ヒロの本棚

本、映画、音楽、写真などについて書きます!!

【サッカー】どこよりも早い、日本代表VSアメリカ代表のマッチレビュー~ワールドカップ前のメンバー選考に影響する重要なテストマッチ!!~

☆日本代表VSアメリカ代表マッチプレビュー☆

 

サッカーカタールワールドカップ2022まであと2ヶ月。

日本代表は、板倉、浅野など怪我人も出て、大迫がコンディション不良で選外になりましたが、ワールドカップ本番のメンバーはほぼ今のメンバーの中から選ばれるでしょう。

今回選ばれたメンバー30名で、ワールドカップ本選に登録できるメンバーが26名ということで、ここから4名落選となり崖っぷちの選手たちに関しては最後のアピールの場となります。

 

今回の注目ポイントは、センターフォワードに誰を起用するかということと、鎌田の起用法。

大迫の代わりに起用するのは順当に行けば古橋かなと思います。

本戦でドイツ、スペインの格上と戦うことを考えると、押し込まれた展開からのショートカウンターで古橋が裏に抜け出して・・・という展開を期待するのもありかな。

 

そして、いま日本代表で一番好調な選手・鎌田をどこで起用するか。

4-3-3のセンターハーフで起用するのか、はたまた4-2-3-1のトップ下で起用するのか?

4-3-3のセンターフォワードの位置でゼロトップ気味で起用するのも面白いんじゃないかと思いますがどうでしょうかね?

 

他に左サイドバックは中山、長友、伊藤のうち誰が出るのか?とか、不調の南野を左で起用するのか?はたまた好調な久保を先発で起用するのかなど見どころが多いですね。

中立地ドイツでの開催により、ヨーロッパで戦う選手たちの移動の負担も少なく、良いコンディションで戦えるのは良いですね。

 

対戦するアメリカもチェルシー所属のエース・プリシッチをはじめ、ACミランのDF・デスト、ユベントスのマッケーニーをはじめタレントが揃っているようですね。

直前で主力3人が怪我で離脱したのは痛いですが、相手もワールドカップ前のテストマッチですし歯ごたえありそうな相手です。

注目のキックオフは今日9月23日の21:25!!

金曜ロードショーの『竜とそばかすの姫』とどんかぶりで、我が家でも熾烈なチャンネル争奪戦が起こりそうですが、僕も日本代表も負けません!!

 

 

 

☆前半戦マッチレビュー☆

 

日本代表は4-2-3-1のフォーメーションで、鎌田をトップ下に起用してきました。

3の左には久保を起用。

サプライズは、ワントップの前田大善でした。

 

アメリカはプリシッチがベンチにも入ってなくて、残念でした。。

しかし、レイナ、マッケーニー、デスト他クオリティの高い選手が多く、格上の相手。

 

     前田

久保   鎌田    伊東

   守田  遠藤

中山 富安  吉田  酒井

     権田

 

1分 伊東がパスカットからドリブルで持ち込んでシュート!!キーパーがセーブしましたが、いきなり日本がチャンスを迎えます。

日本は序盤、前線からプレスをかけてアメリカDF陣のミスを誘います。

アメリカは、DF陣に直前でけが人が出た影響もあったのでしょうか?

ビルドアップのミスが多かったです。

もちろん高速プレス職人の前田の起用も奏功していましたし、日本は、ボールを奪ってから手数をかけずにスピーディーなショートカウンターが徹底されていました。

 

7分、アメリカも右サイドバックのデストのクロスからフェレイラのヘディングシュート。

前半、アメリカの攻撃を驚異に感じたのはほぼこのシーンぐらいでした。

日本は前線でボールを奪われたあとのネガティブトランジションが素早く、すぐに前線でプレスしてボールを奪い、前線の選手のスピードを活かして一気にゴールに迫るか、ワンタッチでボールを回して崩す展開に持ち込んでいました。

 

12分の久保のパスカットからスルーパスして鎌田の決定的なシュートもそんな展開でした。

以後も、DFラインからのビルドアップが不安定なアメリカは攻撃を組み立てられず、コンディションが不安視された酒井、富安も危なげなくプレイしていました。

 

そして、24分前線のプレスからボールを奪った日本はボールを素早く繋ぎ、守田のパスから抜け出した鎌田がGOAAAAAAAAAALLLLLLLLLLL!!!!!!!!!!!!!!!!

クラブでの好調をそのまま代表に持ち込みましたね。

 

その後は危なげない展開で1-0で前半終了。

個人的には久保のプレイが印象的。

運動量豊富でいろんな局面にからみ、守備においても献身的で、ペナルティエリア内まで下がってデストを止めるシーンもありました。

中山、鎌田との連携も良く、シンプルにプレイする場面と、仕掛けるべき場面をしかkりと使い分けていました。

 

 

 

☆後半戦マッチレビュー☆

 

日本は権田outシュミット・ダニエルin、酒井out伊藤in、前田out町野in

伊藤が4バックのCBバックでも対応できるか。

富安が日本代表の右サイドバックでもプレイできるかのテスト。

富安が90分できるのかのコンディションの確認の意味もあったのだと思います。

 

アメリカもメンバー交代して左のヘンダーソンから攻め込みますが、決定的なチャンスを作れず。

膠着状態。

日本は、前線の守備の意識が高く、7分の伊東のアーリークロスがクリアされてから伊東が快速を飛ばして鬼プレスバックしたようにボールを奪われたあとの切り替えが早いです。

ドイツ、スペイン相手にどう戦うかを想定していて良い感じでした。

 

19分久保のパスカットから、鎌田へのパスからまたもや決定的なシュートも決めきれず。

この試合、鎌田が再三決定機を迎えます。

ふわふわしたポジショニングからの飛び出しをアメリカDFは捕まえきれていないようでした。

22分久保、伊東out、堂安、三笘in

久保も伊東もいいプレイをしていました!!

 

35分吉田のミスパスからアーロンソンがシュートもゴールならず。

アメリカは最大の決定を逃しました。

 

この日、三笘はさほどドリブルで仕掛けて相手を崩すシーンを作れていませんでしたが、42分に中央から左サイドに展開されたパスからドリブルを開始し、3人のDFを引き連れながらPA内に侵入し抜ききる前にシュート。

GOOOOAAAAAAALLLLLLLLLLL!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

途中出場からでも抜群の存在感を示すスーパーサブがまたしてもワンプレイで存在感を示しました。

ホント、漫画みたいなプレイヤーですね(๑≧౪≦)

ブライトンではレギュラーを獲れていませんが、本大会までの時間でチャレンジして欲しいところ。

ライバルのプライヤーがめっちゃ強力ですが(^_^;)

 

試合はこのままタイムアップで2-0で日本代表が勝利!!

