お題の「すごいニオイ」で、ニオイに関するエピソードを募集していたので、匂いと記憶等、匂いについて書いてみます。
1、匂いと記憶の結びつき
人間の五感は、視覚、味覚、嗅覚、触覚、聴覚とあります。
第六感・シックスセンスなんてものも言われますが、普通の人間はこの5つの感覚で物事を感じます。
どれも大切で、それぞれに作用しあう五感ですが、一番深く記憶と結びついているのは、嗅覚だそうです。
脳科学的にも言われていることで、嗅覚と記憶が脳の中で結線されていて、匂いが記憶を呼び戻すのにとても有効らしいのです。
僕自身も覚えがあって、潮の香りを嗅ぐと故郷の海の匂いが瞬時に想起されて、故郷の思い出が蘇ります。
それは、匂いを嗅ぐとほとんど同時に懐かしいという感情が先に溢れ出してきて、記憶が呼び覚まされている感じがしてどこかを経由しているのではなくて、ダイレクトに匂いと記憶が繋がっているように思えます。
実際に嗅覚以外の五感は視床と繋がっているらしいのですが、嗅覚だけは匂いを感知する嗅球から記憶・感情を司る海馬や扁桃体にダイレクトに接続するみたいなのです。
特に幼少期の記憶との結びつきが強いみたいですね。
なんでそんなことになってるんだろう?
脳って不思議ですね~(*゚▽゚*)
においをきっかけに記憶が蘇る現象を「プルースト効果」と呼ぶようです。プルーストの名作『失われた時を求めて』にちなんでいるみたいですね。
2、懐かしい匂いと、空気の匂い
子供の頃、道端を歩いていてどこかの家から漂ってくるカレーの匂いを嗅いでどことなくウキウキした気分になったりしたことありませんか?
それで、家に帰ってみると自分の家もカレーだったりすると、飛び上がるほど嬉しかったように思います。
カレーの匂いって幼少期の幸福と密接に結びついているような気がします。
雑踏の中で、別れた彼女と同じ(全く同じではないかもしれないけど)香水の匂いを嗅いだ時にとても切ない気持ちになったことがあります。
もう、いいオッサンなのでもうそんな気持ちになることはありませんが、その時にも、ああ匂いと記憶は結びついているんだなと、強く感じました。
それと、空気の匂い。
季節によって空気の匂いが違うように思います。
多分、湿度とか、気温によるものだと思いますが、玄関や窓を開けた瞬間に四季の匂いがして、たちまち記憶の奔流の中に意識が投げ込まれるようにいつも感じます。
春のどことなく柔らかく湿った匂い。
夏の熟れすぎた果実のような蠱惑的な匂い。
秋の枯葉と焚き火のスモーキーな匂い。
冬のツンと鼻を刺す乾いた匂い。
これに雨、曇り、晴れなどの天候、朝、昼、夕などの時間帯などの要素も絡み合って、季節の匂いを作っているのだと思います。
3、自分の匂いは臭くない
自分は臭くないと思っているのに、他人から「臭い!!」と言われたことはありませんか?
僕は、あります(笑)
妻がある日、僕の枕カバーだけ予備を買ってきたので、理由を尋ねると「あなたの枕だけなんかクサイから」という返答が・・・。
がび~~~~~ん。。。。
いや、絶対にそんなはずはない!!と根拠なく思いましたが、妻が言うには臭いので、頻繁に枕カバーを替えて欲しいとのことでした。。
色々、調べたら頭皮の毛穴に皮脂がつまると臭くなるとのこと。
その日から、洗髪するときに毛穴も洗うなど、頭皮のケアに精を出しました。
現在は臭くない!!ハズ。。
ちなみに、耳の後ろも匂いやすいみたいなので、最近はしっかり洗ってますよ!!ええ!!
ええ、このように人間は自分の匂いに慣れてしまっているので、自分が「臭い」と気付かないみたいですね(^_^;)
でも、体臭などで生まれつきの匂いもあったり、内臓系の病気をしたことで口臭がキツくなっている人もいらっしゃるわけで、仲のいい友人に対してでも気軽に「君、臭いよ!!」とは言えませんよね~(^_^;)
たまに、ワキガなどで結構匂いがある人がいらっしゃいますが、自分では気づかないのだろうかと不思議になることがあります。
人間は、匂いに順応する性質があり、慣れた匂いから臭いと感じなくなるからだそうです。
なぜでしょうか?
