☆前口上。いやー旅って本当にいいもんですね~。☆
いやー、旅っていいもんですねぇ。
えっ、いきなり何言ってんだこのポンコツ眼鏡オヤジですって?
いや、僕は旅のロマンについて語っているのですよ。
まぁ、僕は海外など行ったことはなくて国内ばかり旅しているのですが、車窓から見える風景や、地元の方々との触れ合い、その土地ならではのグルメなど得難い何かを心のメモリーカードに刻み込んでさすらうわけですよ。
特に若い頃の貧乏旅行は印象的ですよね。
今日、お話するのは僕が大学一年生の頃に北海道に旅行に行った話です♪
いるかホテルに泊まったり、特別な羊を探すあの話・・・、ではないですが。
☆ヒロ20歳。寝袋をかついで北の大地を目指す。ビッグになって帰ってくるぜ☆
一浪した後になんとか横浜の大学に入学し、花のキャンパスライフを満喫するはずが何故かやさぐれて反抗期に突入してた僕ですが、なんだか呼ばれている気がして(気のせい)北海道に行きたくなりました。
夏休みになり寝袋を担ぐと文庫本とCDウォークマンをリュックに入れて、北海道に旅立つことにしました。
目的地は礼文島。
何故か礼文島に行ってみたくて、礼文ウスユキソウを見たいと思って旅に出ることにしたのです。
まぁ、お気楽大学生の思いつきですな(笑)
「いつ帰ってくるの?」
「さぁな、風にでも聞いておくれよ」
「あなたがいないと淋しい」
「俺もだよ。帰ったら電話するよ」
ってな、彼女もおらず、フツーに飛行機で旅立ちました。
当時は飛行機はスカイメイト、電車は青春18切符(電車一日乗り放題)なんてのがあって、安く旅行ができました。(今もあるのかな?)
新千歳空港に着いたヒロ青年は、とりあえず札幌に行って時計台とかそういういのを観光しました。
最終的に北上するのは決まっていたのですが、あとは行き当たりバッタリ。
寝るとこも寝袋でそのへんで寝ればいいやとか思ってたのでめっちゃテキトーです。
小樽の運河が綺麗だと聞いて、電車で小樽に移動して着いたらもう夜でした。
運河を眺めながら旅情に浸り、今夜の寝床を探すことに。
・・・。
ど、どこで寝ようかなぁぁぁ。
ボーイスカウトとかしてたんで、アウトドアはお手のもの、寝袋があったらどこででも寝れると思ってましたが、いざとなると野宿はなんだか抵抗あり、なんだかんだで小樽駅で寝ることにしました。
駅付近ならなんだかんだで人もいて、暴漢や幽霊も出ないだろうとの考えでした。
でも、それは大きな間違いでした。
☆夜道を奴らがやって来る☆
終電になり、駅のプラットフォームから灯りが消えた0時過ぎた頃でしょうか。
駅の軒下で寝袋にくるまりうつらうつらしてた僕の安眠を轟音が妨げました。
「バリバリバリバリ!!ブルンブルン!!」
「???」
「パラリラパラリラ!!」
「????????」
「ボボンボボン!!」
「も、もしやこの音は!?」
最初は、何が起こったのかわかりませんでしたが、それはどうやらバイクの排気音で、徐々にこちらに近づいてきていました。
「や、奴らがやってくる!!」
それも1台や2台ではありません。
数十台のバイクが爆音とともに駅のロータリーを回り始めDQNな方々の甲高い奇声が聞こえました。
『北斗の拳』で「ヒャッハー」とか言っているモブキャラの感じの方々がたくさん湧いてきました。
そしてすぐそこで、DQNの方々が集会のようなものを始めました。
内容はわかりませんが、交通安全についてだとか、夏休みの過ごし方の話ではなかったのは確かです。
きっと暴走族的なイデオロギーや、アイデンティティの問題を論じていたのだと思います。
僕は寝袋の中で震えながら外の様子を伺っていました。
今すぐに走って逃げ出したかったですが、下手に奴らに見つかると捕らわれて市中引き回しの刑に処されるなど、酷い目に合うのは目に見えていました。
そこで、僕はとっておきの秘技「死んだふり」でやり過ごすことに。
北海道の山中で熊に出会った時に使うはずだった秘技でしたが、よもや小樽駅で暴走族を相手に使うことになるとは・・・。
人生、一寸先は闇です。
ー今こそ、無になるんだ。宇宙の気を感じろ。気配を消せ。ー
などと必死な僕とは裏腹に楽しそうなDQNの方々。
その時、僕の脳裏を掠めたのが子供の頃に読んだ「こぶとりじいさん」の話でした。
山の中で迷った爺さんは、木陰で眠り込んでしまい、起きたら鬼たちが宴をしていて、寝たふりをするみたいな・・・。
俺やん!!俺、こぶとりじいさんやん!!コブないけど!!
まさかこんなところで、こぶとりじいさんの気持ちを痛いほど体感する日がこようとは・・・。
この瞬間、僕は日本で、いや地球上で一番こぶとりじいさんの気持ちを理解している人間だったのだと思います。
僕は、こぶとりじいさんが感じた恐怖、絶望、悔恨の念を自分のことのように切実に感じることができました。
俺、コブないけど。
目の前では、鬼(暴走族)が宴をしていて気づかれたら八つ裂きにされてしまうかもしれない。
どれくらい時間が経ったでしょうか?
極度の恐怖によって時間の感覚は歪められて、1分は1時間のように、1時間は1分のようにも感じられました。
この感覚は、駅で野宿して暴走族に囲まれてみないとわかりえない感覚だと思います。
一際大きな轟音を残して、現代の百鬼夜行達は夜の闇の中を走り去っていきました。
あとに残されたのは耳に痛いほどの静寂と、寝袋で震えるチキンの大学生でした。
ー助かった!!ー
脇の下は汗でぐっしょり濡れていました。
僕はそれから緊張と恐怖でほぼ一睡もできず。
北海道で最初の朝を迎えたのでした。
朝日は僕を優しく包み、限りなく透明に近かったハタチの朝でした。
つづく(?)
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