アメリカの出来があまり良くないのもありましたが、前線からのプレスとボールを奪われてからの切り替えがスピーディーでとても良かったです。

古橋、旗手は使わんのかーいとか思いましたが、なるべくリスクをかけずにスピーディーに相手ゴールに迫るこの戦い方は悪くないと僕は思いました。

まぁ、本番ではこんなに簡単にプレスにハマってはくれないでしょうが(^_^;)

久保、鎌田、伊東が好調を維持して、酒井、富安に復調の兆しが見え、伊藤を4バックのCBで起用できたのは収穫だと思います。

27日のエクアドル戦も期待したいですね!!

 

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【本】平野啓一郎『顔のない裸体たち』~インターネットが引き起こす解離。本当の自分ともうひとりの自分~

1、作品の概要

 

『顔のない裸体たち』は、平野啓一郎の中編小説。

『新潮』の20005年12月号に掲載され、2006年3月に刊行された。

野外露出を撮影するという異常な性癖を持つ男女をルポタージュのような形で描いた。

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2、あらすじ

 

半年ほど前にあったセンセーショナルかつ滑稽なとある事件に関わった吉田希美子(よしだきみこ)と片原盈(かたはらみつる)は、とある出会い系サイトで出会い体の関係を持つようになる。

自分たちの行為をカメラに収めることに喜びを感じるようになった二人の行為はエスカレートして、野外での露出を試みるようになる。

暴走し続ける自己承認欲求と性的欲望は、取り返しのつかないカタストロフィを引き起こしてしまう。

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ

 

ツィッターで懇意にさせて頂いている(と、僕は思っている)方とのやり取りで読んでみたいと思いました。

ちなみに『透明な迷宮』と混同していました。

いや、同じ裸ネタですしね(笑)

 

平野啓一郎のイメージからおおよそ遠い破廉恥な事件を扱った『顔のない裸体たち』ですが、ルポタージュのような手法で描いた中編小説で、とても実験的な作品でありました。

架空の奇妙な事件を通して、顕在しはじめていたインターネットを通じた事件のリスクや、現代を生きる人々の自意識の問題を描きたかったのでしょうか?

何にせよ、とても印象的で考えさせられる作品でした。

 

 

 

4、感想・書評(ネタバレあり)

①ルポタージュのような中編小説。なぜこのような題材をこういった形で描いたのか?

自らの性行為を写真や、動画に残すことに喜びを感じる性的に倒錯したカップル。

『顔のない裸体たち』は、そんな2人が起こし、世間を騒がせた(おそらく)架空の事件を描いた物語であります。

しかし、小説と言いながら文章はまるでルポタージュのようで、第3者の「筆者(平野啓一郎であるかどうかもわからない)」が事件の背景や、吉田希美子=ミッキーと、片原盈=ミッチーの生活歴や、行動歴を分析しながら各々が抱えていた問題や、事件に至った因子を探るといった内容でした。

 

ちょっと読みながら、「ん?これってもう普通にルポタージュを書けばいいんじゃないの?」って思いましたが、ルポタージュは現実の事件、現実の人間を追うのに対して、小説は創作でありどこまでも架空の人物、事件を扱うことができるという差があることに思い当たりました。

ぶっちゃけ、「平野さんはなんでこんなエッチで変態な事件のルポタージュ風の小説を書いたんだろう?」って疑問でしたが、彼があえて小説としてこの作品を書いたこと、そしてインターネットを題材とした自意識について描いたことで自分としては少し納得することができましたし、『顔のない裸体たち』という物語の存在の必然性について感じることができました。

それに性的なことに対して触れているのに、官能的な要素は感じられず、性欲強めのオッサンでも生理的な嫌悪を感じるような描写が多くー。

まるで、白衣を着てゴム製の手袋をした平野啓一郎が、2人の人生と事件とモニターの向こうにいた顔のない裸体たちをメスで解体していくようなー。

そんな様子を想像してしまう何かが、透徹とした冷たい視線が感じられました。

 

物語の内容に触れるより前に、「なぜこの作品が描かれたのか?なぜ小説という表現でなければならなかったのか?なぜこのタイミングで描かれたのか?」というたくさんの「なぜ?」に触れるのは僕も初めてでした。

でもこの「なぜ?」に対して自分なりの答えを見出さないと、この作品の本質に触れることができないようなそんな気がして考え続けてみたのです。

それほど『顔のない裸体たち』は平野啓一郎の作品の中でも特殊で、実験的な作品で、軽く一読しただけではその真意にたどり着くことは容易ではないように思えました。

 

作品が発表された2005年から2022年現在まで、インターネットの発達はとても目覚しく、私たちの生活にはなくてはならないものでもはや「ネットに接続する」という意識に常にネット空間に繋がりながら生きいるような生活になってきていると思います。

そんな中で僕も時おり、手が滑って性的な画像や動画が掲載されているサイトを見かけてしまい、あくまで文学的な興味から文学的に閲覧してしまうことがごくごく希にあります。

それは、太陽のせいだったり、高度資本主義社会のせいだったり、前世から続く業(カルマ)のせいであったりするのですが、それはさておき自らの裸体をインターネット上にアップしている女性を見かけたりすると「何のためにこんなことをしているのだろう?」という疑念に駆られます。

それは趣旨を変えると、「何でこんなことができてしまうのだろう?」という問いになりました。

たとえ顔が隠されていたとしても、男性の僕でも、不特定多数の人間に対して自分の裸を(しかも無償で)見せるなんてことは考えられません。

最近、逮捕されたユーチューバーみたいにお金目的でそのようなことをする人もいるかもしれませんが、あまりにも無防備で、思慮が足りないように感じます。

 

平野さんも、もしかしたら僕のように手が滑ってそのような匿名の裸体を目にしたのか、あるいは類似した実在の事件のニュースを目にしたのかでこの物語を書くに至ったのではないでしょうか?

