1、作品の概要
1994年に公開されたアメリカ映画。
『スタンド・バイ・ミー』『IT』で知られるスティーブン・キング『刑務所のリタ・ヘイワース』が原作。
監督・脚本がフランク・ダラボン。
アカデミー賞で7部門にノミネートされた。
無実の罪で投獄されて男が、希望を捨てずに生き抜いていく様を描いた。
2、あらすじ
銀行員のアンディ(ティム・ロビンス)は、妻とその愛人を殺した冤罪でショーシャンク刑務所に終身刑で収監されることになった。
調達屋のレッド(モーガン・フリーマン)と懇意になったアンディは、彼に小さなロックハンマーの調達を依頼する。
刑務官のハドリーの遺産相続の問題を解決してから、刑務所内で所長や刑務官からも重宝がられる存在になっていく。
やがて所長の不正蓄財の片棒を担ぐようになったアンディだったが、自由を得るために行動を起こすのだった・・・。
3、この作品に対する思い入れ
20年以上前に観て、深い感動を覚えたこの映画。
そろそろ観直してみようかなと思っていた時に、金曜ロードショーで放送するとのニュースが!!
ノーカットじゃないしどうしようかなと悩みましたが、気づいたらテレビの前に座って名作『ショーシャンクの空に』を楽しんでいる自分がいました。
うん、やっぱり最高の映画でした!!
4、感想
銀行員で超エリートのアンディ。
殺人の罪で裁かれて終身刑になった彼は、収監されることになります。
エリート人生から、地獄のような刑務所へ。
真っ逆さまな転落で、フツーお先真っ暗になるところがアンディはめちゃくちゃ鉄メンタルで、劣悪な環境にも動じずに自分を貫いて生きていきます。
刑務官にも物怖じしないアンディは、その知識と人間性から刑務所ないで誰からも一目置かれる存在へと変貌していきます。
ハドリー刑務官に協力した見返りにビールを振舞われて、自分は飲まずに仲間たちが喜んでいるのを微笑みながら見ているアンディ。
うん、めっちゃイイ奴じゃん!!
そんなアンディだったから最初はエリート臭漂う彼を敬遠していた他の囚人達も心を開いていきます。
特にレッドとは親友とも言える関係になっていきます。
アンディが放送室に立てこもって、モーツァルト『フィガロの結婚』を刑務所中のスピーカーを通して爆音で流す場面はこの映画屈指の名場面ですね~。
『音楽は決して人から奪うことができない』
それは希望だったりもすると思いますが、心のなかにあるものがどんなに権力を持った人間でも奪うことなんてできないのでしょう。
僕の好きな音楽漫画『BECK』でも『ショーシャンクの空に』のこのシーンについて言及しています。
この漫画も近々ブログに書いてみたいっす。
アンディは絶望的とも思える塀の中でも力強く咲き誇るたんぽぽみたいに劣悪な環境のなかでもしっかりと根を張って自分を貫いていました。
彼は自分のやり方と信念で図書館に古書を寄贈させて、予算を勝ち取り、誰にも悟られることなくコツコツと脱走の為のトンネルを掘り続けていて。
その諦めない姿勢とどこに置かれても咲き続けるしなやかで力強い生き方に強い感動を覚えました。
20年あまり周到に準備して機会を待ち続け、汚水をくぐって嵐の中手に入れた自由を謳歌する彼の姿はとても眩しかったです。
自由や希望がどれだけ人間の心にとって必要なものか・・・。
折しもかの極北の国の独裁者がウクライナに対して暴虐の限りを尽くしていますが、それでも心の中にある希望や自由を望む心は奪うことはできないし、完全に支配して押さえつけようとしてもそんなことはできはしないのだと思います。
彼もこの映画を観て、そのことに気付いて一刻も早く無益な戦争をやめてくれれば良いのですが・・・。
アンディが抑圧の中でも自由と希望を失わない人物だとしたら、レッドは自らが抑圧されることに安寧を感じて自由を恐れるような人物でした。
対照的な二人ですが、だからこそ友として惹かれあったのですし、最終的にレッドはアンディの力を借りて自由と希望に満ちた世界を謳歌しようと決心することができたのだと思います。
ラストシーンの深い感動は、絶望と暗闇に満ちた物語を通り抜けた末に得られた光だったのでしょう。
5、終わりに
いやー、映画って本当に良いものですね~。
って、水野晴郎になりそうなぐらい良い映画でした。
幸運はどんな泥濘の中でも希望を捨てない人間のもとに転がり込んでくる。
そんなふうに改めて思いました。