1、作品の概要
『流浪の月』は日本の映画。
2002年5月13日に公開された。
凪良ゆう『流浪の月』が原作小説。
監督・脚本が李相日。
上映時間150分。
第46回アカデミー賞で、優秀作品賞、優秀主演男優賞、優秀主演女優賞ら6部門で受賞した。
15年前、誘拐犯として逮捕された文と、彼と一緒にいた少女・更紗が偶然再会する。
2024年6月現在、U-NEXTで無料配信中。
2、あらすじ
父を亡くし、母に捨てられた家内更紗(広瀬すず、幼少期:白鳥玉季)は、預けられた叔母の家で従兄から性的虐待を受けていた。
自分の居場所を見つけられず雨の中公園で佇んでいる更紗に優しく傘を差しかける佐伯文(松坂桃李)は、行き場のない彼女をマンションに連れて帰り、一緒に暮らし始める。
しかし、突然行方不明になった更紗は捜索願が出され、文は誘拐犯として逮捕され、2人は引き離されてしまう。
15年後、結婚も考えて交際している中瀬亮(横浜流星)と生活する更紗の前に、再び文が現れるが・・・。
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
原作は未読なのですが、あらすじが面白そうだったので観てみました。
それとU-NEXTで見放題配信になっていたので、ありがたく観させて頂きましたよ~。
原作は未読なので、どれだけ原作に忠実に映像化できているのはわかりませんが、映画だけ観た感想としては文と更紗の心情を丁寧に描写していて良かったと思います。
4、感想(ネタバレあり)
誘拐犯と被害女児が時を経て再会するというストーリーが面白そうだなと思ったのですが、更紗をかくまっただけなのに誘拐犯としてのレッテルを貼られてしまった文と、そんな文をかばいきれずに自分もかわいそうな被害者としてのレッテルを貼られてしまった更紗という複雑な関係性がありました。
もちろん無断で未成年を連れて行ったら誘拐になりますので、致し方ないところではあるのですが(;^ω^)
それでも、実際のところは叔母宅で性的虐待を受けていた文が更紗を匿ったという側面もあり、社会や世間が貼ったレッテルとは違う2人にしかわからない真実があったのだと思います。
15年前、文と2人でいる時の更紗ののびのびとした笑顔。
父が病死し、母に捨てられて、叔母宅でも従兄から性的虐待を受けて窮屈な想いをして、自分の居場所を見つけられなかった更紗。
それだけに解放された気持ちだったのでしょうし、2人がお互いの居場所になって不思議に穏やかな時間が流れているのが微笑ましかったです。
ただ、そんな時間も長くは続かず・・・。
2人は引き離されてしまいます。
それだけに2人の再会はドラマティックでしたし、文がカフェの店員というものハマっていてよかったです。
大人になった更紗ですが、結婚を考えていた彼氏の亮がクソDV野郎で・・・。
嫉妬して、更紗に暴力を振るったりとかヤバい奴でした。
そういえば李相日監督は『怒り』でも広瀬すずを起用していますが、その時はレイプされる女子高生の役を演じていて、俺のすずに何してくれてんねん?って感じですが、そこは広瀬すずの女優魂を感じるところでもあります。
関係ないですが、どちらかというと広瀬アリスのほうが好きだということもお伝えしておきます。
文は大人になった更紗にとっても、変わらずに居場所になりうる存在でした。
ただ、恋愛感情かというとそれもまた違っていて、「名前のついていない関係性」ともいうべきものだったのだと思います。
江國香織の作品を読んでいて何度かこの言葉を使いましたが、恋愛、友情などが入り混じった微妙な感情、関係性が出てくる物語が好きです。
世間は、すぐに定義できる関係性を求めますが、割り切れない感情、説明できないフィーリングも確かに存在すると思います。
恋人でも、友人でも、家族でもない。
でも、大切な人。
お互いをよすがにして荒波のような現実を、酷薄な日々を乗り越えていくことができる。
そんなかけがえのない2人の邂逅の物語だったのだと思います。
誰かに寄り添う方法は、一緒に生きていくその在り方は、ひとつじゃないんだと語られているように感じました。
5、終わりに
まるでツインソウルのような2人。
魂の片割れ。
また中年スピリチュアル親父がなんか言ってら、とか思われるかもしれませんが、なんかそんな強い結びつきを感じる2人でした。
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