1、作品の概要
『ロストケア』は2023年3月24日に公開された日本の映画。
監督は前田哲。
鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、柄本明、綾戸智絵らが出演している。
主題歌は、森山直太朗『さもありなん』
葉真中顕の小説『ロスト・ケア』が原作。
2、あらすじ
ケアセンター八賀の介護士・斯波宗典(松山ケンイチ)は献身的な介護士で、ご利用者からも、同僚からも信望が厚かった。
ある日独居の利用者のお宅でケアセンター八賀のセンター長・団元が亡くなり、利用者の男性も亡くなっていたことで、容疑者として斯波が浮上する。
彼は、状態が安定しなかった利用者宅に訪問し金に困って利用者宅に窃盗に入った団元と鉢合わせ、もみ合いになり事故から彼を殺害したことを供述する。
しかし、彼の言動に不自然な点を感じた検事の大友秀美(長澤まさみ)は助手の椎名(鈴鹿央士)の力も借りて彼がこの事件だけではなく、もっと多くの利用者の死に関与していたことに気付く。
その数はなんと42人。
なぜ心優しい介護士である斯波が未曽有の大量殺人を犯したのか?
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
年末に子供らが実家に行って、奥様とダラダラ飲みながら観る用に借りてきた映画がこちらでした。
僕自身、介護職員だったので「ああ、わかるな」という部分も多かったです。
まぁ、えっそれはどうなの?というところもありましたが。
松山ケンイチ、長澤まさみの演技がすごくてとても刺さる映画でした。
4、感想(ネタバレあり)
訪問介護士の斯波。
僕も男性で訪問介護士で、一部では松山ケンイチに似ていると全く言われたことがないけど、愛媛県松山市在住なのでワンチャン松山ケンイチなんじゃね?とか、ちょっと何言っているかわかりませんが、わりと感情移入しながら観ていました。
訪問介護は普通1人で訪問するんやけど?とか、そんな鍵預かるか?とか、そんだけ人が死んだ後も普通に営業できるんか?とか、まぁまぁツッコミどころもありましが、良い映画でしたね~。
在宅介護でギリギリの限界でやっているところも多くて、義理の親をみているご家族さんも多いし、経済状況や介護度の絡みもあったりして施設に入れられずに家で介護しているご家庭も多いんですよ。
介護保険制度が世の中に浸透して、だいぶ介護サービスをうまく使えるようにもなりましたが、それでも全てをカバーできるわけではないですし、まだまだ家族にかかる負担は大きいと思います。
そんな介護地獄に苦しむ介護者を救うためには・・・。
斯波がやったことは決して称賛されるべきものではありませんが、斯波が「送った」あとの遺族で介護から解放されて自分の幸せを掴めそうになった介護人と、家族を殺されて斯波への怒りを露わにする介護人との2パターンが描かれていて、リアリティを感じました。
斯波自身の過去も凄惨で、あそこで生活保護を受けられていたら介護負担もなく無料で介護サービスを使えたのにと行政のサービスの狭間で救われなかった存在に思いを馳せました。
介護する側も辛いけど、自分の子供に迷惑をかけながら生き続けいてる自分を情けなくも思ってしまう・・・
ここで身もふたもないことを言うと、介護も金でお金があったらショートステイでつなぐなり入所させるなり方法はあるのですが、それもできない状況。
追いつめられた斯波が犯した父殺しの罪はのちの凶行の引き金となります。
ただ、斯波が行った行為がすべて間違っていたのか?
この社会の片隅で、愛憎の狭間で身動きが取れなくなって苦しんでいる存在はいないのか?
そこからの救済とは?
考えさせられる内容でした。
5、終わりに
僕も斯波と同じ介護職員だけに、この映画を観たあと介護SHOCK員になりました。
いや、42人殺したとかさ・・・。
個人的に斯波を慕っていた若い女の子の介護職員が、斯波タイーホのSHOCKで風俗嬢にジョブチェンジしていたのが衝撃的でした。
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