ヒロの本棚

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【映画】『竜とそばかすの姫』~歌よ導いて~

1、作品の概要

 

細田守監督が監督・脚本・原作を務めた、スタジオ地図の長編アニメーション映画。

2021年7月に日本で公開された。

第45回日本アカデミー賞で優秀アニメーション作品賞、最優秀音楽賞と受賞。

第74回カンヌ国際映画祭で上映された。

インターネット上の仮想空間『U』を舞台に歌姫・ベルと、醜く粗暴な竜の出会いと交流を描いた作品。

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2、あらすじ

田舎の女子高生のすずは、幼い頃に母親を亡くし好きだった歌も歌えなくなり、父親との関係にも溝ができていた。

ある時、インターネットに詳しいヒロちゃんに世界中の人々が使っているインターネット上の仮想空間『U』のことを教えてもらい、ベルという名前の『As』で登録したすずは自作の歌が評価されて、一躍世界的な有名人になってしまう。

コンサートも開催されるが、乱入し自警団と戦い始めた竜のせいでコンサートは台無しになってしまい、竜は世界中の人々から忌み嫌われる存在となってしまう。

竜の存在が気になるベルは、彼の城まで会いに行くが取り合ってもらえない。

ベルは帰り道に自警団のジャスティンに竜の場所を聞かれ尋問されるが、竜に救われる。

彼女は竜のために作った歌を捧げ、竜は少しずつ心を開いていくのだった。

一方、現実の世界では学校随一の美少女ルカちゃんと、変わり者のカミシンとの仲を取り持ったり、幼馴染のしのぶくんに淡い恋心を抱いたりしていた。

ヒロちゃんから竜の城が襲撃されていると聞き、彼を助けるべく奔走するベル。

彼女の歌は荒んだ竜の心に届くのだろうか?


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3、この作品に対する思い入れ、観たキッカケ

 

細田守監督の作品、めっちゃ好きッスね~。

時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』といい作品がおおいですね!!

特に『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』が好きですね~。

とてもほっこりする絵柄なんですけど、よく練りこまれたストーリーと世界観に夢中になってしまいます。

 

『竜とそばかすの姫』は、『サマーウォーズ』から10年後に描かれたインターネットの新たな世界。

『OZ』から『U』へ。

ICT、IOT、スマホの普及でより身近になったネットの世界で新たな奇跡の物語が描かれていました。

 

本当は映画館で観たかったのだけれど・・・。

映画はコロナで断念して、DVDレンタルが開始になってすぐにソッコーでTSUTAYABダッシュしました(笑)

しかも主題歌が僕の大好きなバンド『KING GNU』の常田大毅率いる『millennium parade』の『U』だということでダブルで楽しめました。

僕的にはうな丼と松阪牛のステーキをいっぺんに食べたぐらいの好きと好きが重なり合った贅沢な映画でした♪


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4、感想・書評(ネタバレあり)

 

細田守監督も言われていましたが、『サマーウォーズ』が公開された2009年から、『竜とそばかすの姫』が公開された2021年までの間の12年の間にインターネットは飛躍的に進化と変化を遂げました。

2009年当時は、インターネットはまだまだ「さぁ、これからインターネットをするぞ」っていう気合いがいるものだったように思いますが、スマートフォンWi-Fiなどの普及によって常時ネットが繋がり続けることが当たり前で、ネットに繋がっていることを意識することさえ希薄になっている現在とでは隔世の感があります。

 

個人情報を含む膨大なデータは『ビッグデータ』として管理されて、モノとモノがインターネットで繋がっていく。

インターネットはさらなる進化を遂げて、人々の生活を豊かにしていますが、反面ハッカーなどの不正アクセス、情報流失やSNSでの炎上や誹謗中傷など様々な問題も浮き彫りになってきています。

 

『竜とそばかすの姫』でも、そのようなより身近で、より高いリスクを持つようになったインターネットの光と影が描かれていました。

竜への誹謗中傷、そして竜のAsの正体が誰なのかまで追求されています。

『U』での出来事が現実での大きなニュースとなっていて、インターネット上のことがインターネットのことだけで収まらずに現実世界も侵食し始めているのがよくわかる象徴的な出来事だと思います。

インターネットのことだけではなくて、虐待や、コロナ禍での自粛警察のような過度な正義を振りかざす人達など現代社会に蔓延る様々な問題が投影された作品だったと思います。

 

これまでのスタジオ地図の作品にはないぐらい社会問題に触れた作品でもあり、また音楽と歌に重きを置いていたのも今回の作品の大きな特徴であったかと思います。

現実世界で歌うことができなくなったすずも『U』の世界でベルとして本来持っている以上の力を存分に解き放って世界中に向けて歌い続ける。

日本の片田舎に住む普通の少女が世界中を魅了するなんて夢がありますね。

そして歌と音楽は幼くして亡くなってしまったすずの母親と密接に関係していて、歌えなくなっていた彼女が再びその歌声を響かせるということは再生という意味でも大きな意味を持つことでした。

 

すずと母親を繋いでいた絆。

歌と音楽。

すずがベルとして再び歌い始めて、閉ざされた竜の心を開いて彼を救うため、にまるで母親が命を賭けて見知らぬ子供を助けた時のように、自らを投げ打つ。

ジャスティンのアンベイルでベルではなくてすずの姿で、自分の本当の姿を曝して涙ながらに歌い続けるすずの姿には強い感動を覚えました。

母親がしていたようにすずも自らを投げ打って見知らぬ誰かを救おうとしていたのです。

そして観衆はすずの心に応えるように彼女の歌を歌い始める・・・。

そんな奇跡的に美しい光景にヒロズ涙腺イズ崩壊でした(>_<)

 

 

 

5、終わりに

 

「情けは人の為ならず」という言葉がありますが、誰かの為に身を投げ打って行動することは巡り巡って自分にも還ってくるのだと思います。

それは目に見えてわかりやすい利潤なのではなくて、自己の成長など形にできない目に見えないかもしれない財産なのだと思います。

でもそういった目に見えない財産は積もり積もって自らを高みに押し上げて幸福を呼んでくれるものなのではないかと思いますし、すずが母親の姿から学んで竜を、恵と知に救いの手を差し伸べたことで彼女自身も大きく成長したのではないかと思います。

 

誰かを助ける為に力を尽くしたことで母親の死を乗り越えて父とも和解したすず、すずから勇気をもらって父親の暴力に立ち向かって知を守ろうと決意した恵。

『竜とそばかすの姫』は多くの細田守監督作品で描かれているような家族の物語でもあり、一度は壊れしまった家族関係の修復を試みる再生の物語でもあったのだと感じました。

 

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