そして、そのようにあきらかに社会から逸脱した行為に至るまでの経緯にはどのような事が起こって、どのような心理的な変遷があったのか。

そういったことを炙りだしていきたくて『顔のない裸体たち』を書いたのではないかと思いました。

 

キーワードは、作中に太字で何度も書かれていた「本当の自分」だと思います。

ネット上の自分は、もうひとりの自分(ALTER EGO)であり、アバターのような存在。

吉田希美子としては絶対にできないことが、ミッキーとしてはできてしまう。

そんな一種の乖離がこのような世間を驚かせるような事件を引き起こした。

そしてこのような事件を引き起こしたネット空間に由来するペルソナが、現代を生きる人たちのまっとうな感覚を狂わせて、本来起こり得なかったような病理を生み出している、そう平野啓一郎は言いたかったのではないかと僕は思いました。

 

また平野啓一郎という作家を考えるに当たって、彼の作品の時間軸を考えることもこの作品を読み解き、光を当てるに必要なことだと思います。

『顔のない裸体たち』は彼の6作目の小説で、デビュー作で芥川賞受賞作『日蝕』からの第1期(ロマン主義3部作)から、第2期(短編・実験期)で発表されました。

普通、作家の「~期」って死後に批評家何かが名付けると思うのですが、自らテーマを持って自覚的に活動しているというところが素晴らしいですね。

ちなみに第3期(前期分人主義)は『決壊』『ドーン』『かたちだけの愛』『空白を満たしなさい』、第4期(後期分人主義)は『透明な迷宮』『マチネの終わりに』『ある男』『本心』になります。

 

『顔のない裸体たち』は、『決壊』でみられたようなインターネットの繋がりが事件に発展していく要素や、『本心』のアバターでみられるような代理としての自分や仮想のもうひとつの人生の要素に繋がっていくような布石になったのではないかとも思います。

人間がインターネットという善悪の彼岸へたどり着き、その自意識を際限なく増殖させ始める。

そのグロテスクさが現実の世界においても受肉したのがミッキーとミッチーが起こした事件だったのではないでしょうか?

初期の重畳な文体から平易な文体に切り替えて、現代的なテーマを扱いながら人間の自意識や本質について触れ始めたのも、「分人主義」の作品でより現代的なテーマを扱い人間の存在と本質を扱う上で経るべき必要な過程だったのではないかと思います。

 

 

 

5、終わりに

 

まぁ、賛否両論出てしかるべき作品だと思いますし、単体で読むと「なんじゃこりゃー」感満載な作品だったかと思います。

しかし、後の平野作品の大きな実りにとって必要な実験であったのだと思いますし、丹念に掘り下げられた個人の生活歴、思想などとても興味深い作品でした。

個人的に、心の中で平野啓一郎さんのことを「平野のアニキ」と呼んでいるのですが、これを機に当ブログでは声高に叫んでいきたいと思います「平野のアニキィィィィ!!!」と。

 

三島由紀夫を彷彿とさせるような幽玄かつ耽美な文章。

様々な社会的なテーマを盛り込みながら文学として物語を機能させながら、読み手を彼岸にまで連れて行くような筆力。

これからも彼の作品を楽しみにしています。

 

 

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【音楽】ビョーク~エレクトロニカと民族音楽的な要素を加えた音に超絶な歌唱力を持った歌声~

ビョークってどんなアーティスト?☆

 

昨日感想をアップした、映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の主演をつとめていたビョークについて。

カンヌで主演女優賞を獲り、自身が制作したサウンドトラックでも様々な賞を受賞しました。

そんなビョークですが、元々はアイスランドが世界に誇る偉大なミュージシャンで、エレクトロニカを中心にした独自のサウンドと圧倒的な歌唱力、前衛的なアートセンスや革新的なMVでシーンを席巻しました。

 

hiro0706chang.hatenablog.com

 

ビョークがデビューしたのはわずか12歳の時で、カバー曲で構成されたアルバムだったようですね。

音楽学校に通っていて、当時から天才呼び名が高かったようです。

1986年にはバンド「シュガーキューブス」がデビューアルバムをリリース。

いまだにアイスランド最高のロックバンドと言われているみたいで、イギリス、アメリカでも高い評価を得ました。

3枚のアルバムをリリースしてバンドは1992年に解散。

1993年にアルバム『デビュー』で、2度目のソロ活動が開始します。

現在まで9枚のアルバムがリリースされていて、2022年9月30日に10枚目のアルバム『フォソーラ』がリリースされます。

2023年3月には日本でのツアーも予定されているようですね。

 

『フォソーラ』より新曲『ovule』


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同じく『フォソーラ』より新曲『atopos』


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最新作も突っ走ってますね!!

エレクトロニカとちょっと民族音楽っぽい土臭い感じが同居しているのが彼女の音楽の独特で面白いところだと思いますね。

どことなくUAに似てるなって思う時がありますが、よりアーティステックで前衛的な感じがします。

 

写真は、4枚目のアルバム『ヴェスタパイン』です。

ダンサー・イン・ザ・ダーク』のあとにリリースされました。

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ビョークの代表曲☆

 

やっぱり最高なのは『joga』でしょう!!

この頃が全盛期ではないでしょうか?

ストリングスとエレクトロニカ、唯一無二のビョークの歌声で涅槃の果てまで吹っ飛ばされます。


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『All is full of love』MVがめっちゃ好き。

ロボット同士が愛し合うっていう。


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『Venus as a boy』初期のポップな感じが良いです。


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『Hyperballad』ビョークのヴォーカルの伸びやかさが最高なエレクトロニカな曲。


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『Army of Me』なんかマイケルとか80年代のポップスを彷彿とさるようなトラック。


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『Human Behaviour』不穏な感じのトラックにビョークの伸びやかなヴォーカルが乗っかってていい感じ。


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『hunter』ホモジェニックの1曲目、ここから『joga』への流れは最高。


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最近の曲はあまり聴いてなかったので、また聴き直してみたいです。

とてもユニークで、圧倒的な歌唱力を持ったミュージシャンなので皆さんも是非聴いてみて下さい♪

 

 

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【映画】ダンサー・イン・ザ・ダーク~ビョークが主演のミュージカル映画。どんなに絶望的な暗闇の中でも踊り続ける~

1、作品の概要

 

ダンサー・イン・ザ・ダーク』は2000年に公開されたデンマークの映画。

デンマークアメリカ、フランス、日本などで公開された。

監督、脚本はラース・フォン・トリアーで、主演は世界的に有名なアイスランドの歌姫・ビョーク

第53回カンヌ国際映画祭では最高賞のパルム・ドールを受賞。

ビョークも主演女優賞を受賞した。

ミュージカル映画であり、ビョークの歌唱シーンが話題を呼んだ。

映画の音楽もビョークが担当し、サウンドトラック『セルマソングス〜ミュージック・フロム・ダンサー・イン・ザ・ダーク』も好評を博し、ブリット・アワードサウンドトラック賞を受賞。

レディオヘッドトム・ヨークとのデュエット曲である『アイヴ・シーン・イット・オール』はアカデミー歌曲賞ゴールデングローブ賞主題歌賞にノミネートされた。



 

