1、作品の概要
『ボブ・マーリー:ONE LONE』は2024年2月14日に公開されたアメリカの伝記映画。
日本では、2024年5月17日に公開された。
監督はレイナルド・マーカス・グリーン。
主演は、キングスリー・ベン=アディール。
レゲエのレジェンドとなったジャマイカの伝説的なミュージシャンであるボブ・マーリーの生涯を描いた。
2、あらすじ
1976年、ジャマイカは対立する2つの政党によって長く混乱状態が続いていた。
国民的レゲエアーティストのボブ・マーリー(キングズリー・ベン=アディル)はこの混乱を収めるべく、コンサートを企画するがコンサート前に銃撃され、妻とスタッフのドンが撃たれてしまう。
それでもステージに立つボブ・マーリーだったが、再び銃撃されコンサートは中止され、彼と家族は国外に逃亡することになる。
ロンドンでのちにタイム誌で「20世紀最高のアルバム」と称される『エクソダス』をレコーディングし、大ヒットを記録し一躍スターダムへ。
ヨーロッパツアーも大好評で、各地で持て囃されるボブだったが、妻のリタとの間に亀裂が入る。
自分を見つめ直した彼は、混乱が続く祖国を救うべく、再び大規模なコンサートを企画するが・・・。
3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ
『オッペンハイマー』を観に行った時に映画館で『ボブ・マーリー:ONE LOVE』のポスターを見て映画の公開を知りました。
近年、『ボヘミアンラプソディー』の成功もあり、ミュージシャンの伝記映画がたくさん作られています。
『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』『ロケットマン』『エルヴィス』『リスペクト』など枚挙に暇がありません。
個人的にどの映画も満足度が高く、伝記映画、特にミュージシャンの伝記映画はテッパンだと思っています。
そんなわけで、あんまりボブ・マーリーの音楽をしっかり聴いたことはありませんでしたが、なんとなくレゲエも嫌いじゃないし観に行っとくかー、って感じでした。
4、感想(ネタバレあり)
いやー、すっげー良かったっす。
どんぐらい良かったって、映画観たあとにソッコーBOOKOFFで、ボブ・マーリーのCDを買い漁るぐらい良かったっす。
ジミー・クリフとかレゲエはわりと好きでしたが、やっぱボブ・マーリーが最高っすね!!
ただの音楽だけじゃなくて、「ラスタファリ」「ジャー」がなにを意味しているか、ボブがどういうメッセージを世界中に発信していたかを窺い知ることができたのが僕としてとても意義深かったです。
予備知識なしで映画を観始めたら、やたら「ラスタファリ」「ジャー」が連呼されていてだいぶ???になりました。
ラスタカラーの緑、黄、赤は知ってたけど、ラスタファリって?
ラスタファリは1930年代にジャマイカではじまった思想運動のことを言うらしく、アフリカ回帰運動の要素を持ち、エチオピア最後の皇帝ハイレ・セラシエを崇拝し、ジャー(神)の化身と考えています。
生活スタイルもドレッドヘア、ガンジャ(大麻)、菜食主義など聖書を根拠として定められています。
ガンジャは、儀式などで使われていたらしいですね、まぁ神と対話できるぐらいぶっ飛びそうですしね(笑)
ラスタファリをすべて語るとだいぶ長くなるので省きますが、ちょっと当時の白人優位な世の中に強烈なNOを突き付けるような主義だったように思います。
黒人のルーツはアフリカにあるのだから、アフリカに回帰するというのも多くの黒人たちの根本的な存在に関わるような主義主張のように感じました。
以前観た『ソウルパワー』でも感じたアフリカへの回帰願望と重なるように思います。
この映画もクソアツいです。
そうのへんのことを考えながら映画を観ると、ボブ・マーリーがアフリカツアーにこだわって、アフリカに住みたいと思っていた背景も理解できる気がします。
ラスタファリからはアフリカの地は「ザイオン」と呼ばれ、ジャマイカは「バビロン」と呼ばれているみたいですね。
ん?余談ですがサッカー選手の鈴木彩艶のザイオンってここからきてるのかな?とも思いました。
母なるアフリカの大地。
それだけにドンがアフリカツアーで裏金をせしめたことにボブ・マーリーがあれだけブチ切れたのには納得です。
リハーサルや、家で弾き語りをしているシーンなどやはり音楽が演奏されているシーンが多いのですが、やはりジャマイカの音楽ってなんかええなぁって思います。
ラテン音楽ってなんか気分が高揚しますわ。
差別とか、シリアスな問題について歌われている曲も多いのだけれど、基本的に音を奏でることへの喜びに溢れているように思います。
Everything will be allright(何もかも大丈夫になるさ)
いちばんよく聞いた歌詞のように思いますが、ただの楽天主義なだけではなくて、もっと力強い生命力に溢れたメッセージなのだと感じました。
絶望を潜り抜けた先の、力強い希望のメッセージ。
レゲエのメッセージってただの楽天的で明るい感じなのかと思いきや、抑圧されてそれでも前向きに明日を信じて生き続けた芯の強い言葉だったのだと胸が熱くなりました。
『ボブ・マーリー:ONE LOVE』を観て、ジャマイカという国、ラスタファリ、ボブ・マーリーとレゲエについて強いシンパシーを覚えました。
たまたま村上龍『白鳥』という短編小説集を読んでいて、ジャマイカのミュージシャンやダンサーに触れられていて、ますますジャマイカに対して興味が湧きました。
ジャマイカの音楽について触れた映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』も好きですし、これから個人的にジャマイカがアツくなりそうです。
ラスト、癌に侵されながらも危険も顧みずに祖国に戻ってコンサートを開催するボブ・マーリー。
いつまだ銃弾が飛んでくるかもしれず命がけです。
それでも、祖国のために、苦しむ人々のために彼はステージに立ち、遂に対立する党首をステージ上で握手させて和解させることに成功しました!!
音楽で、世界を変える。
そんな、かっこいいことを言う人はたくさんいますが、それを実現できたのは一握りでその一人がボブ・マーリーだったのだと思います。
いや、マジ最高。
最後のコンサートのシーンも映画で再現して欲しかった感じはありましたが、それでも音楽の他にラスタファリの精神性にスポットを当てた内容は素晴らしかったと思います。
5、終わりに
映画終わったあとからずっとボブがマーリーしている感じで、彼の音楽ばかり聴き続けています。
やっぱり音楽に込められた精神性とか思想とかメッセージとか好きやなぁ。
それは、これまで自分たちを作り上げてくれた先人たちの過去と、これから自分の背中をみて育っていく若者たちの未来を感じさせるものでもあって、そんなふうに文化は育まれていくのだなと感無量でした。
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