい舌鋒に三島の顔色が変わります。
何しゃべってたかは忘れました(笑)
いや、理解できなかっただけかもですが・・・。
とにかく2人の言葉を武器にした戦いは美しく印象的でした。
ちなみに芥氏の現在のインタビューも繰り返し挿入されていましたが、70歳を超えても尖りまくっててクソかっこよかったです!!
当時から、前衛芸術とか演劇とかやってたみたいですが今に至るまでずっとやってて、めっちゃオシャレでカッコイイ爺さんでした。
三島のことも呼び捨てでDISりまくってて、インタビュアーにも噛み付いてて、こんな爺さんになりたいなって思いましたよ!!
他にこの日に会場にいた人達が当時を振り返りながら三島のことを語るのはとても良かったですね。
三島の人間性に触れられたように思いました。
5、終わりに
友人が、『花束みたいな恋をした』を観たって話をしていたから、僕もラブストーリーを借りようと思っていたのに気づくと借りていたのは三島のドキュメンタリーでした。。
海に出るつもりじゃなかったのに。
人生は往々にして意図していなかった場所に僕たちを運んでいきます。
でも、胸が熱くなるようなまるで劇場にいるかのような討論会で、映像にひき込まれていきました。
まるで、オペラだ。
そう思いました。
愛憎渦巻く、ぼとばしる激情の中、論は交わされて。
感情の渦巻き、魂の叫びが満ち満ちていくような熱い気持ちにクラクラと酔いしれるような気分になりました。
50年後の世界に生きる僕達は三島と東大全共闘の学生たちの張り詰めた想いを受け止めることができるでしょうか?
思想を超えて三島が成し遂げようとしていた想い。
少しずつでも、現代を生きる侍の末裔である僕たちが、継承していくべきなのかもしれません。