2、あらすじ

 

チェコからの移民で、トレーラーハウスで生活している母・セルマ(ビョーク)と息子のジーンは、大家で隣人のビルと妻のリンダにも助けられながら生活していた。

セルマは先天性の目の病気があり、弱視ながらなんとか工場の仕事をこなし、同じ目の病気を患うジーンの手術代を必死に貯める日々を送っていた。

自らも医者から今年中に失明すると宣言されていたセルマ。

そんな苦しい生活の中での希望は大好きなミュージカルで歌って踊ることだった。

同僚のキャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)や、セルマに想いを寄せる男性・ジェフにも助けられながら生活していたセルマだったが、ジーンの手術のために貯めていたお金がなくなってしまう。

直前にビルから借金の申し入れを受けて断っていたことから、セルマは彼にお金を返して欲しいと迫るが・・・。


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3、この作品に対する思い入れ

 

僕がまだ大学生の頃でした。

『ホモジェニック』が大ヒットして、世界中で話題になっていたアイスランドの歌姫ビョークがなんとミュージカル映画で主演を務めるとのニュースが!!

しかも、音楽を担当して主題歌をレディオヘッドトム・ヨークとデュエットしてるだとぉ!!

もう盆と正月がいっぺんに来たぐらい大騒ぎでしたよ。

レディオヘッドもその頃『KID A』をリリースしてノリに乗っている時期でしたし、劇場に観に行きました。

 

当時お付き合いしていた彼女と初めて観に行った映画でしたが、あまりの欝展開に映画が終わったあとに彼女が呆然としていたことを思い出しました。

大学生のおデートにはいささか強烈な欝展開ですが、素晴らしい映画であったことは間違いありません(^_^;)


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4、感想(ネタバレあり)

 

22年ぶりに観ましたが、当時よほど印象的だったのかほとんどのシーンを記憶していました。

まず映像がハンドカメラとかで撮ってるのか、ドキュメンタリーっぽい感じで面白いですね。

編集もドキュメンタリーっぽいシーンの区切り方でぶつ切りになっていて、セルマの私生活に入り込んで感情移入してしまうような作りになっています。(たぶん)

 

後半は怒涛の欝展開ですが、前半部分は目が不自由なセルマにビルやリンダも優しくて、仕事は忙しいけど同僚のリンダも手伝ってくれていてちょっといい話的な感じですすんでいきます。

しかしセルマの視力はどんどん悪化しているように感じられますし、仕事中にミュージカルの空想をしてプレスの機械を壊しかけたり、後半のカタストロフィに向けての予兆が散りばめられているように思います。

でも、そんな辛くて苦しいことも大好きな歌と踊り(空想でも)で乗り越えようとするセルマがとても健気です。


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しかし、ミュージカル映画ってわりとハッピーエンドの展開が多い印象ですが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は一味違います。

困難に直面しても前向きに強く生きていくセルマ。

ミュージカルはそんな彼女にとって生きる支えであり、息子のジーンは彼女の命より大事な宝物だったのだと思います。

ミュージカルシーンで、工場のプレスの機械や、人々が働いている時に出ている音がそのまま音楽に変化していったり、列車のゴトゴトという音が音楽になったりとセルマのイマジネーションの豊かさには脱帽ですね。

『アイヴ・シーン・イット・オール』が流れ始めるジェフとの掛け合いのシーン。(ちなみにこちらはトムヨークは歌ってません)

セルマの目がもうほとんど見えてないんじゃないかと疑い、心配するジェフに対して「これ以上何を見るの?」とのセルマの返答からのこちらのシーンにめっちゃ鳥肌ぞっわぁぁぁ!!

美しい映像と、ドラマティックなストリングスに魂の迸りのようなビョーク絶唱

もうたまりません。


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後半はまるで坂道を転げ落ちるように悪いほうへ悪いほうへ物事が流れていきます。

それでも例え自分の身がどうなろうとも、大切な息子のジーンは助けたい。

自らと同じ先天性の目の病気で、放っておくといずれは失明してしまう運命。

そのために爪に火を灯すようにして貯めていたセルマの命そのもののようなお金だったのです。

いや、リンダがソファ欲しがってれるとかどうでもいいからビル!!

 

自分と同じように目の病気になることがわかっていてもどうしても産みたかった子ども。

ジーンの父親のことには触れられていませんが、たとえ目の病気があっても絶対に出会いたかった我が子。

チェコからアメリカに移ってきたのもすべてはジーンの目を治す為でした。

 

しかし、ジーンのためにお金を貯めていたことを話してしまうとお金が取り上げられてしまうと感じたセルマは父親に送金していたと話し、死刑から逃れるための弁護士の費用を貯めていたお金から出すことも拒否。

セルマにとって自らの命より、ジーンの目の手術をすることのほうが大事だったのですね。

母心とはいえ・・・。

とてもやるせない。

 

獄中で死刑執行に怯えるセルマの姿はとても生々しかったです。

刑務所は静かすぎて彼女を勇気づけてくれていた音楽もここまでは届きませんでした。

通風孔からかすかに聞こえる教会の賛美歌を聞きながら、「My Favorite Things」を震えながら歌うシーンはもう心が痛すぎて。。

死刑執行前も泣き叫び、歩くこともできないセルマ。

ようやく女性刑務官に励まされて、死刑台までの107歩の足音を音楽にして歩く彼女の姿にどれだけミュージカル音楽が大事なものだったのかを思い知らされました。

 

絞首刑前に頭から布を被せられて再びパニックになり泣き叫ぶセルマ。

もうやめてー、って声が出そうなほどの欝展開。

大学生のデートに観に行くべき映画ではなかったことは間違いないです。

セルマは震える声で刑が執行されるその瞬間までジーンを想った歌を歌い続けるのでした。

しかし、その声は歌は祈りは無情にも断ち切られ、刑が執行されてしまったのでした・・・。

重い。。

 

重いラストでしたが、命を賭して息子のジーンに目の手術を受けさせようとしたセルマの想い。

そして、彼女の人生を彩り、支え続けてきたミュージカルと音楽のすばらしさを感じられた作品でした。

 

 

 

5、終わりに

 

欝映画との評判もあり、明るくハッピーな気持ちで映画を観たい方には全くおすすめできない映画ですが、重い作品も好き方には是非おすすめしたい映画です。

ミュージカルシーンのいくつかは本当に名シーンでしたし、やはりビョークの歌唱力の素晴らしさ、イキイキした表情がとても良かったですよ。

 

暗闇で踊る。

盲目になって光が射さない世界でのダンスと、絶望的な状況でのダンス。

ダークには

2種類のダークの意味がこめられているように思いました。

 