それは、元々野生動物が危険を回避するために慣れた匂い以外を危険と判断するためだそうです。
慣れた匂い=危険がない
知らない匂い=危険かも
ということでしょうか。
本能的なものなのですね。
4、匂いと異性の魅力
匂いと、異性の魅力も密接なつながりがあるようですね。
アハン♡
昆虫などには異性を魅了するフェロモンがあり、匂いで異性を魅了する働きがあります。
人間はフェロモンはありませんが、特に女性側は匂いで男性を選んでいることがあるようです。
恋愛においてお互いの匂いは実は重要で、好きでずっと一緒にいられる人の匂いは良い匂いに感じられるそうです。
女性は本能的に強い子孫を残すために自分とより遠く、異なる遺伝子を求める「HLA遺伝子」という遺伝子があり、この遺伝子の作用で、自分と異なる匂いをいい匂いと感じるようなのです。
これは、香水がどうとか、ボディケアがどうとかのレベルではなく、遺伝子そのものの問題らしいです。
とっても不思議ですね!!
余談ですが、思春期の女性が父親の匂いを臭いと思うのは、近親交配を防ぐための本能的なものらしいですね。
近い遺伝子は劣性遺伝子が顕在化するリスクが高くなるらしく、それを避けるための働きのようです。
うちの子は2人とも息子なんで関係ありませんが、世の思春期の娘さんをお持ちのお父さん、こういう遺伝子上の事情があるようなので、ご安心ください!!
まぁ、本当に臭いこともあるかもしれませんがね(笑)
5、すごいニオイ *注 グロテスクな表現が含まれます
最後に僕が経験したすごいニオイについて語ります。
思い出すのもおぞましい、あの出来事を・・・。
あれは、20数年前のある冬の出来事でした。
僕は、横浜の大学に通うため一人暮らしをしていました。
初めての一人暮らし・・・。
部屋は宿命的に散らかり、得体の知れない匂いが混じりあい、ゴキブリは大量発生し・・・。
地獄のような凄惨な有様でした。
まあ男性の一人暮らしなんて、こんなもんですよね。
僕だけじゃないはずだ(^_^;)
自炊もめったにはしていませんでしたが、たまに思いついたようにした自炊のあとや、友達との鍋パーティーのあとで、放置された食材がえも言われぬ酸っぱい匂いを放っていたり、溶解した人参に虫がたかっていたりしました。
人参って溶けるんだー。
ってことを、僕は一人暮らしで学びました。
何事も経験ですよね☆
そして、ある日悲劇が起こりました。
何人かの友人が遊びに来ていて、鍋をしようということになり、女の子が調理してくれていました。
鍋の用意ができた時に、「そうだご飯も炊いておこうか炊飯器はどこ?」と聞かれました。
そういえば最近見ていないな・・・。
母さん、僕の炊飯ジャーはどうしたんでせうね?
ええ、一人暮らしを始める時に買ったあの小さい炊飯器のことですよ・・・。
などと戯言を言いながら炊飯器を探す。
すると、部屋の片隅にくすんだ白いものを発見しました。
鼻腔を刺激する怪しげな匂い。
不吉な予感で背筋が凍りつき、冷たい汗が脇を濡らしました。
意を決して炊飯器の蓋を開けてみました。
パカッ。
まるでパンドラの匣を開けた時にこの世のあらゆる災厄が飛び出したかのように、途轍もなく禍々しい悪臭が部屋を満たしました。
腐臭とカビの匂いと吐瀉物をブレンドして、10年ぐらい樽で熟成させた匂い、と表現しても、あの「すごいニオイ」の表現には追いつかないでしょう・・・。
匂いだけではなくビジュアル的にもおぞましく、まるでナウシカの腐海が出現したような不快な光景がそこにはありました。
部屋の中を悲鳴と怒号が交錯する中、僕は炊飯器の蓋を閉めてラグビーボールのように脇に抱えました。
一目散にドアに向かい、部屋の外へと駆け出すと、マンションの草むらに向かって思い切り炊飯器を投げました。
くすんだ白色の炊飯器は美しい弧を描き、街灯を鈍く反射させながら草むらに吸い込まれていきました。
完
*翌日、炊飯器は拾いに行って、洗ってから使いました。
「すごいニオイ」#ジェットウォッシャー「ドルツ」