ヒロの本棚

本、映画、音楽、写真などについて書きます!!

【本】吉田 修一『横道世之介』

1、作品の概要

 

2009年に刊行された吉田修一の長編小説。

本屋大賞3位、柴田錬三郎賞受賞。

1987~88年の東京を舞台に、大学進学で長崎から大学に進学し上京してきた横道世之介の日常と、周囲の人々との関わりを描く。

また、登場人物たちが16年後から、世之介との日々を回想する。

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2013年に映画化。

世之介役を高良健吾、祥子役を吉高由里子が務めた。

横道世之介

横道世之介

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

2、あらすじ

 

1987年に大学に合格し、長崎から上京してきた横道世之介

持ち前の明るく憎めないキャラクターと、人懐っこく図々しい性格で、周囲の人々に受け入れられてかけがえのない青春時代を共に過ごす。

入学式で出会った友人の倉持、結果的に倉持との仲を取り持つ形になった唯、謎の多い女性で世之介が一目惚れする千春、ひょんなことから友人になった加藤、お嬢様で世之介の恋人になる祥子。

 

皆、世之介とかけがえのない時間を過ごし、16年後から世之介のことを繰り返す。

彼のことを思い出すと、その愛嬌のある姿に笑いがこみ上げてくるのだった。

横道世之介 (文春文庫)

横道世之介 (文春文庫)

 

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ

 

純粋に笑えて、物語も面白くて、温かい気持ちになって、人間関係もしっかりと描かれた作品だと思います。

そして、最後はすこし悲しくて・・・。

とてもとても素敵な物語です。

映画も小説もとても好きです。

 

これを読むと、自分が愛媛から上京して東京の大学に行ったことを思い出しますし、青春時代に置き忘れたいくつかのキラキラとした思い出たちがほんのりと輝き出すような気がします。

 

笑って泣いてほっこりできる、そんな人間模様を描いた物語です。

 

 

4、感想・書評

 

文庫本で450ページ以上あるやや長めの作品ですが、ゲラゲラ笑いながらあっという間に読めてしまう、とても楽しい作品です。

横道世之介は、1987年のバブル期のお気楽大学生で、豊かで狂乱に満ちた時代をマイペースに渡っていきます。

 

もう、この世之介のキャラクターが絶妙で、どこにでもいそうなおのぼりのお気楽バカ大学生なんですが、憎めない愛され上手な性格で、相手の懐にスっと入って警戒を解くのがとても上手です。すごく善良で純粋な人間でもあります。

 

世之介と、彼を取り囲む人々の日常はとても賑やかでカラフルです。

20歳前後って、人生でも特別な時期だと思ってて、良い思い出かどうかは別として目にするもの全てが、とても色鮮やかに映る時期なのではないかと思います。

 

僕は、過去を振り返って「あの頃は良かったなぁ」って思うことは好きではないし、常に前に進んで、自己成長して全方位的に成長して、日々を楽しいと思って生きていきたいと思っていますが、それでもやはり20歳前後の時期ってどんな些細なことでもキラキラと輝いてて、その輝きは努力しても取り戻すことができない種類のものだと思います。

そんな時期を一緒に過ごした人間はとても特別だし、そんな彼・彼女らのことを時折ふと思い出しながら生きているような気がします。

 

別にあの頃に戻りたいとは思わないけど。

でも、繰り返し想ってしまう「あの頃」

そんな「あの頃」に傍らにいて、馬鹿なことをして、無為とも思える時間を一緒に過ごしたアイツ。

横道世之介は、そんな万人の記憶の中の「アイツ」を彷彿とさせるのではないでしょうか?

 

小説の16年後にそれぞれ関わった人間が仕事、家庭など現実の波に揉まれながら、最後のモラトリアム期間であった「あの頃」のことを思い浮かべ、そして世之介のことを思い出してふっと笑顔になる。

人々の記憶に刻まれふっと笑いをもたらすような愛すべき存在。

それが世之介です。

 

しかし、彼はとある事件で・・・。

終わりは悲しいけれども、すごく温かで、ほっこりした気分になります。

 

あなたがとても大事な時期に傍らにいた人は誰ですか?

その人のことを今でも思い出しますか?

そんな誰かの物語だと思います。

 

 

 

5、終わりに

 

やっぱり大学生時代は僕にとってもすごく特別で、今より生きにくさを抱えていて、自我を持て余していて、恥ばかりかいていて(笑)

本当に配慮もなくて、どうしようもない人間だったと恥かしく思いますが、そんな時期でも「あの頃」は特別だし一緒に過ごした人たちのことをいつも大事に想います。

本当に。

一人一人ハグしたいぐらいです。

女性限定で。

 

「あの頃」に戻りたいなんてこれっぽっちも思わないけど、「あの頃」のことは特別にいつも思い出します。

大学時代に出会った皆のことは今でも昨日のように思い出します。

もちろん、クラブで出会った皆も。

本当にみんないい奴でたくさんの刺激と笑顔をくれたと思う。

なんだかとてもおセンチになってきました。

ちょっと酔っています。(2/17現在)

不思議とブログを書き始めた最近、昔のことをよく思い出します。

 

この小説に音を鳴らすとしたら、僕はくるり「ハイウェイ」を選びます。

ジョゼと虎と魚たち』の主題歌で、この映画もめちゃくちゃ好きなんですが(>_<)

くるりって、僕にとって大学時代のサウンドトラックで、彼らの音を聴くと意識がその時代に戻されます。

 
くるり - ハイウェイ

 

おセンチにウダウダと書きましたが、『横道世之介』はとても読みやすくて心動かされる良い作品だので、ぜひ読んで欲しいです!!

吉田修一好きですが、人間模様を書くのが上手な作家な気がしますね。

「怒り」「悪人」なども書いてます。

 

ちなみに『横道世之介』の続編、『続・横道世之介』も良かったです!!

続 横道世之介

続 横道世之介

 

 

コレであなたも世之介ファン!?

おあとが宜しいようで(^O^)

世界は日々暗いニュースばかりですが、心に明るい灯火を灯して前を向いて歩いていきたいですね。

 

 

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