セクハラ報道もありちょっとイメージが悪いラース・フォン・トリアー監督ですが、作品自体は興味深いものが多いので、ほかの作品も観てみたいですね。

 

ミュージカル映画の感想を書いた過去記事です

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【本】平野啓一郎『透明な迷宮』~官能的で陰鬱な6篇の物語たち~

1、作品の概要

 

『透明な迷宮』は平野啓一郎の短編小説。

2014年に刊行された。

全6篇からなる。

表題の『透明な迷宮』をはじめ、どこか官能的で陰鬱な物語が収録されている。

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2、あらすじ

①消えた蜜蜂(『早稲田文学』2014年秋号)

山陰地方のとある村で暮らす別宅として家を借りて暮らしていた僕。

彼は、物静かな郵便配達員のKは他人の筆跡を完璧に真似ることができるという特技を持っていることに気づく。

やがて月日が経ち、Kは人々を驚かせるある事件を起こしてしまう。

 

②ハワイに捜しに来た男(2013年11月、伊勢丹新宿店でのイベントで配布)

人捜しの依頼を受けてハワイに来た男は、依頼人から探してほしい人物の名前も顔も一切の情報を与えられず、手がかりは自分に似た男ということだけだった。

途方に暮れる男の前に自分のことを知っているという女が現れるが・・・。

 

③透明な迷宮(『新潮』2014年2月号)

ブダペストでの奇妙な一夜。

岡田とミサは数人の男女と共に監禁され、裸のまま交わることを強要された。

屈辱的な一夜の記憶に苛まされながらも、ミサを愛そうとする岡田。

彼はミサとともにその記憶を塗り替えようと試みるが・・・。

 

④family affair(『新潮』2013年10月号)

登志江は父親を自宅で看取り、遺品を整理していた時に押入れから本物の拳銃を見つける。

困惑する彼女は、姪の葵と拳銃を捨てることを相談する。

 

⑤火色の琥珀(『文學界』2014年3月号「火を恋う男」改題)

老舗の和菓子屋の跡取りの男は、火に対して欲情する倒錯的な性癖を持っていた。

女性に対して性欲を感じることができずに火に囲まれながらくらす男。

やがて彼は自らの体にタバコの火を押し当てて、悦びを感じるようになる。

 

⑥Re:依田氏からの依頼(『新潮』2013年7月号)

劇作家の依田は、自動車事故で恋人を亡くし、自らも重傷を負い奇妙な体験をするようになった。

作家の大野は、交流のあった彼から自身の奇妙な体験を作品化するように依頼される。

 

 

 

3、この作品に対する思い入れ、

 

数年前に読みましたが、内容もほとんど忘れてしまっていて、ツィッターで懇意にさせて頂いている方がツイートしているのを見て再読してみました。

6篇の短編の中でも『透明な迷宮』『火色の琥珀』『Re:依田氏からの依頼』には強い印象を受けました。

平野さんの作品は最近の長編小説を中心に読んでいましたが、少し前の短編、中編の小説も読んでみたいですね。

平野啓一郎という作家の引き出しの多さを感じさせられるような短編集でした。

 

 

 

4、感想・書評(ネタバレあり)

 ①消えた蜜蜂(『早稲田文学』2014年秋号)

田舎の農村で起こった奇妙な事件。

ハガキを自ら書き写して、原本を家に保管して、自分が書き写したものを郵送する。

しかも段々とハガキの内容を検閲し、「悪」や「憎」などのネガティブな言葉を削除して不完全な文章のまま郵送してしまう。

 

Kはハガキ代はインク代は自腹で、莫大な費用と手間をかけてこのような何のメリットもない犯罪行為をしていたのです。

ほとんど感情の揺れもなく、他者と交わることがなかったKですが、やはり蜜蜂が消えてしまったこと。

その事件にまつわる諍いがKの心の中に暗い怒りのような何かを宿してしまっていたのでしょうか?

「なんでそんなことを?」

 局長はさすがに厳しい口調で言った。その時だった。Kは、全身を震わせて立ち上がると、手に留まったままだった蜜蜂を叩き落とした。その顔は、僕がこれまでに見た中でも、最も人間的なKの表情だった。しかし、そこにありありと表れていたのが、随分と長い時を経たであろう怒りであったことが、僕をやるせない気持ちにさせた。

 

②ハワイに捜しに来た男(2013年11月、伊勢丹新宿店でのイベントで配布)

短くて奇妙な話ですね。

第一人称で語られる話で、その視点、記憶、立ち位置そのものがぼやけて不可解になっていく様が良いです。

記憶も定かではなくなってきている語り手の物語を読んでいると、初めての土地で道に不案内な運転手のタクシーに乗っている時のような心もとなさがあります。

 

③透明な迷宮(『新潮』2014年2月号)

ブダペストで起きた屈辱的な悪夢のような一夜ですが、その記憶を塗り替えて新たに愛を育もうしますが、岡田とミサ(美里)の中ではそれぞれその一夜の出来事の意味合い、解釈にズレがあったように思います。

岡田の中では、ブダペストでの一夜は1年前の震災から続いていた透明な迷宮の袋小路の一つだったと解釈していて、突発的なアクシデントだったということだけではなくて、震災後のモヤがかかったような何かに囚われているような状態から導かれた終着点のように感じられていたのではないでしょうか?

最後にもたらされたその屈辱と悪夢をミサ(美里)と2人で上書きしたいと願いますが、ミサ(美里)が岡田と日本に帰らなかったのは、フィデリカの存在だけではなくてそんな岡田のウェットな愛情を受け入れることができなかったのかもしれません。

もしあの夜の屈辱を、復讐へと変える方法があるとするならば、それは、見物人たちの目の届かぬ場所で、二人で真に愛し合うことことだけだった。それだけが、あの頽廃に供した行為を貶め、その感興に水を注す唯一の希望のはずだった。

 

ミサ(美里)がいなくなってしまったことで、二人で真に愛し合うことであの夜の屈辱を乗り越えることができなくなった岡田は、ミサ(美里)を憎みながらも求め続ける日々を送り続けます。

彼の意識は、透明な迷宮を彷徨いながらブダペストの屈辱の夜から逃れることができなかったのでしょう。

再会したミサ(美咲)との情事をビデオで撮ることで、仮面の男女の視線を忘れることができた岡田でしたが、ミサ(美咲)が姿を消してしまったことでまたしてもブダペストの記憶に囚われるようになってしまいます。

そして、美里と美咲が双子であったことを明かされて・・・。

どこまで、振り回されているのでしょうか(^_^;)

 

全てを知った岡田は果たして美里と美咲のどちらを愛していたのか?

