1、作品の概要
『生きるとは、自分の物語をつくること』は、小川洋子と河合隼雄の対談集。
2008年8月1日に単行本が刊行された。
Ⅰ 魂のあるところ 「週刊新潮」2006年1月26日掲載
Ⅱ 生きるとは、自分の物語をつくること 「考える人」2008年冬号
単行本で156ページ。

2、本の内容
Ⅰ 魂のあるところ
Ⅱ 生きるとは、自分の物語をつくること
に加えて、小川洋子によるあとがきが収録されている
3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ
河合隼雄さんは、村上春樹とも対談されていた臨床心理士の方ですよね。
村上主義者の僕としては、当然・・・読んでいませんでした。
河合隼雄さんとの対談ということと、タイトルの『生きるとは、自分の物語をつくること』っていうのがなんかいい感じじゃね?って、いうノリで読んでみました。
4、感想
「Ⅰ 魂のあるところ」では、『博士の愛した数式』に対しての河合隼雄さんの感想だったり、数を通じて博士が登場人物たちと繋がっていく話なんかが語られていました。
ちょうど時期的に対談が2006年で、『博士の愛した数式』の刊行が2003年でしたので、河合隼雄さんも愛読されていたみたいですね。
河合さんは、文化庁長官を務めたえらい臨床心理学者なのに、専門書だけじゃなくて小説も読んで、谷川俊太郎さんとも仲が良くて泊りがけで飲んだりしてたみたいな話も、彼の人柄が偲ばれて興味深かったです。
患者の治療でも、医者が積極的に働きかけるというより患者が自分で答えを見つけて治っていくという話と、小川洋子が物語を書く時も、自分の思い通りになっていかずに意図した以上のものができるという話の繋がりが面白かった。
たしか、村上春樹も同じようなことを言っていたような気が・・・。
本当に優れたなにかを作り出す人間は、自分の意識化を超えた無意識の領域から引っ張り出してくるのでしょうか?
「Ⅱ 生きるとは、自分の物語をつくること」では、箱庭療法のことについても触れられていました。
箱庭を作ることで、患者の心の在り方が具現化されるのでしょうか?
河合さんの患者さんへの関わり方と寄り添い方も、「よっしゃ治してやろう!!」みたいな感じじゃなくて、好感が持てました。
現在と神様の物語の話。
一神教であるキリスト教が唯一無二の神様の物語しか認めなかったのに対して、日本では人間が描く物語がいきいきと表現されていたのが興味深かったです。
5、終わりに
小川洋子の長すぎるあとがきも良かったですね。
自分がなぜ物語を書くのか?という問いかけ。
生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作りあげてゆくことに他ならない。
と、彼女は考えます。
作家でなくても、人生というのはどこまでも主観から逃れられず、どこまでも自我が織りなす物語から逃れられない。
物語化していく人生から、僕たちは逃れられないのだと思います。
作家とは意図的にそういった個人的な物語を、多くの人々の無意識と魂に訴えかけていくようなものに変えていける人なのだと僕は思います。
↓ブログランキング参加中!!良かったらクリックよろしくお願いします!!
