ヒロの本棚

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【村上春樹】100分de名著『ねじまき鳥クロニクル』~第2回大切な存在の喪失~

☆クミコの失踪☆

 

村上春樹の小説の中で、人がよくふっと消えてしまって、そのまま戻ってこなかったりするのですが、岡田トオルの妻・クミコもある日何も言わずに出ていってしまいます。

先日、羊男さんのスペースで『UFOが釧路に降りる』について語っていた時に、先日こちらでも著作を紹介させて頂いた浦澄さんが「妻は消えるもの」とコメントしていて、思わず噴き出してしまいました。

そうそう、妻は特によく消えるんですよね(笑)

 

『UFOが釧路に降りる』の妻は、まだ書き置きをしていった分親切だよね(ただ書いてある内容は辛辣極まりない)って話していましたが、元祖・消える妻であるクミコは、なんの兆候もなく、痕跡を残さずに忽然と消滅してしまいます。

見事な消えっぷりですね。

さすがです。

ちなみにヒロ氏も家に帰ると妻がいないというシチュエーションがあると、脳内で岡田トオルと化して、ねじまき鳥プレイをしていましたが、まあすぐに帰ってきました。

 

大切な、わかりあえていたはずの存在が突然消えてしまう。

そのことは何を意味するのでしょうか?

今回の100分de名著の第2回では、そのあたりのことについても深く掘り下げられていました。

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身近にいて、大切な存在であっても、その人のことをどれだけ知っているのだろうか?

別の作家さんですが、平野啓一郎さんの『本心』がまさにそのような内容で、一緒に暮らしていた母親の本心を追い求める内容になっていました。

今回の100分de名著でも、「目に見える表層」対「隠された深層」と表現されていて、なるほどと思いました。

クミコを探すということは、クミコの中の隠された深層を辿ることでもあったのでしょう。

 

トオルと、クミコの亀裂のことは堕胎した子供のことも関係していて、ずっと忘れずにその子供のことを心の奥底で引きずっていたクミコと、なるべく忘れてしまって過ごそうとしていたトオルの心のすれ違いがあったのではないかという話にも納得がいきました。

なるべく忘れて相手が傷つかないようにと思うのもひとつの優しさの形ではあるのでしょうが、一緒に傷を分かち合って欲しかったというクミコの願いもあったのかもしれませんね。

うん、夫婦ってムズカシイネー(;^ω^)

特に子供がいない、2人だけの関係って、関係性が密になりますし、よりキツイ気がしますね。

 

 

 

☆綿谷ノボル、初めて描かれた「悪」との対峙☆

 

羊をめぐる冒険』でも、「悪」は描かれていたと思うのですが、「僕」が直接戦うわけではありませんでした。

しかし『ねじまき鳥クロニクル』では、綿谷ノボルという圧倒的な存在感を持った「悪」として描かれ、トオルの前に立ちはだかります。

トオルは、社会的にも、超常的な意味でも自分より数段大きな力を持った相手である綿谷ノボル相手に戦うことを決意します。

 

「悪」との対峙。

デタッチメントからコミットメントへの流れのひとつだと思いますが、逃げることはせず、クミコを取り戻すために綿谷ノボルと戦うトオルの姿は、これまでの村上春樹作品のシニカルな主人公の姿とは違っていました。

 

それにしても、綿谷ノボルの持つ力は本当に得体が知れませんね。

クミコの姉、加納クレタ、クミコらの女性たちを損ない、精神の奥底から得体の知れないおぞましい何かを引っ張り出す超常的な力・・・。

100分de名著を見て、改めて綿谷ノボルの力に慄然としました。

 

 

 

☆井戸、壁抜け、黄泉平坂☆

 

クミコがいなくなり、圧倒的な悪である綿谷ノボルが現れて離縁を迫られる。

八方塞がりな状況ですが、身近にある暗闇、自らの深層へと井戸の底に降りていくことで、トオルは異界へと辿り着きます。

ここからオカルティックな展開になっていくのですが、現実離れしていながらも示唆に富んでいて何か深い意味を帯びているような印象があります。

トオルが辿り着く部屋が208号室なのは、昭和20年8月のことを表してるのではないかとテキストに書いてありましたが、そんな意味が込められていたとは驚きでした!!

 

その部屋にいた謎の女が「明かりはつけないで」という言葉に素直に従うトオル

テキストで語られていたイザナギイザナミの黄泉の国の神話につながる「見るな」の話はとても興味深かったです。

イザナギは、黄泉の国から妻を連れ帰る時に決して後ろを振り返ってはいけないという禁忌を破ってしまったがために、2人は離れ離れになってしまう不幸な結末があります。

トオルは明かりをつけずに、「見るな」の禁忌を侵さなかったために、壁抜けの能力を得て、痣の力も手に入れたのは興味深い考察でした。

 

頬にできた痣の大きさが、「赤ん坊の手の平くらいの大きさ」という描写が、堕胎した子供のことに繋がっているという解釈も目から鱗でしたね。

いや、全然気づきませんでしたわ~。

キリストが磔になった時にできた両手の傷=聖痕になぞらえて、トオルの頬の傷について言及したのも鳥肌が立つ解釈でした。

 

加納クレタからの一緒にクレタ島で暮らしましょうの誘いを断って、残って戦うことを決意するトオル

いやー、僕だったら加納クレタと一緒に行っちゃうかもな~。

えらいな岡田トオル

えろいなヒロ氏。

次回からはいよいよ第3部の考察とのことで、ますます楽しみっすわ~。

テキストで予習しておかなきゃ!!

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