ブダペストの悲劇的な夜を共有している美里なのか?

それともより長い時間を共に過ごして何度も愛し合った美咲なのか?

人は、たった一つのエピソードのために、誰かを愛するのだろうか?愛を受胎するのは、二人の間の出来事なのだろうか?そうではなく、相手の人格を全体として愛するのではないか?

 

ある悲劇的なエピソードを愛情で別の何かによって、記憶を上書きすること。

そして、別の上書きされていない記憶も他の記憶と混ざり合って新しい記憶へと変容していく。

最後に美里が岡田との交わりをビデオで録画したのも、自らが抱えるブダペストの一夜の記憶を上書きするためだったのでしょうか?

そんな愛情と記憶の変質について描いた作品だったのだと思います。

 

④family affair(『新潮』2013年10月号)

村上春樹の短編小説にも同名のタイトルがありましたが、「家庭の問題」みたいな意味の英語みたいですね。

内容もさもありなんで、父の遺品を整理していたら拳銃が出てきて、長女・登志江、次女・ミツ子、長男・宏和、姪・葵の4人が絡んでひと悶着あります。

拳銃の存在がありますが、人が一人死ぬと一人分の空白ができて、その人が今までせき止めていたものが溢れ出してくるのではないでしょうか?

 

その空白から溢れ出してくる何かの影響を大きく受けるのが家族であるのだと思います。

 

⑤火色の琥珀(『文學界』2014年3月号「火を恋う男」改題)

三島由紀夫仮面の告白』を彷彿とさせるような、倒錯的な性を語った一人称の告白体の物語です。

中・長編でこういった雰囲気の小説を書いたら、純文学的な大傑作小説が生まれるのではとちょっと思いましたが、なんとなく平野さんはそういう作品は書かないだろうなって気がしました。

個人的には『火色の琥珀』がこの短編小説集の中で一番好きな作品でしたし、近代小説の純文学テイスト全開の作品で何か読みながら「お、おおぅ!!イエア!!」などという意味不明な声が漏れそうになりました。

掲載されたのが『文學界』だったのも頷けます。

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主人公の「私」は、老舗の和菓子屋の3代目で家も裕福なのですが、父親が外車を乗り回して外で愛人を作っているようなとても派手な遊び方をしているという家庭環境で、芸大出身で夢見がちな母と父の関係は歪で、彼の倒錯した性的嗜好とこの家庭の環境に何か相関関係があったようにも思えます。

しかし、家庭がうまくいっていなかったら子供がすべて倒錯した性癖を持つようになってしまうのかというと、もちろんそのようなことはなくてそこには「私」の素養もあったのだと思います。

 

「私」は女性の裸に夢中になる周囲と比して、一向に性的興味が湧かない自分に疑念を感じていましたが、小学生の時に「秘密基地」が炎に包まれるのをみて初めて手淫をなして、自らの性癖をまざまざと思い知らされるのでした。

仮面の告白』でも、絵画の「聖セバスチャンの殉教」がキッカケで自らの性癖を主人公が理解する瞬間がありますが、それと重なるようでした。

そして、今し方の炎に、私の夢中で動かす手の中のものが包み込まれ、焼かれる様を思い描きながら、その苦痛の想像に、生まれて初めての忘我を知りました。

端的に、なおかつ下品に言うと「おちんちんが炎に焼かれて痛くなる想像をしながら、初めてオナニーしちゃいました」ってことですねぇ(^_^;)

いや、それはアカン!!しかも小学生ですか・・・。

でも、「私」は無口ではあるけど別に人間が嫌いなだけではなくて、性的対象が炎なだけではあるんですよね。

んー、でも十分ヤバい奴な気もしますが・・・。

 

「私」は愛と性欲の相違についても語りますが、これがなかなかに興味深いです。

愛について純粋である瞬間もあるのかもしれませんが、時を経て状況が変化していくことで変容していくことはあるのだと思います。

時には海辺に打ち捨てられた古いベンチみたいに時の洗礼を受けてゆっくりと風化していくことも有り得るのでしょうし、別の何かに取って代わられるようなこともあるのかもしれません。

いかに性欲が純粋でもそれはしかしただの本能であり、生理的反応であるだけなので、やはりどこにもたどり着くことができないのでしょう。

 人は一般に、愛の方が性欲よりも崇高で、純粋だと勘違いしています。しかし、私に言わせれば、これは言語道断の誤解であって、愛などというのは、偽りと打算に満ちた、はるかに不純な代物です。愛が脆いのは、その混ぜ物のせいです。

 しかし性欲は純粋です。それはただ、ひたすらに合一化だけを夢見る欲望であって、決して愛だとか、況してや生活だとか(!)に堕落することはないのです。

 

炎にしか性的興味を持てない「私」でしたが、自分に好意を寄せる女性が現れて、肉体的な関係を持つことを思いつきます。

もしかしたら女性、も、愛せるのではないかという試みでしたが、まるでバイ・セクシャルであるかの試みのようですね。

しかし、やはり彼は女性の肉体に性欲を感じることができずにアロマキャンドルを焚いて、火に興奮しながら彼女を抱くという方法を思いつきました。

いや、マジで最低ですね。。

他の女性のことを考えながら彼女を抱いて、名前を間違えちゃう男ぐらいに最低ですね。

私は、彼女との行為中、ただひたすら、火を見つめながら、そういうことを思い出していました。彼女を、火のメタファとして、言わば火の代理と見倣そうと努めていたのです。

 

自室での事故で大火傷を負い、生死の境をさまよっても「私」と火の関係はますます蜜月を迎えていきます。

その上で、私はやはり、目の前の火を愛おしいと感じました。既に結ばれ、また結ばれることを恐れつつ夢見る私たちの関係は、より深まったのだと今では確信しています。

しかし、火は何かしら蠱惑的な魅力があり、人を魅了するような何か危ういものがあるように思います。

多様で美しくて、時に暴力的な火。

人間にとって、奥底に眠っている潜在的な何かを引きずり出すような。

何か抗し難い魅力をもったものなのかもしれません。

もちろん安易に近づくと自らも焼き尽くされるような危険を伴っているのではありますが。


⑥Re:依田氏からの依頼(『新潮』2013年7月号)

とても不思議で魅力的な短編でした。

どこかSF映画の『TENET』を彷彿とさせるような話であり、時間という概念について考えさせられました。

不完全に切り貼りされて作られた物語ゆえの空白と謎がとても興味をそそられます。

 

事故前から予兆があったので完全に重ね合わせるのは違うかもしれませんが、事故での脳の損傷をきっかけに超常的な能力が突然に開花するサヴァン症候群を思い出しました。

依田氏が得たのは能力ではなく、時間の流れの不順による苦悩だったのだとは思いますが・・・。

僕が好きなディジュリドゥ奏者のGOMAも事故をキッカケに突然絵が描けるようになったそうです。

ただし、自分の記憶の消失と引き換えに。

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依田氏は自らが付き合っていた女性であり、事故死した涼子について考え続けます。

近くにいすぎてわからなかったことも、遠くから眺めてみることで分かり始めることもあるのだと思います。

 私は、ある仕方で、涼子という人間を改めて理解しつつあった。

 凡庸な思想は、人間の唯一性への憧れを唆し、交換可能性にヒステリックに抵抗する。しかしその実、愛とは、誰でもよかったという交換可能性にだけ開かれた神秘ではあるまいか。

 最も遠い行為のようだが、芝居にも愛と同様に、そういうところがある。

 私は特殊すぎる。恐らく、涼子も特殊すぎた。

 

依田氏が閉じ込めらている地獄のような時間の檻。

三島由紀夫の「サド侯爵夫人」の演劇に絡めながら語られる人間模様とともになにか薄ら寒いような判然としない不穏さを感じた物語でした。

 

 

 

5、終わりに

 

2012年に刊行された『空白を満たしなさい』の後、2016年の『マチネの終わりに』の前に刊行された『透明な迷宮』ですが、再読してみて心に響く作品が多々ありました。

三島由紀夫平野啓一郎の作品の書評を書いていると、やたらに引用が多くなるのですが、それだけ美しく意味深い文章が多いからです。

書き写している時もPCのキーボードを叩く指が、ピアノの鍵盤を叩いているかのように音楽的に文章が流れていきます。

文章を書き写すということは、とても興味深いことで、その作家の文章のリズムやクセを一番深く理解することができるように思います。

句読点ひとつとっても作家によって全然違っていて、文章、文体の面白さに心を躍らせます。

 

今までそうたいして熱心な読書家でもなく、今もたいしたことはないのですが、文学をアウトプットするという行為の難しさとしんどさ、そしてその有意義さを感じています。

書評を書く事はとてもしんどいですし、ブログの記事の中で一番時間がかかるのですが、たとえアクセス数が芳しくなくても自分の中では満足度が高く今後も続けていきたいですね。

そして、自分の文章も色んな作家の文章に触れることで洗練されれば良いなと思っているのですが、なかなかそう簡単にはいきそうもないですね(笑)

 

平野啓一郎という作家は、僕が知る限り現代の作家の中で一番美しい文章を書く作家だと思います。

美しく音楽的な文章に乗せて、深い思索と複雑な感情が描写されていく彼の作品をこれからも追いかけていきたいと思います。

まだこの世界に読みきれないほどの素晴らしい物語があると思うと、心が躍りますし、生きる希望が湧いてきます。

 

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【雑記・お題】秋の風物詩「台風」について!!嵐を呼ぶ男のワイが今目覚める・・・。

☆オッス、オラヒロ!!いやぁ、台風14号強ぇぇの何のって!!多分、フリーザより強えからみんな気をつけてくれよなっ!!☆

 

だいぶリアルタイムなブログのタイトルです。

現在、人造人間14号が九州の南に上陸して猛威を振るっていますね。

おのれ、ドクター・ゲロめっ!!

おっと、間違えた。

上陸しているのは台風14号でしたね。

こりゃ失敬。

 

毎回、少年漫画の敵みたいに「今までで最強の勢力で!!」とか言ってて、「ハハん、また言ってるぜ。とか言いながら、また大したことないんでしょ?」とか思ってましたが、今度のやつはなかなかガチ勢みたいっすねぇ。

しかも進む早さが時速20キロとか、小学生のチャリレベルやんけっ!!

さっさとスピードあげて通り過ぎんかいっ!!

ゆっくり進んでいるうちに南の湿った空気をたくさん吸収してパワーアップしちゃったみたいですね。

セルかっ!!

もう完全体レベルでヤバそうですな・・・。

 

 

 

☆台風の思い出!!子供のころは台風が来まくってた☆

 

現在は愛媛県でも真ん中あたりの松山市に住んでいますが、実家の宇和島愛媛県でも南のほうで高知県にも近い場所でした。

松山市石鎚山という高い山があるせいか、あまり台風にも当たらず雨の少ない土地です。

おおよそ災害とは縁遠く、とても住みやすい街だと思います。

 

一方、実家のある宇和島市はよく台風の通り道になり、年に1回ぐらいは学校が休校になるレベルのやつが来ていた印象があります。

まぁ、学校が休みになるのは嬉しくて、台風が発生したニュースを食い入るように見ていて、勢力を保ったまま平日にぶち当たってくれ!!と願いをこめていました。

今考えると、農家の人たちを中心に色んな人が被害を受けるのだから不謹慎なんですがね(^_^;)

漁業の人達も、船があるから大変そうでしたね。

 

僕が子供の頃は床下、床上浸水もわりとざらにあったような印象でした。

友達の家の玄関が泥まみれになっていたりとか。

汚い話ですが、当時は汲み取り式のトイレの家庭もあり、そのお宅が床上浸水になってひまうととても悲惨なことになっていました(^_^;)

 

台風が来るってなるとガラス戸の上にガラガラと雨戸を引き出して被せて、ガラス戸が割れないようにしていました。

沖縄、九州よりはマシかもですが、四国の南端もだいぶ風が強くなることも多かったのですよ。

 

 

 

☆休校ギャンブル!!台風での休校を信じて前日に夜ふかしするヒロ少年!!果たして結果は?☆

 

僕が小学の頃、フリーザレベルのヤバい台風が日本に接近していました。

何度も予報を見ましたが、強さといい、タイミングといい、バッチリ休校になるレベル。

いや、コレ絶対明日は休みやろ!!

って、ことで前日の夜は休校を信じて深夜までプラモデルを作りました。

 

作ったプラモデルが『パトレイバー』のグリフォンだったことまで覚えています。

あろうことか。

ヒロ少年はチョーシこいて塗装まで始めていました。

締切の室内でのシンナー使用で、だいぶラリっていたヒロ少年。

中年になっては酒で酩酊、小学生時代はシンナーでラリって・・・。

そりゃ、脳みそもとろけますがな。。

どうかしてるぜ!!

 

そして、次の日の朝・・・。

窓を叩く強い風。

屋根に叩きつけるような滝のような雨。

ヒロ少年は、布団の中でガッツポーズを繰り返しました。

すみません、ここで次の日が快晴だったなら爆笑と嘲笑を巻き起こせたのですが、僕は見事に休校を勝ち取ったのです。

予告ホームランを打った野球選手のような高揚感と全能感。

ヒロ選手の予告休校でした。

そして、その日は嵐の気配を感じながら厳かにもう1個のプラモデルを作り始めたのでした・・・。

一昼夜締め切った部屋でシンナーを充満させたヒロ少年は、昼になる頃にはだいぶラリってましたとさ(๑≧౪≦)

 

今日、家に帰ったらずっとシンナー臭くて。

しかも、外は大雨で窓も開けられずに換気もできずにシンナーとアルコールでラリった脳みそで昔のことを思い出しました。

原因は、妻がマニキュアを大量に破棄したことみたいですね。

いや、リビングでやんないでよ!!

晴れた日にやってよ!!

なんてことは、言えないよぉ~~~BY郷ヒロみ

なわけで、今夜も泣き寝入りです。

 

皆様、今後台風が列島を縦断しますが、どうぞお気をつけくださいませ~。

 

 

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【漫画・アニメ】チェンソーマン、SPY×FAMILY2期が10月より放送開始!!アニメも大好き田舎の初老ヒロが秋アニメを語る!!

☆最近、『鬼滅の刃』、『呪術廻戦』ら少年ジャンプのアニメが大当たりっすね!!☆

 

鬼滅の刃』、『呪術廻戦』と近年ビックヒットを飛ばしまくるジャンプ漫画のアニメ。

鬼滅のアニメの大ヒットから空前のブームが起きてコミックスは書店でも欠品が相次ぐほどの騒ぎに。

映画『無限列車編』は興行収入300億を超えるメガヒットになりました。

よもやよもや。

ufotableの超美麗な絵と、臨場感たっぷりの演出が原作の魅力を120%引き出し多くの年齢層から支持される国民的な漫画・アニメになりましたね。

来年開始の『刀鍛冶の里編』もめっちゃ楽しみっすぅ!!


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鬼滅の刃もたいがいグロ表現ありましたが、さらにダークで過激な表現多くて人が死にまくる『呪術廻戦』で・・・。

しかし『ドロヘドロ』『この世界の片隅に』『うしおととら』『いぬやしき』『どろろ』『BANANA FISH』のアニメなどで有名だったアニメ制作会社「MAPPA(マッパ)」が制作したことで神アニメと化し、こちらも一大ブームを巻き起こしました。

MAPPAも超絶美麗な絵と、アクションシーンの躍動感と見せ方の上手さが光りますね!!

映画『呪術廻戦0』も興行収入100億超の大ヒットを記録しましたね!!

僕も観に行きましてが、控えめに行って最高でした!!


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ちなみにMAPPA制作のオリジナルアニメ『ユーリ』にハマって、スケートとBLにハマったのがウチの妻ですが何か?

今年のお誕生日には8万円するスケート靴がプレゼントでした。

MAPPAは『進撃の巨人』の3rdシーズンからの制作も担当していますね。

マッパ最高!!

俺たちのMAPPA!!

俺は飲んだら、いつもマッパ(真っ裸)!!

リスペクト草なぎ剛!!

 

そして、鬼滅の刃、呪術廻戦に続くジャンプアニメがいよいよ10月から放映開始するんです!!

 

 

 

☆いよいよチェンソーマンのアニメが放映開始!!☆

 

少年ジャンプで連載され第一部が全11巻で完結した『チェンソーマン』ですが、10月11日よりついに待望のアニメ化です!!

いやー、この日を待ちわびてました。

 

そして、そんなチェンソーマンを制作するアニメ制作会社が・・・。

な、な、な、なんと・・・。

MAPPAなんです!!

イエア!!

俺たちのマッパ!!

俺は飲んだらいつもマッパ!!

くどいけど好きだぜMAPPA!!

 

予告の動画も当然の神作画!!

こりゃあ、10月11日が楽しみだぜぇ!!

首洗って待ってろよ!!


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いや、どの動画もシビレます!!

現在はジャンプ+で第2部が連載中です。

アニメ楽しみすぎる!!

さてさてどこのチャンネルでやるのかな?

ん?

テレ東系列6局で放送?

えっ、ここ愛媛なんやけど?

嫌な予感が・・・。

えっ、愛媛のテレビではやらないんだけど?

えっ、ここまで引張いておいて何この展開?

えっ?

えっ?

 

しかし、Netflixとか、アマプラではやるらしく。

これを機会にああいうのに加入するか考えちゃいますねぇ。

Netflixでは『スプリガン』や『BASTARD』といった僕の好きなアニメも最近放送されていますし、入っちゃおうかなぁ・・・?

って、考えてたらテレビも買い替えたくなってきたし・・・。

んー、どうしよう(^_^;)

 

*9/20追記

な、な、なんとチェンソーマンのアニメのOP曲が米津玄師の『KICK BACK』に決定したそうです!!

めちゃくちゃノリノリでかっこええっすね!!

しかも編曲をKING GNUの常田大希と共同でやってるとのこと。

チェンソーマン×MAPPA×米津玄師とかって、もうドキドキが止まんなくて縄文土器レベルだぜ!!


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そして、挿入歌がマキシマム・ザ・ホルモンでEDは週替わり定食だってぇぇぇ!!

どんだけ豪華なんですか・・・。

オープニングテーマ:米津玄師「KICK BACK」

挿入歌:マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」

エンディングテーマ
ano「ちゅ、多様性。」
Eve「ファイトソング」
Aimer「Deep down」
Kanaria「大脳的なランデブー」
syudou「インザバックルーム」
女王蜂「バイオレンス」
ずっと真夜中でいいのに。「残機」
TK from 凛として時雨「first death」
TOOBOE「錠剤」
VaundyCHAINSAW BLOOD」
PEOPLE 1「DOGLAND」
マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」

 

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SPY×FAMILY☆

 

ジャンプ+での連載から人気化して、さらにアニメ化でブームになっているスパイファミリーも10月から第2クールが開始しますね。

スパイ、殺し屋、エスパーの血のつながりがない一風変わった家族の物語ですが、ほっこりしつつ毎回ハラハラで良いですね♪

そして、愛媛ではやはり放送しませんがな・・・。

ごらぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

 


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バンプのOPもかっこええっすね!!

いや、もう田舎のオッサンは金払ってアニメ観ろやってことかなぁぁぁ?

まぁ、最近は中年でも面白いって思えるクオリティ高いアニメが多いし、Netflix加入を検討してみる遣唐使になってみます!!

 

 

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